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マーティン・ローガン「ElectroMotion ESL X」 一世を風靡した米国発祥の静電型スピーカーが再上陸。 優れた応答性と透明感は軽量振動板ならでは
超軽量振動板(振動幕)ならではの応答性に優れた透明感のあるサウンド
久しぶりの静電型である。マーティン・ローガンは、スピーカーらしからぬルックスと水平指向性の広い静電パネルで一世を風靡した米国発祥のブランド。金属コーティングを施した透明振動幕を縦方向に張ることで湾曲面を構築している、ひじょうに巧妙な設計だ。現在は研究開発を米国で行ない、カナダで生産されている。ここで紹介するEM-ESL Xはスリムな静電パネルが特徴で、前後に配した約20㎝口径のダイナミック型ウーファーが400Hz以下の低音域を担当する、ハイブリッド構成となっている。管球王国試聴室で音を鳴らしてみた。
超軽量振動板(振動幕...
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MASTAZオーディオプロジェクトの「MCB5040L-TK」はラックスマンPD171A専用のダブルアーム・ベース。MDF製で安定性に優れ、高級カートリッジの実力を存分に引き出す
フォノカートリッジがいくつかあると、音楽ジャンルや音質傾向を考えて使い分けたくなる。そんなときはダブルアーム仕様のアナログプレーヤーが便利なのだが、市販製品はシングル構成がほとんど。そこで考えられたのが、簡単にダブルアーム環境を実現できるMASTAZ(マスタツ)のコネクションベースセットだ。ここで紹介するのは、ラックスマンのPD171Aにジャストフィットする専用設計のMCB5040L-TKである。定評あるイケダのダイナックバランス型IT407CR1ロングアームを装着して、その音を本誌試聴室で検証してみた。
MCB5040L-TKは、厚いMDF製ベースにアームベースのユニットを連結させた構...
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磁気回路が刷新されたMC型のARTシリーズ。 オーディオテクニカ AT-ART9XI,AT-ART9XA 2機種同時に発売
オーディオテクニカは、MC型フォノカートリッジの最高級ラインにARTの名称を冠している。本年6月に同社は2機種のARTを同時に発売した。両機ともART9Xのネーミングが共通で価格も15万円と同一。AT-ART9XIは従来のART9から刷新した鉄芯タイプのフラッグシップ機。型番末尾のIはアイアン=鉄芯を意味している。いっぽうのAT-ART9XAは、ART7からの大幅改良モデル。型番末尾のAはエアー(空気)で空芯を意味しており、非磁性のポリマーを巻き枠にしている。0.12mVの出力電圧だったART7に対して、ART9XAでは巻き枠を大型化することで0.2mVと大幅アップを実現。
両機とも発電...
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堅実な物作りで定評があるPro-Jectのレコードプレーヤー「X2」は力強く厚手の音を聴かせる。同時期発売のMC型フォノカートリッジ「PICK IT DS2 MC」は音の立ち上がりが俊敏だ
音楽の都ウィーンに本社を構えるプロジェクト・オーディオシステムズ社(1991年創業)は、質実剛健かつリーズナブルな価格設定のオーディオ機器を製造している。なかでもアナログプレーヤーは得意分野で、ここで紹介する新製品のX2はMM型フォノカートリッジを付属しながら17万円という、お買い得なベルトドライブ機だ。
フォノカートリッジはデンマークのオルトフォンとの協業で、音決めはプロジェクトが行なっている。本機のベースは2Mらしく、楕円針と丈夫なDJ用カンチレバーを組み合わせたもの。出力は7mVもある。トーンアームはカーボン/アルミの2重構造で共振を減らしており、9インチ長。軽量で高感度なストレー...
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ブリンクマンのフォノイコライザーアンプ第2世代機「Edison MkⅡ」は、声色の生々しさが印象的で立体感も豊か
独ブリンクマンを主宰するヘルムート・ブリンクマン氏は、真空管と半導体それぞれのよさを知り尽くしている。ここで紹介するエジソンMkⅡは、同社フォノイコライザーアンプの第2世代機。3系統ある入力のうち2系統はバランス/アンバランスが選択でき、合計4本のテレフンケン製(NOS)PCF803を搭載する、バイポーラ・トランジスターとのハイブリッド増幅回路が特徴である。ガラス天板からは、整然と並ぶ良質の素子が窺える。出力はXLR端子が1系統のみだ。
本誌試聴室のリファレンス・プリアンプはエアータイトATC5でアンバランス入力である。そこでXLR→RCAアダプター(3番コールドは非接続)を用意して音を...
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MCヘッドアンプをバイポーラ型で新設計して バランス入力に対応する半導体式フォノEQ。 アキュフェーズ C47 登場
アキュフェーズから新型のフォノイコライザーアンプC47が登場した。オリジナルのC27(2008年)、そしてC37(2014年)の後継機として設計されたこのC47は、同社初のバランス増幅フォノイコライザーアンプ。デュアルモノの構成で、増幅回路には配線パターンに金メッキ処理を施したガラス布フッ素樹脂基板が使われている。
MM型の回路から見ていこう。興味深いことに、入力信号は最初にJFET素子による専用設計のヘッドアンプ回路(20dB)を経由する。主たる目的は後続の増幅回路へのバランス信号変換で、キャパシタンス値は未公表だが固定されているようだ。入力負荷は、1kΩ/47kΩ/100kΩから選択...
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ブリンクマン「Taurus」自社製モーターでDD駆動し、抜群のS/N感で高精細な音に。
私はダイレクトドライブ(DD)方式ターンテーブルを支持するオーディオファイルだが、今ではモーターを自社開発できるメーカーが少ないことを嘆いている。本格派のDDモーターといえるのは、世界中を見渡しても日本のテクニクスとドイツのブリンクマン、そして同じくドイツのSTSTくらいだ。
ここで紹介するブリンクマンのトーラスは、同社バルドの上級機にあたるスケルトンタイプのターンテーブル。慣性質量を重視した形状のプラッターは10㎏で、アナログ盤との接地面は平面性の高いガラス製だ。中心部分で盤を浮かせてクランパーで押し付けることにより、面ブレの少ない平面状態を得ている。同社には2機種のDD方式ターンテー...
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ソナス・ファベール「MINIMA AMATOR Ⅱ」木質感溢れる意匠に相応しい、親しみ深い音調のバスレフ型2ウェイ2スピーカー。
ソナス・ファベールを創業したフランコ・セルブリン氏は、一度だけ日本を訪れている。そのときに会った私は「小型機のミニマが奏でる音が一番好きです」と告げたところ、彼は「実は私もそうなんだ」と微笑んだ。
ここに登場するミニマ・アマトールⅡは、ミニマより僅かに大きいオリジナル機の雰囲気を忠実に醸し出している注目機。一足先に発売されているエレクタ・アマトールⅢはボトムが白い大理石製であるが、本機は4面すべてがウォールナット材になっている。
適合するスタンドは2種類あり、ここでは「Carrara Stand」を使って聴いた。本誌試聴室で鳴らしたミニマ・アマトールⅡは、キビキビと反応の良い美音を奏でて...
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一体型管球プリアンプ、マッキントッシュC2700。丁寧な質感描写に加え、なによりもマッキントッシュらしい風格が漂う
マッキントッシュのC2700は、人気の高かったC2600をブラッシュアップした新しい管球式プリアンプだ。使われている真空管はC2600と同じく、12AX7Aが5本に加えて12AT7が1本。両機のスペックを比較するとMM/MC対応のフォノイコライザー回路のS/N比が5dB以上も改善されており、DA2と呼ばれるDAC回路がアップグレード対応のモジュールになっているのが大きな相違点である。DA2はUSB入力で22.4MHzまでのDSDと384kHz/32ビットまでのPCMを再生できる、きわめてハイスペックな内容。2系統の同軸と光のデジタル入力端子があり、同社製SACDトランスポートと接続できる...
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筐体強化と音質チューニングが施された1ビット・ディスクリートDAC搭載の特別仕様。 マランツ SA12 OSE
アンプやデジタルプレーヤーなどの主力機種に音質向上策を講じたSE(スペシャル・エディション)という特別仕様は、多くのオーディオメーカーが手掛けている。その先駆けとなったのは、マランツが30年前の1990年に発売したインテグレーテッドアンプのPM80SEとCDプレーヤーのCD66SEだったいう。さきごろマランツはSEの先駆者という主張を込めて、OSE(オリジナル・スペシャル・エディション)と名付けたインテグレーテッドアンプのPM12 OSEとSACDプレーヤーのSA12 OSEを発売した。ここではSA12 OSEの試聴リポートをお届けする。
ベースとなったSA12は、MMM(マランツ・ミュ...
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LUMIN「X1」とSOtM「sNH-10G」で光ファイバー伝送の効果を試す。LANスイッチが、ネットワークオーディオの音質に大きな影響をもたらすことを改めて実感した
自宅でネットワークオーディオを実践している私は、得られる音質が僅かでも向上することを常に追い求めている。ネットワークオーディオの歴史はまだ浅いもので、英国リン・プロダクツが2007年に発表したDS(デジタル・ストリーム)がスタートポイント。デジタル音源をNASに蓄えておき、家庭内のLAN回線に接続された専用プレーヤーで音源を再生するという仕組みのネットワークオーディオは、それから次第に進化を遂げてきた。
CDやSACDなどの光学ディスク再生と比べて大きく異なるのは、再生できるフォーマットの自由度が格段に高いことだ。ここに登場するLUMIN(ルーミン)のフラグシップ機「X1」ネットワークプ...
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堅牢な密閉型エンクロージュアと高剛性振動板、米国マジコ流儀を凝縮させた小型2ウェイ機「A1」。 濃密かつ解像感に優れ、声色の自然さが見事
声色の自然さは見事、小型機とは思えないほどの臨場感で愉しませる
米国マジコのM3を愛用している私にとって、リーズナブルな価格帯で登場したAシリーズは嬉しい驚きだった。堅牢な完全密閉型エンクロージュアと多層構造の軽量かつ高剛性の振動板、そしてベリリウム振動板のドーム型トゥイーターといった各部の特徴と、解像感に優れた濃密な音の語り口など、いずれもマジコらしい特徴を備えていたからだ。
2ウェイ・ブックシェルフのA1は、製造完了になって久しい高級機Q1と似たようなプロポーションであるが、Q1のようなスタンド固定ではなく、置き方の自由度をアピールしている。本機の試聴にはマジコが推奨する米国サウンド...