執筆陣
シルバトーンのフォノイコライザーアンプ「SQ102」と「SQ100R」は、独D3a管採用、超弩級CR型の2機。多彩に音色を描き分けて情感豊かな音楽表現と芳醇な香りの漂う、魅惑的な再生に驚かされた
シルバトーンは、世界一のウェスタン・エレクトリック収集家が主宰するオーディオメーカーだ。私は真空管式ならではの艶やかで濃厚な音楽表現と、高能率なスピーカーを考慮したノイズレベルの低い回路設計が同社製品の理念と理解している。希少なヴィンテージ真空管による個性の豊かな音を重要視していることも特徴に挙げられよう。
ここでは、2機種のフォノイコライザーアンプを紹介する。700万円(税別)のSQ102と、1000万円(税別)というSQ100Rはともにたいへん高価だが、シンプルかつ現代的なデザインにまとめられた入魂の製品である。
Phono Equalizer Amp.
シルバトーン
SQ102
¥...
執筆陣
ディスクリート構成で無帰還増幅の半導体式フォノEQアンプ。 MCカートリッジで音場空間の深みが感じられる積極的な再生。 フェーズメーション EA320、T320
フェーズメーションほど、豊富なフォノイコライザー関連のラインナップを用意しているブランドはないのでは? ここで紹介するEA320は、厳選された半導体素子によるディスクリート回路構成が特徴の新製品。同じく半導体増幅で好評を博しているEA350の下位機種にあたる、やや小振りの筐体の注目機だ。いっぽう、T320はEA320にもマッチする単体の昇圧トランスフォーマー。最近の製品では非常に珍しく、トランス回路をバイパスできるスイッチが用意されている。
真空管増幅と半導体増幅の両方を手掛けるフェーズメーションは、無帰還増幅にこだわっている。それはTIM歪み、いわゆるトランジェント歪みから回避できる施...
執筆陣
ロクサンのレコードプレーヤー「Attessa Turntable」は、MMカートリッジ+フォノEQ搭載のプレーヤーシステム。単体EQとの組合せでは、表情の豊かなヴォーカル再生
英国モニターオーディオの傘下となったロクサンは意欲的に新製品を発表している。ここで紹介するアナログプレーヤーのアテッサ(Attessa)は、MM型フォノカートリッジが付属して税抜21万円という、輸入品としては安価な価格設定。しかも、フォノイコライザー回路を内蔵している。
ロクサン
Attessa Turntable
¥210,000(税別)
トーンアーム Attessa Tonearm●型式:スタティックバランス型●実効長:240mm プレーヤー部●駆動方式:ベルトドライブ●モーター:24極シンクロナス●回転数:33・1/3、45rpm●ターンテーブル:ガラス/アルミ削り出し1.8kg●...
執筆陣
EMTのフォノイコライザーアンプ「EMT128」は、EMTカートリッジの能力を最大限引き出すための6本のサブミニチュア管を使用。密度感が抜群で油彩画のような色彩美を奏でる逸品
EMTトンテクニック(EMT tontechnik)は、2018年からEMTの業務を引き継いだスイスのハイフィクション社が手掛けている。主宰者のミッハ・フーバ氏はターレス・トーンアームを開発した才人であり、私はEMTの前途が輝かしいと信じている。ここで紹介するフォノイコライザーアンプのEMT128は、EMT製フォノカートリッジが秘めたパフォーマンスを最大限に発揮するために開発された製品。アルミニウムを切削加工して造られた堅牢な筐体は、正面から見ると横置きにしたスタイラス=レコード針の形状を想わせる。
EMT
EMT128
¥1,400,000(税別)
●入力端子:MC1系統(RCAアンバ...
執筆陣
カジハラ・ラボのトーンアーム「KL-UA01」は、高精度化で基本性能を高めた純国産品で、広い音場と応答の俊敏さが印象的
カジラボKL-UA01は、高い基本性能を持ちながらリーズナブルな価格のユニバーサル・トーンアームである。本機のベースになったのはポールスター(生産完了品)で、水平回転のスラストベアリングと垂直回転のピボット部分の精度がともに向上しているという。アームパイプを含む各部はアルミニウム製。イケダのトーンアームと同じく、老舗アナログ製品メーカーのアイテイ工業で丁寧に造られる純国産品である。
カジラボ
KL-UA01
¥220,000(税別)
●型式:スタティックバランス型●スピンドル・ピボット間:212mm●オーバーハング:16mm●針圧調整範囲:0g~3g●適合カートリッジ重量:19g~26g...
執筆陣
サエクのターンテーブルシート「SS300Mk2」は、神戸製鋼のアルミ合金を採用したソリッドマットで音量感が明らかに高まり、精密な音に
オリジナルはサエクのトーンアームを製作していたオーディオエンジニアリング社製のSS300ソリッドマット。それを最新の素材と加工技術で再現したサエクコマースによる硬質金属製マットである。SS300はジュラルミン(A2017)系のアルミニウム合金製だったが、このマーク2では神戸製鋼所が開発した精密機械加工用のアルハイス(A5052P)というアルミニウム合金が使われている。表面は光沢のある黒色アルマイト仕上げである。オリジナルもアルマイト処理だったが、指先に微細な凹凸を感じさせる黒い艶消し仕上げだった。
サエク
SS300Mk2
¥39,000(税別)
●材質:アルミニウム合金●外径:φ300...
執筆陣
オーディオ・ノートのカートリッジ「IO-X」は、パーマロイ製コアに純銀線巻きのMC型で凄みを感じさせる生々しい再生
オーディオ・ノート唯一のフォノカートリッジとなるIO(イオ)は、1979年のデビュー。それ以来、IOは数度の改良が施されて現在に至っている。本機はアルニコ磁石と純鉄による磁気回路を持ち、振動系はラインコンタクト針+アルミ合金製カンチレバーに純銀線をパーマロイ製コアに巻いたもの。出力ピンは純銀にパラジウムをメッキしてある。パドック材を挟んだ新デザインのボディは、接地面の部分を厚くして剛性を高めた。純銀線を手作業で巻いているのは、オーディオ・ノートの代表を務める芦澤雅基氏である。
オーディオ・ノート
IO-X
¥770,000(税込)
●発電方式:MC型●出力電圧:0.12mV●内部インピー...
執筆陣
ビビッド・オーディオのエントリーモデル、KAYA S12。スピーカーの存在を消し去るような視覚的描写でワイドな空間を演出
南アフリカで誕生し、現在はオランダにヘッドクォーターを置くビビッド・オーディオ。伝説的なノーチラスを開発したB&W出身のローレンス・ディッキー氏は、英国に住み同社製品のサウンドデザインに携わっている。
KAYA(カヤ)はビビッド・オーディオのエントリーシリーズで、ここで紹介するS12は最新のコンパクトな2ウェイ機だ。ポリウレタンのレジンを使ったキャスト製法のエンクロージュアは平面を持たず、本体重量は6kgと軽量。
搭載するドライバーは同じアルミニウム合金製の振動板を採用しており、高域は26mm口径で低域は13cm口径である。本国の資料では低域が10cm口径となっているが、サラウンド(エッ...
執筆陣
ウェルフロートのインシュレーター「WELLDELTA Basilis」は特許技術の振り子動作で音場空間がより豊かに拡がる
ジークレフ音響のウェルデルタ・バシリスは、従来のウェルデルタを発展させた新製品。カバー部分を含む上部全体を、アルミニウムの厚い切削部材で覆ったものだ。同社によれば海外からの要望に応えた製品で、脚部の大きいスピーカーシステムとの組合せを想定しているという。1台につき独自のウェルフロート機構を3基搭載する構造に変わりはなく、黒い樹脂製のカバーがないぶん見栄えが良くなり高級感が醸し出されている。
ウェルフロート
WELLDELTA Basilis
¥79,800(税別)/個
●仕様:3辺の小型フロートメカ●材質:ステンレスおよびアルミ削り出し●耐荷重:250kg
●寸法/重量:1辺150×H3...
執筆陣
グランツのトーンアーム「MH1000S」は、音像の構築と爽快感をもたらす生々しい音が感動的
グランツのトーンアームが他と一線を画した音質で魅了するのは、曖昧さを嫌った動作精度の追求と硬いステンレススチール材を採用するアームパイプの剛性によるものだ。それはすなわち、設計者でビルダーの濱田政孝氏が考えるトーンアームの理想像なのである。ミタチ音響(グランツ)でフォノカートリッジとトーンアームの設計に従事していた氏は、同社が2003年に解散してからグランツのブランドを引き継ぎ、高級トーンアームの製造を始めることに。そして現在、その音の確かさから、新生グランツの愛用者は世界中に存在するようになった。筆者もそのひとりに数えられる。
グランツ
MH1000S
¥790,000(税別)
●型式...
執筆陣
吸着式のスタビライザー ユキム スーパーオーディオアクセサリー CVS1 反りのあるLP盤では音の安定感が増し、音像定位が格段にしっかりと
ユキムが自社ブランドのユキムスーパーオーディオアクセサリーで扱う吸着式ディスクスタビライザーである。原型はアイコールから発売されていたIQ1300Aのようで、フレキシブルな機構の吸引ホースがある専用スタビライザーを乗せて使う、ユニークなスタイル。フローティング機や回転トルクの弱いプレーヤーには不向きと思われるので、事前に問い合わせるといいだろう。
アナログ盤と密着する金属部分は純マグネシウム製だという。このマットを背面から見ると、大部分を占めているのは合成ゴム。おそらくは外周用と内周用のシーリングを含めたワンピース構造になっているのだろう。吸引を行なうスタビライザー部分は、純マグネシウム...
執筆陣
オーディオテクニカのオーディオケーブル「フリュエットシリーズ」は音のリアリティを追求した第一級のグレード。ハイエンドラインナップにはスピーカーケーブルも誕生
オーディオテクニカは高音質オーディオケーブルを各種取り揃えている。フォノカートリッジに始まりヘッドフォンやマイクロフォンで発展してきた同社らしく、ケーブルも価格帯的にも幅広いラインナップをもつ。ここで紹介する新しいFLUAT(フリュエット)シリーズのラインケーブルと電源ケーブル、そして最高峰エクセレンス・シリーズのスピーカーケーブルは、掛け値なく注目に値する製品だ。
オーディオテクニカ
AT-IC700R/1.3
¥50,000(ペア、税別)
●型式:ラインケーブル
●端子:RCAピン
●ケーブル長:1.3m
●備考:0.7m長(¥44,000・ペア、税別)、2.0m長(¥58,000・...