執筆陣
欧州でヒットする半導体式フォノEQが進化。高解像感で腰の据わった堂々たる音が聴ける オーロラサウンド VIDA MkⅡ
オーロラサウンドの製品は日本国内はもとより、海外(特に欧州方面)でも人気が高い。ここで紹介するヴィーダ・マーク2は、オーロラサウンドではエントリー機となるヴィーダ・プリマの上位機、型名にMkⅡが付くようにヴィーダの改良ヴァージョンだ。LCR型RIAAイコライザー回路はオリジナルを継承しながら、最上位モデルのヴィーダ・スープリームと同じ増幅回路を奢ることで、確かな音質向上を実現している。
LCR型イコライザーでは、スウェーデンのルンダール・トランスフォーマーズ社が製造する1.9Hと0.18Hのインダクタ(L=コイル)を左右独立で採用。これらはオーロラサウンドのロゴが印刷されたカスタムメイド...
執筆陣
互換交換針で著名なJICOから新たなMC型 鮮やかな色彩感とダイナミックな表現が魅力 JICO SETO-HORI Remodel
瀬戸物のキャビネットで限定製作されたMC型カートリッジの新装ヴァージョン
JICO(ジコー)は、MM型フォノカートリッジの優れた互換交換針で世界的に知られる存在。その本社と工場は、大阪や神戸などの都市部から約200㎞離れている兵庫県の新温泉町にある。会社名は日本精機宝石工業株式会社である。
瀬戸彫・リモデルは、瀬戸物のキャビネットで限定製作されたMC型カートリッジの新装ヴァージョンである。硬質セラミックの瀬戸物は、焼結過程で僅かに収縮する。それを計算に含めて製作したのがオリジナルだ。リモデルと称する本機は、瀬戸彫を金属製ヘッドシェルと一体化したことが特徴。アルミと銅の合金素材を5軸の精密...
執筆陣
レーベル面への最適荷重で、振動を抑える スタビライズが音の締まりや明確さに貢献 サエク「SRS-9」
アナログ盤用のディスクスタビライザーが登場
伝統のダブルナイフエッジ機構を現代に復刻させて気を吐くサエクコマースから、SRS-9というアナログ盤用のディスクスタビライザーが登場。総重量は約300g なので軽量の部類となるが、これはトルクの強くないターンテーブルとの組合せも考慮したからのようだ。注目すべきは、中心部に加えて9個のステンレススチール製ウェイトがそれぞれレーベル面に荷重を与えること。同社ではこれをSVM(サプレス・ヴァイブレーション・マテリアル)機構と称している。似たような構造は、かつてのトーレンス製スタビライザーや、米国スティルポイント製LPIに見ることができよう。硬質アルミ...
執筆陣
ボロン製カンチレバー+シバタ針のMM上位機。 オルトフォン 2M Black LVB 250
オルトフォンがMM型の最高傑作と自負するのが、楽聖ベートーヴェンの生誕250周年を記念する新製品のプレミアムモデル、2MブラックLVB250である。最大の特徴は、オルトフォンのMM型では初めてとなるボロン製カンチレバーの採用であろう。ダンパーのゴムも専用に開発されており、針先はシバタ針。発電コイルには純銀メッキ高純度銅線が使われている。
本誌リファレンス・プレーヤーのテクニクスSL1000Rに装着して本機の音を聴いている。出力電圧は5mVと大きいため、プリアンプのエアータイトATC5にとってもS/N感の点で大いに有利になっている。
ボロンカンチレバー+シバタ針という構成は、ともすれば大味...
執筆陣
DSオーディオ DS003 左右独立光学機構を搭載の新型登場。 臨場感溢れるオーケストラは生気に満ち艶やか
DSオーディオが蘇らせた光電型フォノカートリッジは、MC型とMM型で占められていたアナログ盤の再生手法に、第3の選択肢と音の新境地を与えてくれた。ここで紹介するDS003は、最高峰グランドマスターを頂点とする光カートリッジ(システム)の第3世代を担う最新製品である。
最も注目すべきは光カートリッジのDS003であろう。グランドマスターと同じ内部構造、すなわち左右独立の光源(赤外線LED)と受光部を継承したことで、チャンネルセパレーションが向上。遮光板も同じくベリリウム製だ。アルミ製カンチレバーにラインコンタクト針を組み合わせた、オーソドックスな振動系である。専用のフォノイコライザーの00...
執筆陣
回転の安定性に優れてトーンアームは高感度。コストパフォーマンス抜群のアナログプレーヤー レガ Planar3 mk2
英国レガは1973年に創設されているから、もう老舗というべきオーディオ企業だ。プラナー3の最初期モデルは1976年に登場し、改良を重ねて現在に至っている。本機は2016年に発売された最新のプラナー3である。そこにアドヴァンスドEBLTという上位機の駆動ベルトを奢ったことで、mk2という呼称が与えられたのである。
Record Player System
レガ Planar3 mk2 ¥110,000(税別)
▶︎カートリッジ部(Elys2)
●出力電圧:6.8〜7.2mV
●適正針圧:1.75g トーンアーム部(RB330)
●型式:ダイナミックバランス型
●適合カートリッジ重量:4.5...
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ヴァルテレ「MG1 PKG」 トラジ氏設計の新作が久し振りに登場。 曖昧さを排した音で精緻な再生が聴けた
澄み渡った音と敏感さが相乗的に高まった精緻さが印象的
英国ロクサンの創業者でアナログプレーヤーの設計者、トラジ・モグハダム氏が主宰するのがヴァルテレである。彼とは海外のショウで何度も会って話をしているので、ずいぶん時間をかけて日本市場に登場したものだと思う。MG1は中堅クラスのアナログプレーヤーで、フォノカートリッジは付属していない。
筐体は硬質で精度の高いアクリル製。きわめて精度の高い軸受けとプラッターは見事というしかない。センターピンが外せる仕様はロクサンがオリジナル。ベルト駆動のモーターは小型のACシンクロナス型である。プラッターの表面にはアナログ盤とインピーダンスが近いというキャ...
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SOtMのネットワークトランスポート「sMS-200ultra Neo」は選ぶ楽しみのあるアイテムだ。ノーマルバージョンと、2種類のスペシャル・エディションの進化を聴き比べた
これからのデジタルオーディオをネットワークに託している私は、自宅のオーディオシステムでネットワークオーディオを実践している。近年はハイレベルなピュアオーディオの視点で設計されている、優れたネットワークプレーヤーや周辺機器が増えてきた。英国リンがDS(デジタルストリーム)の名称で世界初の本格的ネットワークプレーヤーをリリースしたのは今から14年も前の2007年のこと。それをスタートポイントにして、ネットワークオーディオ関連機器は急カーブを描くように進化を遂げてきている。
ここでは私が注目している高音質ネットワークトランスポートを紹介しよう。一般的なUSB DAC(D/Aコンバーター)と組み...
執筆陣
つくりては語る『AUDIO NOTE』。音楽という芸術作品、文化に向き合い、その再生におけるあらゆる可能性を探り「美」を追求する
創業者 近藤公康氏と銀線へのこだわり
神奈川県川崎市。川崎大師の参道として延びた国道沿いの住宅エリアに、株式会社オーディオ・ノートがある。従業員は7名というから、決して大きな企業規模ではない。だが、同社はハイエンドオーディオの分野で知られるビッグネーム。オーディオと音楽を愛してやまないエンスージァストから、創業者の近藤公康氏の名を冠する「KONDO」と呼ばれて愛される、世界的なブランドなのだ。
登場いただくのは、最高経営責任者の芦澤雅基氏。そして、サウンドディレクター/R&Dマネージャーの廣川嘉行氏である。まずはオーディオ・ノートの黎明期を辿る。
創業者の近藤公康氏は、米国CBSと日本の...
執筆陣
熟練の時計職人が組み立てるスイス製MC型。 ゴールデンバーグ Brilliant
スイスからMC型の新しいフォノカートリッジ、ゴールデンバーグが登場した。現在のEMTやエクスクィジット、ターレス・トーンアームを手掛けるハイフィクション社の新ブランドで、熟練の時計職人が組み立てる製品という。ここで紹介するのは3機種あるうちの中間モデル「ブリリアント」だ。ボロン製カンチレバーにマイクロリッジ針を搭載しており、6Ωのインピーダンスで0.4mVの出力というから、鉄芯タイプであろう。コイル巻線は4N銅線ということだ。磁石には強力なネオジムに渦電流を防ぐアールコ鉄を使っているというが、その詳細は不明である。ハイフィクション社はEMTの継承からフォノカートリッジ製造を始めた経緯があ...
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バランス入力が魅力のMC昇圧トランス CSポート「CMT1」 ノイズフロアーが下がり音楽を鮮明に表出する
バランス接続することにより、さらにダイナミック感が増す
無帰還の管球式アンプやエアーフロート方式の重厚なアナログプレーヤーを製造しているCSポートの新製品CMT1は、バランス入力も装備している昇圧トランスである。
同社のC3EQM2(フォノイコライザーアンプ)もバランス対応の昇圧トランスを内蔵しているわけだが、そちらは適合インピーダンスが3Ω〜20Ωで、CMT1は1.5Ω〜40Ωと広めの設定。コア材は共に透磁率に優れたスーパーパーマロイ。同社によると、CMT1はファインチューニング的な範疇で巻数を増やして対応力を広げているという。背面はオーソドックスな端子群で、グラウンドのフロートスイッ...
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EMTの新型ヘッドシェル一体型MCフォノカートリッジ、ステレオ仕様3機種を聴く。4N銀コイル80周年モデルは、先鋭的で緻密な音
EMTのヘッドシェル一体型フォノカートリッジは、ヨーロッパを代表する放送局用カートリッジとして君臨してきた。有名なステレオ仕様のTSD15は1965年に誕生しており、今も熱烈な愛用者が存在する。
2014年からEMTのフォノカートリッジを製造しているのは、ターレストーンアームで有名なミッハ・フーバー氏が主宰するスイスのハイフィクション社。このたび、新型のヘッドシェル一体型のMCフォノカートリッジが発表された。資料を紐解くと、ステレオのTSDが3機種とモノーラルのTMDが3機種、加えて世界限定80個というTSDアニバーサリーが登場する。TSDとTMDには一般的なSME互換タイプとEMT製ト...