執筆陣
【麻倉怜士のIFAリポート2019】その16:遂に揃った8Kエコシステムの全貌……。シャープ喜多村和洋・グローバルTVシステム事業本部長に聞く
シャープは5日のプレス・カンファレンスで、「8K・エコシステム」の完成を高らかに宣言した。しかも120型という1枚パネルのディスプレイとしては世界最大の8Kディスプレイを展示。大いに話題を呼んだ。それらの狙いをシャープ・グローバルTVシステム事業本部長 兼 欧州代表 喜多村和洋氏に聞いた。
麻倉 わが家は8Kの80インチ「8T-C80AX1」を導入させていただき、1.8Hで近接視聴を楽しんでいます。シャープさんは欧州でも8Kテレビを発売されていますが、反響はいかがですか?
喜多村 欧州は日本と同じで、画質に対する要望が強いですね。わたしどもはお客さんを調査して、現地の皆さんが好まれる映像...
執筆陣
【麻倉怜士のIFAリポート2019】その15:ソニー・企画ブランディング部門長 黒住吉郎氏にニアフィールドパワードスピーカー 「SA-Z1」と「360 Reality Audio」の狙いを聞く
IFA2019のソニーブースでは、ふたつのアイテムが大きな注目を集めた。ニアフィールドパワードスピーカー「SA-Z1」と、ハイレゾ音源を音場感豊かに楽しむ「360 Reality Audio」だ。今回はソニーホームエンタテインメント&サウンドプロダクツ(株)V&S事業部 企画ブランディング部門長の黒住吉郎氏に、両モデルの狙いを聞いた。
麻倉 「SA-Z1」は音がよい。音場感も豊かで、音の流れがとてもなめらかです。この製品が画期的なのは2点あって、ひとつはヘッドホンユーザーの目をスピーカーに向けるということ。そしてもうひとつは、アクティブというジャンルは、日本では民生用のハイエンド製品とし...
執筆陣
【麻倉怜士のIFAリポート2019】その14:通信とオーディオが合体すると、どんな製品が生まれるか?
ソニーのプレス・カンファレンスの主役は石塚茂樹氏。エレクトロニクス・プロダクツ&ソリューション事業担当が肩書きだが、B to BからB to Cまですべての領域を見ているスーパー専務だ。彼が今、オーディオ部隊に指令を与えているのが、「通信と融合したオーディオ製品を開発せよ!」だ。
ソニーは古くはウォークマン、コンパクトディスク、近年はハイレゾ、さらには、360 Reality Audioの提案と、オーディオの進化を新しいアイデアで牽引してきたが、石塚氏が見るところ、まだまだ通信はオーディオと融合していないし、オーディオも通信を上手く取り込んではいない。石塚氏は言った。
「スマホのエクスペ...
執筆陣
【麻倉怜士のIFAリポート2019】その13:革命的なニアフィールド+アクティブスピーカー「SA-Z1」をソニーが開発。テクノロジー編(続編)
ニアフィールド・アクティブパワードスピーカー「SA-Z1」のソニーが定めたターゲット顧客はパーソナルなオーディオラバー。彼らに、これまでのような“大きなスピーカー+大きなアンプ”という組み合わせでなく、机上設置で、コンパクトで高品位なアクティブスピーカーを提供すれば、「解像度+音場」の魅力に目覚めてくれるはず……とした。
そこで投入した技術を3つ述べよう。
①デジタル+アナログのハイブリッド内蔵アンプ
デジタルアンプは小型、高効率、発熱極小なので、スピーカー内蔵に向いているが、大出力時(大電圧もしくは大電流)に誤差成分が生じる。そこでアナログ信号の理想波形で較正する。
パワー半導体素子に...
執筆陣
【麻倉怜士のIFAリポート2019 まとめ】ヨーロッパのテレビ市場でも、8Kは着実に認知されている。その最新事情を詳しく紹介する
【麻倉怜士のIFAリポート2019】その1:私の9回目のIFA取材が、いよいよ始まる。先進的で勇ましい、日本のスタートアップ企業の取り組みを含め、最新情報をお届け - Stereo Sound ONLINE
IFA2019が開幕する。
私のみるところ、1月のCESはイノベーションショーだ。世界から注目の新技術が集結する。しかし、それがすべて製品化されるとは限らない。それはIFAに来て初めて分かる。私は今回でIFA取材が9回目。毎年、新しい製品の登場に目を見張っている。今年も大いに期待できよう。
昨年は出展者数が1,814、ビジター総数が245,000人という超特大の国際見本市だ。CESと...
執筆陣
【麻倉怜士のIFAリポート2019】その12:シャープ 肩乗せスピーカー、日本では大ヒットの情報あり。シャープのオーディオ復活の先達になる資格は充分
IFAのシャープブースに、肩乗せスピーカー、サウンドパートナー「AN-SX7」や「AN-SS1」が展示してある。係員に聞くと「麻倉さん、これからヨーロッパで売り出しますが、実は日本で大ヒットしているのです。肩乗せ分野でシェアが自社調べで70%以上になったこともありました(月/週単位で)」。
びっくりである。サウンドパートナーはソニー、ボーズ、JBLなどの同様な製品が出た後に登場したが、私の聴くところ、特にAN-SX7はひじょうにクォリティが高い。そのことが市場で正しく評価されたのだろう。
2018年10月より軽量タイプAN-SS1が、2019年3月から高音質タイプのAN-SX7が発売され...
執筆陣
【麻倉怜士のIFAリポート2019】その11:革命的なニアフィールド+アクティブスピーカー「SA-Z1」をソニーが開発。試聴インプレッション付きでお届けする
これまで「デスクトップ・オーディオ」というと、それなりの音で、小さな音場を箱庭的に愛でるオーディオ環境とされ、大きな音場が確保できないから、しかたなく机の上に小さなスピーカーを置いて聴いているというセカンドベストなイメージだった。だが、その概念は革命的に変わろう。ソニーのハイエンドオーディオが渾身の技術と努力とこだわりを注入して開発したニアフィールドパワードスピーカー「SA-Z1」がデビューしたからだ。
ソニーブースには、本機のための特別な試聴室が設けられている。ひじょうにS/Nがいいその部屋で聴いたSA-Z1は、2チャンネルスピーカーの空間音としては、これまで聴いたこともないような正確...
執筆陣
【麻倉怜士のIFAリポート2019】その10:テクニクス、世界初の、磁性流体フリーエッジドライバー「EAH-TZ700」ハイエンドイヤホンの音が素晴らしい
テクニクスがハイエンドイヤホン「EAH-TZ700」を発表した。私は早速、テクニクスブースで試聴したが、ひじょうに明瞭で品位の高い音だ。特に低域がよい。音階がきちんと再現される、解像度の高い低域だ。スケールがあるが、同時に精密で、立ち上がり、下がりが俊敏だ。低音の時間軸が正しく推移する感覚だ。
テクニクス初のハイエンドイヤホンはどのように開発されたか。テクニクスCTOの井谷哲也氏に話を聞いた
井谷 これまでテクニクスとしては主に据え置き型モデルを展開してきましたが、市場的に見ると、ノイズキャンセリング付きイヤホンなどが伸びていますし、ハイエンドイヤホンの市場も伸びてきています。これまでヘ...
執筆陣
【麻倉怜士のIFAリポート2019】その9:パナソニック・サウンドバーの「ベルリン・フィルモード」は、実際のホールの響きを測定して作られていた
パナソニック・テクニクスは、ベルリン・フィルとの協業を展開し、ベルリン・フィルの演奏ストリーミングサービス「デジタル・コンサートホール」では、4K配信がスタートした。
パナソニックはベルリン・フィル側に4K制作整備を提供し、ベルリン・フィルからは、音楽、音響のノウハウがテクニクス側に与えられるというギブ・アンド・テイク関係にある。最新のベルリン・フィル側からのギフトが、サウンドバーにおける「ベルリン・フィルハーモニー・ホール・モード」だ。現行モデル「SC-HTB900」のファームアップで、同モードがインプリされる。
パナソニックブースで、このモードのON/OFFを、新首席指揮者キリル・ペ...
執筆陣
【麻倉怜士のIFAリポート2019】その8:8Kアソシエーションが、8Kディスプレイと入力信号に関するスペックを発表。事務局長Chris Chinnock氏に、8Kの今後を聞いた。
8KアソシエーションはIFAに向けて、8K機器の推奨スペックを発表した。8K AssociationのExecutive Director、Chris Chinnock氏にその狙いを聞いた。
麻倉 まず、8K Associationについて教えてください。
クリス 今年の一月に発足した、8Kのエコシステムの確立を目指した非営利団体です。当初の構成は、創業メンバーのSamsung Electronics,Hisense、TCL、Panasonic and AU Optronicsでした。この5社がボードメンバーとしてスタートしました。CEメーカー、パネルメーカーの集合でした。初めは、まだ8...
執筆陣
【麻倉怜士のIFAリポート2019】その7:なぜソニーはヨーロッパのプレミアム市場で有機ELナンバーワンになったか。
最近、中国・広州のLGディスプレイ有機EL工場に出張する機会があり、そこで意外な話を聴いた。
中国の有機EL市場には、多くの中国メーカーや韓国メーカーが群がっているが、なかでも日本のソニーと中国のスカイワースの二社が抜きん出ているという。スカイワースは、当初から有機ELにひじょうに力を入れていた深センのメーカーで、そのポジションは当然という気がするが、ソニーの有機ELテレビが高く評価されているのは、誇らしい。
実はヨーロッパ市場でも、ソニーの有機ELテレビはひじょうに評価が高い。55型の1800ユーロ以上の、いわゆるプレミアム市場で30%以上、65型の同じく2500ユーロ以上の市場で40...
執筆陣
【麻倉怜士のIFAリポート2019】その6:LGの48型4K有機ELディスプレイを見た。リビングだけでなく、すべての部屋に有機ELテレビを置く時代がやってくる
LGディスプレイは、IFAの新パビリオン27館で、ごく限られた関係者向けに新製品を公開。それが48インチの4K有機ELだ。
撮影禁止なので、残念ながらパネル製品の写真はないが、昨秋から話題になっていた小型有機ELディスプレイが、遂に完成したことはいろいろな意味で意義深いことだ。今、4Kは現状は77、65、55インチだが、これに48インチが加わることで、マーケティング的にも、テレビスタイル的にも、有機ELの新しい時代を迎えることになる。
これまでは有機ELはプレミアムテレビとして大型化を追求してきたが、今後は、パーソナル化がテーマになる。一家に一台有機ELテレビから、すべての部屋に有機EL...