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【麻倉怜士のIFAリポート2019】その4:有名映画監督が要求した「Filmmaker Mode」の真意。UHDアライアンスの新提案は、映画ファンに喜ばれるだろう
「テレビで映画を見る時には、テレビの動き補間機能をオフにしよう」とのトム・クルーズのメッセージが業界を動かした。
ドルビー、パナソニック、サムスン、ユニバーサル、ワーナー・ブラザースなどのスタジオ、家電メーカー、技術企業など約40社からなるUHDアライアンスが、「フィルムメーカーモード」をIFA開幕直前に発表。組織としては存在するが、目立った成果がなかったUHDアライアンスとしては、初めてのヒット提案といってよい。
トム・クルーズが言うように、24コマを60コマにフレーム補間した映像は動きの部分でまるで宇宙遊泳しているような不自然な浮遊感になるので、私は原則として映画はオリジナルの24コ...
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【麻倉怜士のIFAリポート2019】その3:技術は出尽くしたと思われた液晶に新画質技術の提案が続いた。“デュアルセル”が液晶技術の新トレンド
昨今、中国の液晶テレビメーカーは、有機ELに対抗し、コストの安い液晶でいかに高画質が獲得できるかに、力を入れている。ハイセンスの液晶2枚重ねディスプレイ「ULED XD」はその一例だ。「デュアルセル」と名付けられたこの新方式は4K液晶パネルとバックライトの間にフルHD液晶パネルを挟むというもの。ベースのフルHDパネルが画素単位で白黒信号を表示する。
考え方としては、LEDバックライトによるローカルディミンングの延長だ。バックライトでは分割ブロック数を無限に増やすことは無理だが、ULED XDでは、ベースパネルの200万画素ひとつひとつの単位で明るさをコントロールできる。小さな面積単位で、...
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【麻倉怜士のIFAリポート2019】その2:フィリップスが「Audio is back!」を高らかに宣言。フィリップスブランドのオーディオ製品活躍におおいに期待
フィリップスのプレス・カンファレンスでもっとも驚いたのが、「フィリップス・オーディオの復活!」が高らかに語られたことだ。
ヘッドホン、ノイズ・キャンセリングイヤホン、デザイナーズ・スピーカーなどの流行のアイテムを持つのは、今どきのオーディオメーカーなら当り前で、プレス・カンファレンスでのこれらの製品の紹介も、オーディオメーカーとしては当然のことなのだが、フィリップスだから話が違う。
5年前のフィリップスはフィデリオシリーズなどパーソナルなオーディオアイテムが充実していたが、2014年にフィリップス本体のリストラにより、オーディオ機器における「フィリップスブランド」の使用権をギターメーカー...
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【麻倉怜士のIFAリポート2019】その1:私の9回目のIFA取材が、いよいよ始まる。先進的で勇ましい、日本のスタートアップ企業の取り組みを含め、最新情報をお届け
IFA2019が開幕する。
私のみるところ、1月のCESはイノベーションショーだ。世界から注目の新技術が集結する。しかし、それがすべて製品化されるとは限らない。それはIFAに来て初めて分かる。私は今回でIFA取材が9回目。毎年、新しい製品の登場に目を見張っている。今年も大いに期待できよう。
昨年は出展者数が1,814、ビジター総数が245,000人という超特大の国際見本市だ。CESと異なりIFAはIT、モバイル、オーディオ・ビジュアル、ホーム・アプライアンス……のすべての民生用電気製品を扱うから、規模も大きく、注目点も多い。
特に今年はベンチャー企業を糾合したIFA NEXTの初のパート...
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4K/DLPプロジェクターは、ここまで進化していたか! BenQ「HT5550」を視聴して、映像品質の進化に感動を禁じえなかった【4K DLPの魅力に密着 その2】
4KやHDRの情報量を持ったコンテンツが増えてきている。となるとそれらを高品質な大画面で楽しみたいと思うのは、オーディオビジュアルファンなら当然のこと。薄型テレビでも50インチや60インチが可能だが、より大きいサイズとなると、やはりプロジェクターが最有力だろう。そんな大画面ファンに体験してもらいたいのが、4K/DLPプロジェクターのBenQ「HT5550」だ。今回はその進化のほどを麻倉怜士さんに徹底的にチェックしてもらった。(編集部)。
最新の4K/DLPプロジェクターは、ここまで進化したか……筆者は、ある種の感慨を抱くことを禁じえなかった。
1990年台の後半、DLPは私のアイドルだっ...
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「4K映画はすばらしい!」 この感動を分かち合うために、NHKの坂本チーフプロデューサーに会いに行った:麻倉怜士のいいもの研究所 レポート24
連載「4K(8K)深掘り」で紹介した通り、麻倉さんのお宅では8K用HDDレコーダーのシャープ「8R-C80A1」がフル稼働状態だ。加えて4K放送についても、複数台のレコーダーを駆使してエアチェックに励んでいるという。その中でも注目はNHK BS4Kの「4Kシアター」で、各作品のレベルの高さに感心することしきりとか。そこで今回は、NHK編成局 展開戦略推進部 チーフプロデューサー 坂本朋彦さんに、7月以降の4K映画番組の展開をうかがうことにした。
——今日はお時間をいただきありがとうございます。坂本さんには先日も4K映画に関するインタビューにご協力いただきました。今回はそれに続き、麻倉さん...
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「8Kでは、昔よりカット割りしなくなってきた」 映像作家の岩井俊二さんが考える、8Kで人物を撮るということ:麻倉怜士のいいもの研究所 レポート23
前回ご紹介したとおり、6月13日〜14日に「アストロデザインプライベートショー」が開催された。その初日には、映画監督の岩井俊二さんが「8Kで人物を撮るということ」というセミナーを開催している。美しい映像を撮ることで知られる岩井さんが、8Kをどのように考えているのか。それを知るべく、麻倉怜士さんと一緒にセミナーの記録映像を見せてもらった(セミナー当日は先約があったため)。映像制作のプロにとって、8K撮影の魅力はどんな点にあったのだろうか。
先日のアストロデザインプライベートショーで開催された、岩井俊二監督の「8Kで人物を撮るということ」というセミナーの記録映像を拝見しました。
これは岩井...
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「放送&配信時代の8Kはどうあるべきか?」 アストロデザインの鈴木茂昭社長に、これからの8Kの展望を聞く:麻倉怜士のいいもの研究所 レポート22
6月13日〜14日、東京・大田区のアストロデザイン本社において、恒例の「アストロデザインプライベートショー」が開催された。8Kを始めとする超高精細映像技術がずらりと並ぶこの催しには、今年も多くの映像のプロが詰めかけていた。そんなアストロデザインの代表取締役社長 鈴木茂昭さんに、これからの高画質展開についてインタビューを実施した。常に“次”を見つめている鈴木社長の今年の展望とは。
麻倉 今年も「プライベートショー」にお招きいただき、ありがとうございます。アストロデザインさんは、これまでも8K技術の最先端を走っていました。先日開催されたNHK技研公開でも、アストロデザインとLGが技術協力した...
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世界最大のオーディオショー「High End Munich 2019」で見つけた、気になるスピーカーをまとめて紹介します(後):麻倉怜士のいいもの研究所 レポート21
現地時間の5月9日から12日まで、ミュンヘンでハイエンドオーディオショー「High End Munich 2019」が開催された。前回に続いて、その会場で麻倉怜士さんが気になった製品をしっかりご紹介します!(編集部)
エラック「BS 312 JUBILEE」「CARINA」
次はエラックです。同社新製品の「BS 312 JUBILEE」は正式な発表前とのことで、ディーラールームにひっそり参考展示されていました。
そのサウンドは、BS310から始まるハイブリッドコーンと、JETトゥイーターとアルミ筐体という伝統を受け継ぎつつ、ひと皮むけた清々しい開放感があって、リニアリティのひじょうにいい...
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世界最大のオーディオショー「High End Munich 2019」で見つけた、気になるスピーカーをまとめて紹介します(前):麻倉怜士のいいもの研究所 レポート20
現地時間の5月9日から12日まで、ミュンヘンでハイエンドオーディオショー「High End Munich 2019」が開催された。「High End Munich 2019」は、今や1月のラスベガスCESをも凌駕する世界最大、世界最高のオーディオショーとも言われ、会場内には多くの注目ブランドが並んでいるという。今回はそんな中から、麻倉怜士さんがチェックした製品群について、じっくり語っていただいた。(編集部)
今年も「High End Munich 2019」は盛大に盛り上がっていました。ちなみに今回のショーは、もちろん取材という目的もありましたが、同時にUAレコードのプロモーションも行な...