執筆陣
PIEGA ピエガの新エントリーラインはシャープなキャビネット、豊かな音
AMT(エアー・モーション・トランスフォーマー)トゥイーターとMDS(マキシマム・ディスプレイスメント・サスペンション)コーン型ウーファーによる組合せ。ピエガの新エントリーラインを形成するAceシリーズは、これら熟成されたドライバーユニットを採用した優美なアルミ製キャビネットをまとっている。それはほぼシームレス構造の、同社の伝統といってよいアルミ押出し材によるスリムなフォルムで、フロントバッフルをウーファーのフレームのギリギリまで絞り込むことで回折現象(ディフラクション)の悪影響を回避し、楕円形断面のフォルムと相まって理想的な音波の放射を実現している。
通常の使用状態ならば、前方から見え...
執筆陣
映画と音楽再生のためのスピーカー選び【TAD】映像とリンクしてその世界に引き込む圧倒的リアリティ
TADスピーカーの本質は、「正確なトランスデューサーであれ」というものだ。それは、ドライバーユニットの開発からスタートしたことと無縁でない。加えて、そのルーツであるパイオニアが、ドライバーユニット(フルレンジスピーカー)の独自開発・製造を足掛かりに誕生(1937年)したメーカーという点も無視できないところだ。
アメリカから招聘されたスピーカーエンジニアBart Locanthiのリーダーシップの元で開発されたドライバーユニットは、入力信号にいかに忠実な反応をするかという点に特化し、世界の著名な音楽製作現場のハイレベルな要求にいかに応えていくかということを二人三脚で進めていった成果だ。結果...
執筆陣
名盤ソフト 聴きどころ紹介27/『チャイコフスキー:ピアノ協奏曲 第1番』『ワーグナー:ザ・ゴールデン・リング〜楽劇《ニーベルングの指環》』 Stereo Sound REFERENCE RECORD
ステレオサウンドがリリースする「オーディオ名盤コレクション〈クラシック篇〉」は、原則SACDとCDの2枚組。SACDは1枚の12㎝ディスクの中にSACD層とCD層を有したハイブリッドディスクではない、シングルレイヤー仕様である。
ハイブリッド仕様のSACDの場合、厚さ1.2mmの中に、レーザー光源側から見て0.1mmにSACD層、0.6mmにCD層が記録されている。読取り時のレーザー光線の波長が異なるため、干渉はないといわれているが、シングルレイヤーSACD盤とハイブリッドSACD盤を聴き比べると音の違いは確かにあって、質感描写のなめらかさや音場の見通しのよさでシングルレイヤーSACDが...
執筆陣
【HiViレビュー】ネットワークプレーヤー、Aurender「ACS10」こんなCDストリーマーを待っていた、唯一無二のデジタルファイル再生システム
HiVi6月号の特集「ネットワークプレーヤーの最先端」でフィーチャーされたのはオーレンダーのACS100。そのいっぽうで、「夏のベストバイ」ネットワークトランスポート部門で第1位となったのはACS100の上位モデルACS10だった(ACS100は同部門第5位)。つまり、オーレンダーの新製品がとても注目されているということ。ここでは、かねてからのオーレンダーユーザー小原由夫さんの自宅でACS10の試聴テストを実施。その魅力を解説していただこう。(編集部)
Aurender
ACS10
¥770,000+税
●接続端子:デジタル音声入力1系統(USB)、デジタル音声出力1系統(USBタイプA...
執筆陣
【HiViレビュー】スピーカーシステム、ELAC、Solano 「BS283」「FS287」注目プリメインアンプと組み合わせて極上のサウンドを楽しむ
上級機からの技術を継承した高い完成度が特徴
エラック・スピーカーのシンボリックなアイコンは、誰もが「JETトゥイーター」であるという認識だろう。エントリークラスの一部機種を除く同社スピーカーシステムに全面的に採用されているこのオリジナル・ドライバーは、振動板を細かなプリーツ状に折り畳み、振動面積の拡大と微細な振動での高い音圧、そして超高域再生を実現したリボン型トゥイーターだ。最新鋭のそれは、「JET V」と命名された第五世代である。
現行モデル中でJETトゥイーターを搭載しているのは、全11機種(センター専用機などを除く)。内訳はトールボーイ型7機種、ブックシェルフ型4機種。なかでもとり...
執筆陣
名盤ソフト 聴きどころ紹介26/『ロッシーニ:弦楽のためのソナタ集(全6曲)、二重奏曲、パガニーニによせてひと言、涙』『ヴィヴァルディ:協奏曲集《四季》』Stereo Sound REFERENCE RECORD
オーディオのメインのメディアがレコードからCDに置き換わろうとした頃、その動きをもっとも支持したのはクラシック愛好家だった。それは単にヒスノイズやスクラッチノイズといったアナログ特有の問題がクリアーしただけでなく、ダイナミックレンジやS/Nの拡大、さらには盤を裏返したり、交換したりといった再生時の煩わしさから解放されたことも大きかった。
他方、SACDが今もこうして音のいいメディアとして重用されているのは、ひとえにクラシック好きのオーディオファイルの存在がこれまた無視できないと私は思う。12cmディスクメディアの世界的な市場縮小の中で、クラシックSACDはいまもってコンスタントにリリース...
執筆陣
LP『テレサ・テン ラストコンサート』は、まるで昨日収録されたかのような鮮度の高い臨場感。フルリミックス音源から作られた、初めてのレコードの魅力を堪能!
その甘い歌声と確かな歌唱で多くのアジア人を魅了したカリスマ歌姫テレサ・テン。この度ステレオサウンドからリリースされた2枚のLP『テレサ・テン ラストコンサート -1985.12.15 at NHK Hall-』は、今から30数年前に収録された、生前の彼女のソロコンサートを前編/後編に分けたものだ。
初めにお断わりしておくが、私はテレサの熱心なリスナーではない。したがって彼女の活動歴の中でこのコンサートがどれほど貴重なものか、あるいは当時の彼女を取り巻く環境がどうだったかは知る由もない(再来日/再デビュー後、紅白出場を果たした人気絶頂期であったようだ。詳細はコラムを参照)。
それでもこのコ...
執筆陣
エアパルス「A80」「A300Pro」は万能、小型、そして強力サウンドのスピーカー
〝デスクトップスピーカー〟と聞いて、貴方はどんなシチュエーションを思い浮べるだろうか。PCとの組合せ?パーソナルなサブシステム?メインシステムとは傾向の違う気分転換用?私の場合はそのすべてが該当する。とはいえ、サウンドクォリティや機能に妥協はしたくなく、最新フォーマットに対応したフィーチャーにも期待して、先頃私はエアパルスA80を新たに迎え入れた。
Active Speaker System
AIRPULSE
A80
オープン価格(実勢価格¥77,000前後)
●型式:デジタル入力対応アンプ内蔵スピーカーシステム
●使用ユニット:リボン型トゥイーター、115mmコーン型ウーファー
●アン...
執筆陣
名盤ソフト 聴きどころ紹介22/『歌姫 -Stereo Sound Selection-/中森明菜』Stereo Sound REFERENCE RECORD
同世代ということもあり、ハイティーンの頃の私の周囲には中森明菜の歌が常に流れていた。テレビの歌番組、あるいはバラエティで彼女の歌声はよく耳にし、その歌唱力の高さに感心したものだ。かつてはLPも何枚か所持していたが、現在手元に残っているのは86年リリースの『CRIMSON』のみ(シングルバージョンとは異なる『駅』の素晴らしい歌唱が収録されているから)。そのいっぽうで、カバーアルバム『歌姫』シリーズは、バリエーションである『艶華−Enka−』も含めて5枚のCDを所持。中でも02年発表のセルフカバー集『歌姫〜ダブル・ディケイド』は、マスタリングの際にセシウムクロックを用いて高音質化を図った盤だ...
執筆陣
名盤ソフト 聴きどころ紹介20/『スペクトラム(+4)/スペクトラム』『オプティカル・サンライズ(+3)/スペクトラム2』 Stereo Sound REFERENCE RECORD
音楽に対してもっとも多感だった中学から高校にかけて、ほぼ同時にオーディオにも関心を持った私が盛んに聴いていたのが、YMO、そしてスペクトラムである。スペクトラムの音楽は、歌謡曲にブラス・ロックを持ち込んだとも形容できるし、当時勃興し始めたクロスオーバー(今日のフュージョン)と和製ロックの懸け橋と捉えることもできた。解散から40年ほど経った今も、中高生ブラスバンドやアマチュア吹奏楽ファン等から伝説のバンドとして神格化されている。
今回彼らが残したアルバム5枚がビクターエンタテインメントとステレオサウンドの協力の下、最新機材を駆使してリマスタリングされ、SACDハイブリッド盤としてタワーレコ...
執筆陣
SHUREのイヤホン「AONIC 215 True Wireless」はワイヤレスでも“シュア掛け”できる、MMCXタイプユーザー必見モデル
矢継ぎ早に市場投入される完全(トゥルー)ワイヤレスイヤホン。価格も数千円から数万円までと幅広いが、その大半はハウジング本体にアンテナやレシーバーを内蔵したものだ。そうしたモデルと比較した時、このシュアAONIC(エオニック)215のデザインは少々特異に映るかもしれない。
本機は人気モデルSE215をトゥルーワイヤレス仕様にしたものと理解してよい。私が注目したのは、トゥルーワイヤレスを実現しながら外れにくい(落ちにくい)形状を提案したことで、しかもそれが伝統の耳掛け、いわゆる“シュア掛け”のスタイルを踏襲しているのがユニークだ。この耳に引っ掛ける後ろ部分にアンプやアンテナが仕込まれているの...
執筆陣
【HiVi名作選】スピーカーシステム MORDAUNT-SHORT「Performance 6」(2011年7月号)
オーディオやオーディオビジュアルの世界は日進月歩。次々に新しい技術やそれを搭載した新製品が登場し、入れ替わりも早い。だが同時にそれらは、常に時代の最先端を走っているモデル達でもあり、思い出に残る製品ともいえる。このシリーズでは、弊社出版物で紹介してきた名機や名作ソフトに関連した記事を振り返ってみたい。
ユニット間の位相管理が秀逸
抜群の追従性能でセリフをシャープに結ぶ
<PROFILE>
昨年(編注2010年)9月に日本再上陸を果して以降、英国モダンショート社のスピーカーは続々と日本市場に紹介されているが、いよいよフラッグシップ機の登場だ。
前面から見たそのフォルムは、スリムなトールボー...