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“音楽に浸る快感”を素直に楽しめる。ZMFのオープンエア型ヘッドホン「Auteur」とFeliksオーディオの真空管式ヘッドホンアンプ「Euforia」は、実に魅力的な組合せだ
世界的なヘッドホン・ブームは、そのファッション性も相まって主にアウトドアでのニーズが高く、インドアではやはりスピーカーで音楽に接するケースがまだ大多数だろう。しかし中には、住環境やスペースなど、さまざまな条件や制約から屋内でのヘッドホンリスニングに注力している人も少なくない。とりわけオープンエア型の愛好家には、そうしたこだわり派が多いようだ。
ここに紹介するZMFヘッドホンは、熱狂的な支持者が多いメーカー。しかも今回組み合わせたヘッドホンアンプは、相性がよいとメーカーが推すFeliksオーディオの管球式アンプである。このひじょうにマニアックなペアリングでの音の印象を報告しよう。
ヘッドホ...
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名盤ソフト 聴きどころ紹介11/High Resolution MASTER SOUND Stereo Sound REFERENCE RECORD
前回に引き続き、ステレオサウンドの「Stereo Soundリファレンスレコード」シリーズ〈オーディオ名盤コレクション〉から11.2MHzパッケージの最新ラインナップを紹介しよう。前回でも記したが、このシリーズの最大の特徴は、英国デッカが管理・保管するオリジナル・アナログマスターテープをダイレクトにDSD11.2MHz変換している点だ。いわばスタジオマスターの音そのものが聴けるといっても過言でなく、既発のSACD(2.8MHz)に比べていっそうリアルな音色と生々しいプレゼンスが堪能できるシリーズなのである。
はじめに、前回でのレビュー時とは拙宅の再生環境が少し異なっているので説明しておき...
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重量感たっぷりでキレのある低音、KEF KF92の実力
本機は、KEF Rシリーズ等との組合せに最適なコンパクトな新型サブウーファー。キュービック・スタイルのエンクロージャーに23cm口径のハイブリッド・アルミニウムウーファーを背中合わせに搭載。それは大口径ボイスコイルと大型フェライト磁石を採用し、放熱や背圧にも配慮した設計だ。それぞれを500WのクラスDアンプ2基が駆動するという仕様である。型番は同社伝統のKubeシリーズを継承する意味から、その頭文字の“K”に、背中合わせ構造の「Force Canceling」の“F”、9インチドライバーを2基、という由来だ。
独自のDSP技術「Music Integrity Engine」の搭載にも注目...
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英国 Q Acousticスピーカーシステム Concept 500/300。独自構造で実現した音像の広がり、躍動感も静謐さもきっちり描き出す
英国Qアコースティクスのスピーカーといえば、コンパクトで洒落た佇まいながら、エンクロージャーの部材に独自のメソッドを採り入れるなど、ユニークなアプローチで知られる。今回試聴したConcept 500/300の2機種とて例外でなく、非硬化性ゲルによる3層構造の板材が用いられており、振動を熱に変換・吸収するシステムが継承されている。また、新たに導入された「Point 2 Point」技術による内部の振動解析で適材適所のブレーシングを施し、より効果的な補強法が確立された点にも注目したい。
両機種のドライバーユニットは共通だ。28mmのソフトドーム型トゥイーターは、ラバー製ガスケットに取り付けら...
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名盤ソフト 聴きどころ紹介10/High Resolution MASTER SOUND Stereo Sound REFERENCE RECORD
ステレオサウンド社が積極的に推進する「Stereo Soundリファレンスレコード」シリーズの中の〈オーディオ名盤コレクション〉は、シングルレイヤーSACD+CDの2枚組の他に、BD-ROMによる11.2MHzのパッケージもリリースしている。2.8MHzのSACDと比べてその情報量は圧倒的で、再生環境があれば、より高品位な音楽鑑賞が可能となる。これらコンテンツは、英国デッカに保管されているオリジナル・アナログマスターテープをダイレクトに11.2MHz DSD信号に変換したもので、現在望み得る最高のマスター音源といえよう。今回は2019年秋に発売された4タイトルを取り上げる。
今回は、DE...
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名盤ソフト 聴きどころ紹介8/『安全地帯』 Stereo Sound REFERENCE RECORD
現在のJポップ/ニューミュージック界隈を見渡した時、歌の上手いベテランシンガーとなると、玉置浩二が真っ先に思い浮かぶ。バンド〈安全地帯〉でデビューした彼の歌唱を初めて聴いた時、その豊かな表現力と底なしにさえ思える声量に圧倒されたことをよく覚えている。彼らのLPを私は高校生時分に購入し、当時自作したスピーカーとアンプで楽しんでいた。あの頃の純粋無垢な感動が、今回ステレオサウンド社よりリリースされた「ステレオサウンド オリジナルセレクションVol.3『安全地帯』」、「ステレオサウンド アナログレコード コレクション『安全地帯ベスト』」を聴いて鮮明に蘇ってきたのである。
北海道・旭川市で誕生し...
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モレルの新作、ブックシェルフ・スピーカー2種登場。 技術力の高さを実感させる表現力に感心!
昨秋から日本に正式リリースされているモレル。1975年にイスラエルにて創業されたこのスピーカー専業メーカーは、ドライバーユニットを独自に内製できる世界有数のメーカーで、自社ブランドを立ち上げてホームオーディオにも事業展開したのが2002年から。いっぽうで国内カーオーディオ市場では既に著名な存在で、各地のサウンドコンテストで上位入賞を多数輩出する人気ブランドである。
先行した2機種に続いてこの度デビューしたのは、VARIO XとVARIO ELITEと命名されたブックシェルフ型2ウェイスピーカー。2機種はビニールクロス仕上げのMDF製エンクロージャーに樹脂製ABSフレームの前面バッフルとい...
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名盤ソフト 聴きどころ紹介1 /『クロスオーバー黄金時代』 Stereo Sound REFERENCE RECORD
フュージョン全盛期の珠玉の名曲を
フラットトランスファーSACDで聴く
SACD/CDハイブリッド盤『クロスオーバー黄金時代』(2019年春、ステレオサウンド社より発売)に収録した13曲は、私の青春時代を彩ってくれた珠玉の名曲ばかりだ。これら楽曲をまさしく聴き倒し、私はジャズ/フュージョンの知識を高め、それをよりよい音で再生するべくオーディオのスキルを磨いていったのである。その解説の機会をここにいただいたので、本盤を通して往時の“和フュージョン”の特色を分析してみたい。
▶収録曲(全曲初SACD化)
①モーニング・アイランド 渡辺貞夫(『Morning Island』1979年作品より)...
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頭外定位ヘッドホン第2弾、小型軽量化されたクロスゾーン CZ10
画期的なコンセプトと構造をしっかりと継承したCZ1の弟分
CZ10のコンセプトは、16年のデビュー作CZ1の構造的特徴(クロスゾーンのヘッドホンのそれが真骨頂であり、最大のセールスポイント)を継承しながら、ポータブルユースも意識してコンパクト化/軽量化を目指し、さらにコストダウンも図るというもの。価格はCZ1の約3分の1だ。
では、クロスゾーンの構造的特徴とは何だろう。それは、コンベンショナルなヘッドホン固有の頭内定位を解消する独自のドライバー構造だ。具体的には、ヘッドホンの片側ユニットに反対チャンネルの音を少し混ぜ込むことで、前記の問題をクリアーしている。そのため本機のイヤーカップ内に...
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Astell & Kernの新鋭機 KANN CUBE。シリーズ最大サイズのボディに詰まった高い駆動力が自慢。
ハイレゾ対応DAPの代名詞的存在のアステル&ケルン。豊富なラインナップを誇るその製品群に新たに加わったのがこのKANN CUBE。シリーズ最大サイズのボディに、ポータブル機としては初めてESSテクノロジー社の8ch DACチップES9038PROをデュアル駆動で搭載した点が話題だ。これが12Vrms(バランス)、6Vrms(アンバランス)という驚異的な高出力の源となっている。
装備の面では、先代のKANNにあったライン出力端子が省かれた点を惜しむ声があるだろうが、その代わりに搭載されたMini XLR 5-pinがユニーク。これはホームオーディオとの親和性を高めるもので、XLR変換ケーブ...
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薄型AVセンターの定番はマランツ。2ch音楽再生用途にも推奨される MARANTZ NR1710
薄型AVセンターの定番はマランツ。そんなイメージがすっかり定着しているところに、早くもニューモデルの登場だ。本機NR1710は、昨年発売のNR1609から全回路の基板パターンを見直し、細部に渡る音質関連部(部品)の全面ブラッシュアップを果たしているのが特徴。機能面では「ドルビーアトモス・ハイト・バーチャライザー」や、ブルートゥースヘッドホンへの直接接続機能が目新しい。ちなみにこの薄型AVセンターNRシリーズは、2015年以来毎年グレードアップ/マイナーチェンジが図られており、NR1609は昨年6月以降のAVセンター国内売上げでシェアトップを獲得しているという。
ブラッシュアップの効果は顕...