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モレルの新作、ブックシェルフ・スピーカー2種登場。 技術力の高さを実感させる表現力に感心!
昨秋から日本に正式リリースされているモレル。1975年にイスラエルにて創業されたこのスピーカー専業メーカーは、ドライバーユニットを独自に内製できる世界有数のメーカーで、自社ブランドを立ち上げてホームオーディオにも事業展開したのが2002年から。いっぽうで国内カーオーディオ市場では既に著名な存在で、各地のサウンドコンテストで上位入賞を多数輩出する人気ブランドである。
先行した2機種に続いてこの度デビューしたのは、VARIO XとVARIO ELITEと命名されたブックシェルフ型2ウェイスピーカー。2機種はビニールクロス仕上げのMDF製エンクロージャーに樹脂製ABSフレームの前面バッフルとい...
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名盤ソフト 聴きどころ紹介1 /『クロスオーバー黄金時代』 Stereo Sound REFERENCE RECORD
フュージョン全盛期の珠玉の名曲を
フラットトランスファーSACDで聴く
SACD/CDハイブリッド盤『クロスオーバー黄金時代』(2019年春、ステレオサウンド社より発売)に収録した13曲は、私の青春時代を彩ってくれた珠玉の名曲ばかりだ。これら楽曲をまさしく聴き倒し、私はジャズ/フュージョンの知識を高め、それをよりよい音で再生するべくオーディオのスキルを磨いていったのである。その解説の機会をここにいただいたので、本盤を通して往時の“和フュージョン”の特色を分析してみたい。
▶収録曲(全曲初SACD化)
①モーニング・アイランド 渡辺貞夫(『Morning Island』1979年作品より)...
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頭外定位ヘッドホン第2弾、小型軽量化されたクロスゾーン CZ10
画期的なコンセプトと構造をしっかりと継承したCZ1の弟分
CZ10のコンセプトは、16年のデビュー作CZ1の構造的特徴(クロスゾーンのヘッドホンのそれが真骨頂であり、最大のセールスポイント)を継承しながら、ポータブルユースも意識してコンパクト化/軽量化を目指し、さらにコストダウンも図るというもの。価格はCZ1の約3分の1だ。
では、クロスゾーンの構造的特徴とは何だろう。それは、コンベンショナルなヘッドホン固有の頭内定位を解消する独自のドライバー構造だ。具体的には、ヘッドホンの片側ユニットに反対チャンネルの音を少し混ぜ込むことで、前記の問題をクリアーしている。そのため本機のイヤーカップ内に...
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Astell & Kernの新鋭機 KANN CUBE。シリーズ最大サイズのボディに詰まった高い駆動力が自慢。
ハイレゾ対応DAPの代名詞的存在のアステル&ケルン。豊富なラインナップを誇るその製品群に新たに加わったのがこのKANN CUBE。シリーズ最大サイズのボディに、ポータブル機としては初めてESSテクノロジー社の8ch DACチップES9038PROをデュアル駆動で搭載した点が話題だ。これが12Vrms(バランス)、6Vrms(アンバランス)という驚異的な高出力の源となっている。
装備の面では、先代のKANNにあったライン出力端子が省かれた点を惜しむ声があるだろうが、その代わりに搭載されたMini XLR 5-pinがユニーク。これはホームオーディオとの親和性を高めるもので、XLR変換ケーブ...
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薄型AVセンターの定番はマランツ。2ch音楽再生用途にも推奨される MARANTZ NR1710
薄型AVセンターの定番はマランツ。そんなイメージがすっかり定着しているところに、早くもニューモデルの登場だ。本機NR1710は、昨年発売のNR1609から全回路の基板パターンを見直し、細部に渡る音質関連部(部品)の全面ブラッシュアップを果たしているのが特徴。機能面では「ドルビーアトモス・ハイト・バーチャライザー」や、ブルートゥースヘッドホンへの直接接続機能が目新しい。ちなみにこの薄型AVセンターNRシリーズは、2015年以来毎年グレードアップ/マイナーチェンジが図られており、NR1609は昨年6月以降のAVセンター国内売上げでシェアトップを獲得しているという。
ブラッシュアップの効果は顕...
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morel SOPRAN ホットな高分解能サウンド 期待大のスピーカーが日本デビュー
「HiVi」10月号で速報をお伝えした、イスラエルのスピーカーブランド モレルの2製品が発売となった。スピーカーユニットを内製できる世界でも有数のブランドで、今回デビューしたのは、フロアスタンディング型のSOPRAN(ソプラン)、ブックシェルフ型のOCTAVE 6 Limited Editionの2機種。早速、そのサウンドを検証していこう。
モレルはイスラエルに拠点を置くスピーカー専業メーカー。創業は古く、1975年にメイヤ・モルデハイ氏が会社を興した。東京の老舗オーディオショップが同社のブックシェルフ型2ウェイモデルを一時期輸入していたことがあるが、公式な日本デビューは今回が初めて。既...
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FOCAL「LISTEN PRO」は、モニター的正確性がありつつ音楽的再現性も高いヘッドホン
FOCALのプロフェッショナル向け密閉型モニター・ヘッドホン
フォーカルのプロ用ヘッドホンである本機「LISTEN PRO」は、長時間のリスニングでも疲れない装着感と、ネジレに強いバンド構造など、快適性と耐久性を追求しているのが特徴だ。
ドライバーは40mm口径の新規開発品。中心部がマイラー+チタン、周辺部がマイラー100%の逆ドーム型になっている。こうした構造は、リニアリティと情報量再現を重視したためと思われる。イヤーパッドも本機用に開発されたもので、低反発マイクロファイバーを採用。通気性が重視されている。パッドと同じ赤色でカラーコーディネートされたヘッドバンドは、シリコン製のクッショ...
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フォーカル「KANTA N°2」レビュー:うっとりと聴き惚れてしまう色艶を感じさせるサウンドのスピーカーだ
上級機開発で培った技術を搭載したミドルクラスの新シリーズ「KANTA」登場
「KANTA」は、仏フォーカル社の新しいスピーカーライン。「KANTA N°2」は3ウェイ4スピーカーのフロアー型だ。全ラインナップで見た位置付けとしては、「UTOPIA」と「SOPRA」に次ぐ、ちょうど中間的ポジションとなる。
本機に採用されたドライバーユニットは、いずれも採用実績のある材料を用いた最新版だ。27mm口径の「IAL3」ピュアベリリウム・インバーテッド・ドームトゥイーターは、同社のシンボルといえる、ダイヤモンドに次いで振動伝播速度の速いベリリウムを使用したドライバー。今回はユニット内の形状を見直し...
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【レビュー】ソニーの低価格AVアンプ「STR-DH790」は、SEの実在感が特筆に値するレベルだ
ドルビーアトモスとDTS:Xに対応した「STR-DH770」の後継機
本機「STR-DH790」は、現行ソニーAVアンプ群のミドルモデルに当たり、先代の「STR-DH770」と同じ7chパワーアンプ搭載機ながら、ドルビーアトモス/DTS:Xに対応したことが新しい。したがって、トップスピーカーを含めた5.1.2というスピーカー構成に展開できる。また、この価格帯のモデルながら、4K/60p/4:4:4(8bit信号)のパススルー機能対応のHDMI入出力端子を備えている点もセールスポイントだ(HDR10やハイブリッド・ログガンマ、ドルビービジョンも同様に対応)。
フィーチャーとしての訴求点は、...
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【レビュー】シャープの70型4K液晶「4T-C70AU1」でUHD BDを見るのが楽しい! グラデーションは稠密で質感再現もきめ細かい
3原色パネルを採用した4Kアクオスのフラッグシップモデル
今回レビューする「4T-C70AU1」は、4K液晶アクオスフラッグシップラインの最大サイズ機。ドーム型トゥイーターと上下対向配置としたミッドレンジによる画面両サイドの2ウェイと、背面のサブウーファーで構成された10スピーカーシステム「AROUND SPEAKER SYSTEM」を搭載していることからもわかるように、サウンドにも注力したモデルである。
注目は、画質を司る映像エンジンだ。「AQUOS 4K Smart Engine」と名付けられたそれは、新開発の「4K-Masterアップコンバート」と「リッチカラーテクノロジープロ」、...
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【レビュー】RME初のコンシューマー向けUSB DAC「ADI-2 DAC」を聴く。偏りのないフラットサウンドかつ微小信号の再現力に長ける
プロ向けの「ADI-2 Pro」をコンシューマー向けにリファインしたモデル
本機は、好評のプロ機AD/DAコンバーターの「ADI-2 Pro」を家庭用にモディファイしたバリエーションといえる存在。基本性能や機能はADI2Proに準じたものだが、近年のヘッドホン/イヤホン市場の隆盛を受け、ヘッドホンリスニングに関わる機能を強化しているのが特徴だ。
具体的には、イン・イヤー・モニター(IEM)で良好なパフォーマンスが得られるよう、低インピーダンスに最適化された3.5mmのヘッドホン・ミニジャックを装備した(ADI2Proでは、バランス接続に対応した標準ジャックを2基装備)。こうした仕様は、R...
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フォーカルのプロ用ヘッドホン「Clear Pro」レビュー:驚くべき打楽器の質感。この再現力は並大抵ではない
フォーカル「Clear Pro」はプロ向け開放型モニター・ヘッドホン
「Clear Pro」はフォーカル初のプロ用オープンバック型(開放型)ヘッドホンである。民生用のハイエンド機「Elear」や「Utopia」の要素技術を活用しながら、音楽制作におけるプロフェッショナルの現場向けに、フラットでクセのない『プロ・チューニング』が施されている点が本機の特徴だ。
一般的にプロの音楽制作現場では、スタジオブース、ミキシングルームとも、密閉型ヘッドホンが使われるのが慣例だ。なぜならば、外部の音が遮断でき、音に集中できるからである。しかし、Clear Proはオープン型。そこがフォーカルの大いなるチ...