ラディウスの「HP-B100BT(Beethoven)」は、ユニークな骨伝導構造「リングフィットボーンコンダクション」を採用した、オープンタイプの完全ワイヤレスイヤホン。現在、クラウドファンディングサイト「GREEN FUNDINNG」にて支援を受付中(~3月31日)の製品だ。
完全ワイヤレス方式骨伝導イヤホン
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「HP-B100BT(Beethoven)」
¥33,000(税込)
●HP-B100BT(Beethoven)の主な仕様
通信方式:Bluetooth標準規格 Ver5.3
対応プロファイル:A2DP、AVRCP、HFP、HSP
対応コーデック:SBC、AAC
連続再生時間:最大5時間(実測値)、充電ケース使用時/最大17.5時間(実測値)
ドライバーユニット:骨伝導
ドライバーユニットサイズ:14mm
出力音圧レベル:87±4dB
再生周波数帯域:15Hz~20kHz
インピーダンス:8Ω
マイクタイプ:デュアルノイズリダクションマイク+AIコールノイズリダクション
マイク感度:-48dB
防水規格:IPX5
付属品:イヤーピース(S/M/L)各1セット、充電ケーブル(USB-C to USB-A)、取扱説明書(保証書)
▼クラウドファンディングにて支援受付中▼
https://greenfunding.jp/lab/projects/7808
近年人気を集めている完全ワイヤレスイヤホンは、音楽再生だけでなく、通話もそのままできてしまう便利な製品だが、耳を塞いでしまうことから、急に他の人から声をかけられても気付かない、駅の中でのアナウンスが聞きとりにくいといった不便さも多少はある。そのため、イヤホンを装着していても周囲の音(状況)を確認できる、いわゆるオープンタイプのイヤホンへのニーズが高まってきていて、各社から数多くの対応製品が登場している。その中でも注目なのが、骨伝導イヤホンだ。
骨伝導とは、音を感じる聴覚器官に対して、一般的な空気振動を通じて(音を)伝えるものではなく、その名の通り骨を通じて聴覚器官に伝える手法だ。「HP-B100BT」の愛称である「Beethoven」は、音楽家であるルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェンが若くして聴覚に障害を持ち、口にくわえた木の棒をピアノに押し当てて(いわゆる骨伝導)、ピアノの音を聴いていたとされる逸話に由来している。
骨伝導だから耳の穴を塞ぐことはなく、周囲の音を確認しながら音楽を楽しめるため、さまざまなメーカーからいくつも製品化されている。ただし、一般的な骨伝導イヤホンでは、周波数特性が狭いことや充分な音圧が確保しにくいなど、音質的には物足りない部分もあった。そこでラディウスでは、骨伝導のパイオニアとして、世界初の骨伝導イヤホンマイクや骨伝導携帯電話などの製品を開発してきたテムコジャパンが新開発したダイナミック型ハイブリッド骨伝導ドライバーを採用。ラディウスの持つ高音質イヤホン開発のノウハウを組み合わせ、クリアで迫力あるサウンドと優れたステレオ感を実現した「Beethoven」を誕生させた。ここでは、耳を塞がないイヤホンの決定打となりうるユニークな「Beethoven」のインプレッションをお届けしたい。
独自の構造でクリアな高域の再現と音漏れの抑制を両立。軽快な装着感で長時間の使用も楽しめる
まずは、そのダイナミック型ハイブリッド骨伝導ドライバーについて解説しよう。「Beethoven」には、ドライバーを内蔵した耳の上に被さる長方形のパーツと、そこから伸びたリング状のパーツがあるが、ドライバーの発した振動はリングパーツを通して耳甲介(耳の穴の周囲のくぼんだ部分)から骨伝導で中低音域が伝達される。これに加えて、ドライバー部分に備わった音出孔から気導音(いわゆる空気振動で伝わる音)で高音域を伝達するという、ハイブリッド方式を採用している。
一般的な骨伝導ドライバーは、高域の周波数特性が充分でないものが多く、高域の詰まったナローレンジな音になる傾向があった。それを上記のようなハイブリッド方式で高音域をカバーすることにより、「Beethoven」では充分な周波数特性を獲得しているのだ。
また、ドライバー部分は振動するため、筐体からの空気振動が生じてしまう。いわゆる音漏れだ。これについても、筐体から発せられる表裏の振動を互いに打ち消し合わせる「リバーサルフェーズアンチリーク」の採用で解消している。振動体であるドライバーが肌に直接触れない構造と、テムコジャパンの骨伝導技術が融合したユニークで実用的なアイデアと言える。これにより、骨伝導タイプとは思えない高音質と音漏れもほとんどない使い勝手の良さを実現している。
装着してみると、リング状のパーツは耳の穴にすっぽりと収まり、シリコンバンドでつながった二つの長方形の部分が、耳にひっかかる感じになる。耳を挟むような装着ではないので外れないかという不安もあるが、案外しっかりとフィットしていて、頭を強く振ったくらいで外れるようなことはなかった。もっとしっかりと耳を挟んでくれた方が好みという人もいるかもしれないが、ずっと装着したままで使用することを考えると、これくらい軽快でいいと思う。耳の穴も塞がず、圧迫感もないので、数時間装着したままでいてもまったく気にならなかった。
骨伝導イヤホンのイメージを刷新する自然で力強い音。音楽を充分に楽しめる逸品だ
ではさっそく、その音を聴いてみよう。筆者もこれまでは、骨伝導タイプのイヤホンは、音質よりもニーズ――屋外でのスポーツやジョギング、あるいは自宅仕事など、周囲の音を聞きたい環境で使いたい人が選ぶもので、音楽を良い音で聴くならば、一般的なワイヤレスイヤホンで良いと思っていた。
しかし、「Beethoven」の音を聴いて、そんな考えは払しょくされた。音が想像した以上に自然なのだ。音自体は骨伝導とは思えないほど周波数帯域も広いし、充分な音量感もある。知らずに使った場合、骨伝導タイプとは思えないだろう。
ポータブルオーディオプレーヤーとBluetoothで接続し、宇多田ヒカルの『BADモード』を聴くと、実体感のあるボーカルが浮かび上がってくる。聴こえ方は普通のイヤホンと同じ頭内定位だが、耳の穴が塞がれていないこともあって、音の広がりも良好。電子楽器による包まれるようなメロディーも気持ちよく広がる。声はニュアンスも豊かでコーラスとの分離もよく、音楽を充分に楽しめる。物足りなさはまったく感じなかった。
面白かったのは、ビートの効いた音楽など低音域のパワーが強い楽曲を聴くと、ドライバー自体が振動していることが感じられること。身体が震えるというとおおげさだが、低音のビートが体感できるようでなかなか面白い。音楽の迫力やエネルギーを感じたいという意味でも、音量が充分に得られるのは好ましい。
一方、クラシックのような大編成の楽曲でも、各楽器の音色は自然できちんと再現されており、やや太書きのタッチになるものの、聴きやすい音と感じた。リズムが軽快によく弾み、聴いていて気持ちがよいのだ。また、ポップスなどでもボーカルの再現はクリアで、しかも厚みのある音質なので聴きやすい。ジョギングで「Beethoven」を使えば、走るのが楽しくなるだろう。
ASMR音源を聴くと、よりリアルな臨場感、イマーシブ感が味わえる
もうひとつ面白かったのは、最近YouTubeなどで人気のASMR音源。耳元で囁くようなトークを楽しめたり、耳かきや発泡飲料のシュワシュワした音を耳元で聴いているような気持ちよさを感じる音源だ。「Beethoven」で聴くと、本当に耳をそばだてて音を聴いている感触になり、耳元をくすぐられるような独特のゾワゾワする感じもよりリアルになる。こうしたASMR音源が好きという人にもぴったりなので、ぜひ試してみてほしい。
ながら聴きでも、気持ち良くいい音で音楽を楽しみたい人におすすめ!
耳を塞がないオープンタイプのイヤホンを探していて悩ましいのは、どうしても“音質”では一般的なイヤホンとの差が大きくなってしまいがちなところ。周囲の音が聞こえることが重要なので、音質は妥協するとしても、物足りなさを感じてしまうことは少なくない。しかし、「Beethoven」ならば、音質的にも満足できるし、装着感も軽快。一日中装着したままで使いたい、そして同時に音質も求めたいという人にとっては、なかなか魅力的な製品だと思う。
骨伝導モデルというと、屋外での使用やジョギングなどのスポーツ用途が中心とは思うが、室内で過ごす時も含めて、「Beethoven」は、さまざまなシチュエーションで楽曲、音源を楽しめる完全ワイヤレスイヤホンだ。
提供:ラディウス