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【麻倉怜士のIFAリポート2019】その10:テクニクス、世界初の、磁性流体フリーエッジドライバー「EAH-TZ700」ハイエンドイヤホンの音が素晴らしい
テクニクスがハイエンドイヤホン「EAH-TZ700」を発表した。私は早速、テクニクスブースで試聴したが、ひじょうに明瞭で品位の高い音だ。特に低域がよい。音階がきちんと再現される、解像度の高い低域だ。スケールがあるが、同時に精密で、立ち上がり、下がりが俊敏だ。低音の時間軸が正しく推移する感覚だ。
テクニクス初のハイエンドイヤホンはどのように開発されたか。テクニクスCTOの井谷哲也氏に話を聞いた
井谷 これまでテクニクスとしては主に据え置き型モデルを展開してきましたが、市場的に見ると、ノイズキャンセリング付きイヤホンなどが伸びていますし、ハイエンドイヤホンの市場も伸びてきています。これまでヘ...
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【麻倉怜士のIFAリポート2019】その9:パナソニック・サウンドバーの「ベルリン・フィルモード」は、実際のホールの響きを測定して作られていた
パナソニック・テクニクスは、ベルリン・フィルとの協業を展開し、ベルリン・フィルの演奏ストリーミングサービス「デジタル・コンサートホール」では、4K配信がスタートした。
パナソニックはベルリン・フィル側に4K制作整備を提供し、ベルリン・フィルからは、音楽、音響のノウハウがテクニクス側に与えられるというギブ・アンド・テイク関係にある。最新のベルリン・フィル側からのギフトが、サウンドバーにおける「ベルリン・フィルハーモニー・ホール・モード」だ。現行モデル「SC-HTB900」のファームアップで、同モードがインプリされる。
パナソニックブースで、このモードのON/OFFを、新首席指揮者キリル・ペ...
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【麻倉怜士のIFAリポート2019】その8:8Kアソシエーションが、8Kディスプレイと入力信号に関するスペックを発表。事務局長Chris Chinnock氏に、8Kの今後を聞いた。
8KアソシエーションはIFAに向けて、8K機器の推奨スペックを発表した。8K AssociationのExecutive Director、Chris Chinnock氏にその狙いを聞いた。
麻倉 まず、8K Associationについて教えてください。
クリス 今年の一月に発足した、8Kのエコシステムの確立を目指した非営利団体です。当初の構成は、創業メンバーのSamsung Electronics,Hisense、TCL、Panasonic and AU Optronicsでした。この5社がボードメンバーとしてスタートしました。CEメーカー、パネルメーカーの集合でした。初めは、まだ8...
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【麻倉怜士のIFAリポート2019】その7:なぜソニーはヨーロッパのプレミアム市場で有機ELナンバーワンになったか。
最近、中国・広州のLGディスプレイ有機EL工場に出張する機会があり、そこで意外な話を聴いた。
中国の有機EL市場には、多くの中国メーカーや韓国メーカーが群がっているが、なかでも日本のソニーと中国のスカイワースの二社が抜きん出ているという。スカイワースは、当初から有機ELにひじょうに力を入れていた深センのメーカーで、そのポジションは当然という気がするが、ソニーの有機ELテレビが高く評価されているのは、誇らしい。
実はヨーロッパ市場でも、ソニーの有機ELテレビはひじょうに評価が高い。55型の1800ユーロ以上の、いわゆるプレミアム市場で30%以上、65型の同じく2500ユーロ以上の市場で40...
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【麻倉怜士のIFAリポート2019】その6:LGの48型4K有機ELディスプレイを見た。リビングだけでなく、すべての部屋に有機ELテレビを置く時代がやってくる
LGディスプレイは、IFAの新パビリオン27館で、ごく限られた関係者向けに新製品を公開。それが48インチの4K有機ELだ。
撮影禁止なので、残念ながらパネル製品の写真はないが、昨秋から話題になっていた小型有機ELディスプレイが、遂に完成したことはいろいろな意味で意義深いことだ。今、4Kは現状は77、65、55インチだが、これに48インチが加わることで、マーケティング的にも、テレビスタイル的にも、有機ELの新しい時代を迎えることになる。
これまでは有機ELはプレミアムテレビとして大型化を追求してきたが、今後は、パーソナル化がテーマになる。一家に一台有機ELテレビから、すべての部屋に有機EL...
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【麻倉怜士のIFAリポート2019】その4:有名映画監督が要求した「Filmmaker Mode」の真意。UHDアライアンスの新提案は、映画ファンに喜ばれるだろう
「テレビで映画を見る時には、テレビの動き補間機能をオフにしよう」とのトム・クルーズのメッセージが業界を動かした。
ドルビー、パナソニック、サムスン、ユニバーサル、ワーナー・ブラザースなどのスタジオ、家電メーカー、技術企業など約40社からなるUHDアライアンスが、「フィルムメーカーモード」をIFA開幕直前に発表。組織としては存在するが、目立った成果がなかったUHDアライアンスとしては、初めてのヒット提案といってよい。
トム・クルーズが言うように、24コマを60コマにフレーム補間した映像は動きの部分でまるで宇宙遊泳しているような不自然な浮遊感になるので、私は原則として映画はオリジナルの24コ...
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【麻倉怜士のIFAリポート2019】その3:技術は出尽くしたと思われた液晶に新画質技術の提案が続いた。“デュアルセル”が液晶技術の新トレンド
昨今、中国の液晶テレビメーカーは、有機ELに対抗し、コストの安い液晶でいかに高画質が獲得できるかに、力を入れている。ハイセンスの液晶2枚重ねディスプレイ「ULED XD」はその一例だ。「デュアルセル」と名付けられたこの新方式は4K液晶パネルとバックライトの間にフルHD液晶パネルを挟むというもの。ベースのフルHDパネルが画素単位で白黒信号を表示する。
考え方としては、LEDバックライトによるローカルディミンングの延長だ。バックライトでは分割ブロック数を無限に増やすことは無理だが、ULED XDでは、ベースパネルの200万画素ひとつひとつの単位で明るさをコントロールできる。小さな面積単位で、...
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【麻倉怜士のIFAリポート2019】その2:フィリップスが「Audio is back!」を高らかに宣言。フィリップスブランドのオーディオ製品活躍におおいに期待
フィリップスのプレス・カンファレンスでもっとも驚いたのが、「フィリップス・オーディオの復活!」が高らかに語られたことだ。
ヘッドホン、ノイズ・キャンセリングイヤホン、デザイナーズ・スピーカーなどの流行のアイテムを持つのは、今どきのオーディオメーカーなら当り前で、プレス・カンファレンスでのこれらの製品の紹介も、オーディオメーカーとしては当然のことなのだが、フィリップスだから話が違う。
5年前のフィリップスはフィデリオシリーズなどパーソナルなオーディオアイテムが充実していたが、2014年にフィリップス本体のリストラにより、オーディオ機器における「フィリップスブランド」の使用権をギターメーカー...