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【麻倉怜士のIFAリポート 2018】その10 ベルリン・フィルとテクニクスの協業が3年を経過。その後の成果をキーマンにじっくり聞いた
IFAでは毎回、パナソニックと共にベルリンのコンサートホール「フィルハーモニー」を訪れ、両者の協業の内容と成果を取材している。今回は同社がサポートしているコンサートストリーミングサービス「ベルリン・フィル デジタル・コンサートホール」の現状と、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団(ベルリン・フィル)側がパナソニック(テクニクス)の技術者に施している耳の訓練の内容、テクニクスブランドのステレオ製品への音質アドバイスについて取材した。
ベルリン・フィルメディア・マネージングディレクターのロバート・ツィマーマン(Robert Zimmermann)さん、ベルリン・フィルのトーンマイスターであるク...
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【麻倉怜士のIFAリポート 2018】その09 超・超・超弩級デジタルオーディオプレーヤー兼ヘッドホンアンプ「DMP-Z1」は、ソニー・オーディオの牽引車だ
ソニーがIFAで発表したデジタルオーディオプレーヤー兼ヘッドホンアンプ「DMP-Z1」には、これまで体験したことのない音の凄みがある。
初めに、私のインプレッションから述べよう。きわめて微細なディテイルまで音の情報量が豊富だ。特筆すべきは低域から高域まで速度が揃っていること。一般に低域は遅れがちになるが、それが中高域と同じハイスピードで進行することは、驚異だ。
その結果、音の鮮明度がひじょうに高く、内声部までクリアーに見渡せる。ヘッドホンながら音場の広さと共に、細部の音像まで凝縮感を持ち、音の生命力、エネルギー感につながっている。音の粒が躍動し、まさに迸るような音楽的生命感が味わえる。
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【麻倉怜士のIFAリポート 2018】その08 ゼンハイザー、初のイマーシブサラウンドバー「AMBEO Soundbar」をIFAで発表
ドイツのヘッドホンメーカーの話題の新製品は、意外にも音が空中に放出されるサウンドバー、それも立体音響の「3Dサウンドバー」だ。視聴したが、サウンドバーなのに、立体的に音場が形成され、方向性・音場密度も予想外に素晴らしいではないか。
名称は「AMBEO Soundbar」。AMBEOはゼンハイザー独自の「3D技術プログラム」だ。再生環境だけでなく、録音、伝送、再生の各分野で独自技術を展開するのがAMBEO。3Dサウンドバーはその一環である。
ドイツの研究機関「フラウンフォファー」と共同開発した3D仮想化技術を搭載。13のドライバーユニットがビームフォーミングにて、360度に音を発する。チャ...
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【麻倉怜士のIFAリポート 2018】その07 ヤマハが「C-5000」「M-5000」を展示。フラッグシップ・ハイファイシステムを聴いた
日本のオーディオメーカーでは、オンキヨーグループが今回のIFAから姿を消したのとは対照的に、ヤマハブースは大躍進。毎年、訪れるごとにブースが広くなっている。
これまでも「ヤマハ=音楽会社」というイメージづくりのために、オーディオとピアノなどの楽器を同一ブース内に置いていたが、今回はブース自体が拡張されたので、今やオーディオと楽器が隣り合った別ブースとなった。来年はさらに拡張する計画で、第1ホールのオーディオハピリオンの入り口はヤマハで占拠されるだろう。
日本メーカーの躍進は嬉しい。もっと嬉しいのが、今年がヤマハにとって「フラッグシップイヤー」ということだ。HiFiオーディオ分野でターンテ...
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【麻倉怜士のIFAリポート 2018】その06 ソニーのフラグシップイヤホン「IER-Z1R」はこだわりの塊
「音の常識を超えた、新しい次元の音をつくりたい。イメージをまったく、根底から変える製品をつくりたい」と、桑原英二(V&S事業部商品設計部門商品技術1部2課)は、言った。
その結果、開発されたのがフラグシップイヤホン「IER-Z1R」だ。ソニーの音のクライテリアをマークするシグネチャー・シリーズで初のイヤホン。私のインプレッションは、掉尾に記すが、まさに「イヤホンの音はこんなもの」というこれまでの常識を一変させる、ここまでの再現性を持つのかと刮目した。
桑原との会場インタビューの詳細は、のちに私の連載「いいもの研究所」で記すが、そこから、大事なエッセンスをお届けしよう。新しい次元の音とはど...
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【麻倉怜士のIFAリポート 2018】その05 JVCが世界初の家庭用8Kプロジェクター「DLA-NX9B」を発表。ネイティブコントラストは10万対1!
ビクター(JVCケンウッド)のプロジェクターづくりには、ふたつの法則がある。
①まずはハイエンドのB to B用に先端映像技術を開発し、数年を経て家庭用に移管する。
②家庭用では数年に一回、画期的な技術アドバンスを成し、それも数年掛けて移管
−−である。マーケティング用語では「スキミング戦略」もしくは「展覧会戦略」という。
今回のIFAでは、「8K」「ネイティブ画素数」のふたつで、これが見られた。ビクターはNHK技研とのコラボレーションにて、多くの8Kプロジェクターを開発してきた。その目玉が4K画素のD-ILAデバイスによるe-shift・8K。
原理はホームプロジェクターでお馴染みの、...
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【麻倉怜士のIFAリポート 2018】その04 ハーマン・カードン「Citation」は、本格高音質Google Assistantスピーカー
いわゆるスマートスピーカーは、声でのやり取りを通じて生活を便利する「情報スピーカー」なのだが、声機能が、本格的なハイファイスピーカーに入ってはいけないという決まりはない。
IFAのハーマンブースの奥深くに展示されているのが、「Citation」シリーズのハイレゾ対応ワイヤレススピーカーだ。
Citationは数多くのスピーカー製品を抱えるHarman Kardon(ハーマン・カードン)の中で、ミドルハイクラスのステイタスを持つシリーズ。液晶のタッチスクリーン、クロームキャスト、Google Assistant(グーグルアシスタント)と、IoT的な機能が満載なスピーカーで、卓上のモノーラル...
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【麻倉怜士のIFAリポート 2018】その03 ベルリン・フィルハーモニーとの協業で開発されたテクニクス・ワイヤレススピーカー「SC-C50」
音場がきわめて広く、低音の塊感が充分に感じられる
昨年のIFAではテクニクスブランドのCDドライブ一体型スピーカー内蔵/一体型ステレオシステムの「SC-C70」が話題だったが、今年は、その弟分の「SC-C50」が登場。ペットネームは“OTTAVA S”だ。CDドライブは省かれたが、技術的には音場再生、低音再生に特にこだわった構造設計、ユニット設計、音づくりがなされている。
特に注目は「ベルリン・フィルモデル」。パナソニック(テクニクス)が、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団と協業を開始し2年になる。ベルリン・フィルのコンサートライブ・ストリーミングサービス「デジタルコンサートホール」収録...
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【麻倉怜士のIFAリポート 2018】その02 テクニクスから登場したSACDプレーヤーは、なんとMQA-CDも再生可能な多機能機
遂にパナソニックが「テクニクス」ブランドでSACDに進出。
20年近く前、ポストCDフォーマットとしてパナソニック(当時は松下電器)が押すDVDオーディオと、ソニーが押すSACDが争い、結局、DVDオーディオは敗退し、SACDが勝った。とはいえ、SACDがポストCDのメインフォーマットになったのかというと、実情はそれほどのことでもない。
がしかし、ハイエンドなユーザーはSACDが好きで、着実にSACDは新譜でもリリースされている。IFA開催地のベルリンがらみの話をすると、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団のプライベートレーベルは当初、SACDなしのCDのみでアルバムをリリースしていたが、...
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【麻倉怜士のIFAリポート 2018】その01 ピニンファリーナがデザインした、シャープの4Kテレビがかっこいい
「シャープの製品デザインは少しコンサバ。もっとスタイリッシュにしたい」。
SHARP UMC(シャープのヨーロッパ子会社)のバイス・プレジデントSascha Lange氏が、8月29日に開催されたシャープのプレス・カンファレンスで言及した。その心はイタリアの有名なデザインハウス「ピニンファリーナ(Pininfarina)」との提携だ。
会見会場では、ピニンファリーナがデザインを手掛けたテレビ、オーディオ製品が展示され、通常のシャープ・デザインとは違う異彩を放っていた。ピニンファリーナはフェラーリ、アルファ・ロメオ、マセラッティなどの名デザインを手掛けたカロッツェリアとして有名(実は私の愛...
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“なんて雄大な低音なんだ” 最強のブルートゥーススピーカー、「IA-BT7」の音質の秘密
今回は、オラソニックのIA-BT7を試聴した。オラソニックは、もともと2010年に東和電子のオーディオブランドとして誕生し、2017年10月に東和電子からインターアクションへ事業移管された。IA-BT7は、そんな新生オラソニックを代表する高音質ブルートゥーススピーカーだ。
フォーマットの成熟、製品の成熟は意外なところからやってくる。カセットはもともと事務用のメモマシンとして誕生した。しかし日本メーカーの手にかかるとそれがハイファイになり、最後にはナカミチの1000番のような超弩級な製品まで発展している。
ブルートゥースもそれに近く、最初はお手軽な、スマホからの通信手段として使われた。通信...
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来る8/18(土)、オーディオユニオン新宿店、MYTEK DigitalのD/Aコンバーターを使ったMQA-CD試聴会を開催。講師は麻倉怜士氏
MQA-CDサウンドをMYTEK DigitalのD/Aコンバーター3台で聴き比べ
今週末の8月18日(土)、東京・新宿のオーディオショップ「オーディオユニオン新宿店」にて、ユニバーサルミュージックが発売しているMQA-CD「ハイレゾCD 名盤シリーズ」を、MYTEK Digital(マイテックデジタル)のD/Aコンバーターで試聴できるイベントが開催される。
ハイレゾCD 名盤シリーズは、ハイレゾ音源も楽しめるCD規格の高音質ディスク。収録フォーマットにMQAを採用しており、MQAデコードに対応するD/Aコンバーターと組み合わせればハイレゾ音源が、非対応機器では通常のCD音声が楽しめる。...