執筆陣
3次元的な響きが魅力のアナログリラックスEX3。ハードメイプル製ボディの銀線巻きMC型カートリッジ
アナログリラックスの銀巻線MC型の新ヴァージョン。既発のEX1はカリン無垢ボディだったが、このEX3はハードメイプル無垢材を採用。多面体カットは変わらず。メイプルはカエデの系統であり、バイオリンやギターのボディにも使われるなど響きの良い材料として知られている。また針先はEX1が無垢ダイアモンド「スーパーカーブ・ラインコンタクト針」でサファイア・カンチレバーだったが、EX3は無垢ダイアモンドの楕円針であり、カンチレバーはアルミニウムになっている。磁気回路はEX1譲りの強力なネオジムマグネットを使用。内部インピーダンス15Ωにて0.45mVという高出力だ。試聴時の昇圧トランスはエアータイトA...
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ストレートアーム搭載のMIRACORDの新作。 エラック MIRACORD 60
ベルトドライブプレーヤーのMIRACORD 90は2016年にELAC創業90周年記念モデルとして発表された。往年のブランドに現代の技術を加味して復活させたものだ。その後70、50と続いて、今回60までラインナップを展開している。
このMIRACORD 60は短いストレート型トーンアームを搭載。カーボン系素材のパイプだ。ただしユニバーサルタイプのヘッドシェルは付属せず(編集部注:MIRACORD 60専用シェルは1つ付属します)。ターンテーブルは一体成形アルミダイキャスト製であり、打診すると鉢を叩いたようにきれいに響く。裏側を見ると、ゴム系の防振材を貼っているが中心側の区画は対策せず。音...
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世界26ヵ国で愛用される真空管アンプブランド。音楽が沁みわたるような瑞々しい表現を目指している、エアータイト 「ATM300R」
社名のエイ・アンド・エム。創業者のふたり「あつし&まさみ」の頭文字だ。社長の三浦 篤氏は1934年生まれ。現在も世界のオーディオショウに参加し、部品供給メーカーを訪問しては信頼を深め合う。氏の周囲には国籍を問わず歓談の輪ができる。
同社アンプは主に大出力傾向。300W超をひねり出すアンプもある。三浦氏は昭和50年代半ばからの駐米中、アメリカに興ったハイエンドオーディオの潮流の真っ直中にいた。コンデンサー型など低能率の「鳴らし難いスピーカー」に直面し「真空管アンプで鳴らしきってやろう!」と奮起した。エイ・アンド・エムの創立は86年。いまは熟練職人を含め10人の会社で、世界26ヵ国へ輸出して...
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VPI社より最新ヴァージョンのアナログプレーヤー 「Prime Scout」を試聴 技巧派の作りでアナログの妙味が味わえる
回転摩擦を排除のワンポイント・サポートアーム搭載
VPIは米ニュージャージーのオーディオメーカーで、主としてアナログプレーヤーに独創性豊かな技術をもっている。Scoutシリーズは、2001年から累計12にのぼる各種アウォードを獲得してきたという代表作。その最新ヴァージョンが当機である。
大きめのACシンクロナスモーターと段付きプーリーによってベルト駆動される2速度プラッターは、公称質量4.76㎏におよぶアルミ合金製。ネジ込み方式のスタビライザーでレコードをじんわり押し付ける構造だ。
馬力頼みの万事豪快アメリカ流儀かと思ったらそうではない。9インチサイズのJMW9トーンアームは、回転摩擦を...
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トライオード 真空管アンプ TRZ300W。ロングセラー300Bパラレルシングルの後継機。直熱3極管の清らかな温もりを浸透させる
300Bのパラレルシングル出力で、1994年の創業以来22年間におよぶロングランを記録したVP300BDの後継機。ラインレベル入力4系統に加え、半導体増幅によるMM仕様のフォノイコライザーを内蔵してアナログディスク再生にも対応したインテグレーテッドアンプである。さらにMAIN IN端子を備え、パワーアンプとしてもつかえる。通常の入力選択とミュートおよび音量調整ができるリモコンも付属する。
パワーアンプ部は12AX7のSRPP入力と12AU7パラレル接続のドライバー、そしてトライオード・オリジナル銘の300Bパラレル出力段からなる3段増幅で、軽くオーバーオールのNFBをかけてある。上位ヴァ...
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ZYXカートリッジ Ultimate天空X、映像感覚の鮮明な音が印象的
ZYX(ジックス)を主宰する中塚久義氏は、オルトフォンのMC20を設計した技術者としても知られる人物。このアルティメイト・天空(アストロと読む)は最高峰MC型フォノカートリッジである。配線材はモデルによって6N無酸素銅線と5N純銀線、24k純金線の3種がある。試聴機として用意されたのは6N無酸素銅線仕様のXだ。
発電コイルの後方にダンパーがあるのが一般的な構造だが、本機は両側にダンパーを置いたシンメトリー構造がユニーク。マイクロリッジ針にC1000カーボン複合材カンチレバーを採用するなど、多岐にわたるZYXの独自技術を結集させた特徴の多いハイエンド機だ。前方に置かれた石球はラピスラズリ製...
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チタン製スケルトンボディのモノ専用カートリッジとルンダール製トランス採用のMC昇圧トランス。先鋭的モノーラル再生 オルトフォン MC A Mono,ST-70
モノーラル用フォノカートリッジには2種類がある。ひとつはモノーラル装置で聴く1回路出力の製品だ。現行機ではデノンDL102がそれにあたる。もうひとつは、ステレオ装置で再生する2回路の独立出力を備えた製品。ここで紹介するオルトフォンのMC A Monoは後者の新製品である。
情報量の豊かさが印象的な、新鮮で現代的な音を聴かせる製品だ。無垢ダイア針は独自の「レプリカント100」。標準的な丸針とは対照的な、攻めている設計といえよう。カンチレバー素材はボロンで、配線材は6N高純度銅線に金メッキを施したオーキュラム(Aucur-um)である。筐体は精密な3D金属プリンターでチタニウム粉末から成型(...
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あなたのピンク・レディー体験をひっくり返す。5月24日、いよいよSACD新発売!
5月24日、ステレオサウンドからシングルレイヤーSACD+CDの2枚組という特別なスタイルで、ピンク・レディーの音楽ソフト「阿久悠作品集」が発売となります。ピンク・レディーといえば、子供からお年寄りまで、日本中を虜にした女性デュオ。1970年台後半、お茶の間のテレビから彼女たちの歌声が聴こえて来ない日はありませんでした。派手な衣装と奇抜な振り付けで踊り、歌う。それはやがて今日のアイドルグループたちが繰り広げるパフォーマンスへつながっていくことになります。
同時に、ピンク・レディーを生み、支え、育てていたスタッフたちの間には、当時世の中に存在しない、新たな音楽の息吹を生み出そうという意気込...
執筆陣
真空管の最高傑作「300B」の音と歴史。『管球王国』掲載記事の集大成。『300B book』5月28日に発売
「300B」は、1930年代に米国ウェスタン・エレクトリックが開発した伝説的な真空管です。現在も数多く生産され、300Bアンプは管球式アンプの中でも随一の人気があります。真空管の代名詞ともいえる直熱3極管300Bの歴史、構造そして音の魅力を、『管球王国』創刊以来の記事を集大成して解き明かす、オーディオファイル必携の一冊です。『管球王国』に掲載した解説記事、試聴記事を収録すると同時に、新規企画も掲載して300Bと300Bアンプの魅力に迫ります。
主な内容
■新規記事
カラーグラフィック・現代300Bアンプの魅力
300Bの構造と魅力の深淵 岡田 章
私と300B 新 忠篤/是枝重治/岡田 ...
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英国の老舗オーディオ専業メーカーレガによるスケルトン・ボディのトップグレード機。 レガ Planar 10 with Apheta 3
小粋でコンパクトなオーディオ機器を作らせたら、英国の老舗はピカイチの存在だ。ここで紹介するレガは、1970年代からあるオーディオ専業メーカー。創業者のロイ・ガンディ氏が現在も牽引している稀有な英国企業である。レガの存在を一躍有名にしたアナログプレーヤーのプラナー3は1976年に登場した。私は学生時分に秋葉原のオーディオ販売店で見かけたことがある。息の長いオーディオメーカーのひとつである。
ベルト駆動方式のプラナー10は同社最高級機で、専用の電源部を備えている。本機は2018年に発表された究極のナイアッド(Naiad)というプロダクトを発展させた製品のようで、抜群の工作精度で仕上げた高剛性...
執筆陣
伝統のGT思想を復活させたアナログ新鋭機。 YAMAHA「GT-5000」 重量級大径プラッターを正弦波で正確に駆動、荘厳かつ高品位で盤石の鮮やかさを表現する
復活が期待されていたヤマハ「GTシリーズ」
かつてのGT-2000がクォーツロックのDD方式だったのに対して、新しいGT-5000はサーボ回路と決別した、ACシンクロナスモーターによるベルトドライブ機として登場。正反対というべき大きな設計の転換は、荘厳かつ高品位な音として結実している。
2重構造の大型プラッターは、慣性モーメント(慣性質量=イナーシャ)が0.92t/㎠、強大な値を実現しているという。それによる安定した回転を維持するために、24極2相の小型ACシンクロナスモーターに供給する交流電源は水晶発振に基づく正確な正弦波で作り出され、回転数を算出して供給電源を制御するサーボ回路は持っ...
執筆陣
フェーズメーションEA550 & T1000試聴。モノーラル筐体らしい深遠な音場空間に、立体的な音像が浮かぶ
フェーズメーションはアナログ再生機器に注力しているオーディオメーカーだ。新製品のフォノイコライザーEA550と昇圧トランスT1000は、ともに同社の最高級機で確立したモノーラル筐体構造を採用している。グラウンド線の接続が必要になるけれども、ステレオ音場の拡がりとセパレーション感など筐体を左右独立とした利点は大きい。背面にある端子群は結線のしやすさを考えた配列で、単純なモノーラル筐体ではないというコダワリが見て取れる。
本誌試聴室のシステムはエアータイトのATC5プリアンプとATM3パワーアンプ、そしてB&W800D3モニタースピーカーである。それにテクニクスSL1000Rアナログプレーヤ...