執筆陣
ラックスマン CL1000 滑らかで浸透力がある深い音場感を再現
かねてから開発中と囁かれていた、ラックスマンのフラッグシップ真空管プリアンプが遂に完成した。CL1000と命名された堂々たる新製品が本誌試聴室に持ち込まれた。同社90周年を飾るステレオパワーアンプMQ300と純正コンビネーションを組む、待望のプリアンプである。フォノイコライザー回路はなく、ラインレベル入出力に徹している。
最大の特徴は、本機のために新開発されたファインメット・コア採用の大型トランスフォーマー式アッテネーターを搭載したこと。抵抗器による信号減衰ではなく、巻線比による低損失な音量調整の手法である。
この大型トランスフォーマーは、34タップで左右独立。高信頼性のリレー素子を介し...
執筆陣
オルトフォン MC Anna Diamond 極めつけの解像感と繊細な表現力を両立した空芯MC型フォノカートリッジの最高峰。
MCアンナは、オルトフォンの高度技術を結集した空芯MC型フォノカートリッジの最高峰である。このたび、ダイアモンド製カンチレバーが奢られたMCアンナ・ダイアモンドが上位に加わった。創立100周年記念として世界限定100個がすぐに完売した、ザMCセンチュリーのカンチレバーが与えられたのだ。ボロン製カンチレバーを搭載するオリジナル機の音質も素晴らしいけれども、単結晶の無垢ダイアモンド製カンチレバーの物性が効いて音の品位は一変している。内部インピーダンスは6Ωで出力は0.2mV。ダンパーゴムの最適化に伴い、MCアンナよりも0.2グラム軽い2.4グラムの適正針圧になっている。
テクニクスSL100...
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KT150プッシュプル・大出力ステレオパワーアンプ「Fascination 95」を聴く
意匠は光彩の魔術を思わせて周到に配置された立体造形の魅力を感じさせる。
大型モニタースピーカーの素性を露わにして最強音から微細な音までが高純度
現役オーディオ用ビーム管として最強クラスであるKT150ステレオパワーアンプ、出力は75W+75W。そうした仕様からは古典名機風、あるいは業務用機器風の大振りで構えた外観を想像したくなるけれど、これはいたって簡素な佇まいだ。
カソード電流監視メーターを各出力管に配置したり、固定バイアス用トリマーも測定器の端子のような外観であったりするわけで、見ようによっては音質評価用の試作機風でもある。
大手メーカーならば、ここからプロダクトデザインの力量を誇示...
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フランスの高級オーディオメーカー、 メトロノーム・テクノロジー社初のSACD/CDプレーヤー 「AQWO」 実体感と分解能を両立させる視覚的再生が魅力
メトロノーム・テクノロジー社からは初めてとなるSACD対応のCDプレーヤー
メトロノーム・テクノロジー社は、カリスタ(Kalista)とメトロノーム(Metronome)のダブルブランドを展開しているフランスの高級オーディオメーカーだ。このAQWOはメトロノーム・ブランドに属する新製品。同社の歴史で初めてとなるSACD対応のCDプレーヤーである。
SACD再生に対応するドライブメカニズムは、現状でD&Mの国産品が唯一の存在といわれている。本機はそれをトップローディング仕様となるよう独自にカスタマイズ。トップカバーのスライドとディスクスタビライザーの装着を手動で行なう、きわめてシンプルなプ...
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PSオーディオから注目の高音質フォノEQ、Stellar Phono登場。
半導体式A級、全段ディスクリート構成のフォノEQ。
MCではS/N感高く鮮明さを際立たせた鋭敏な再生
米国PSオーディオから、注目すべき高音質フォノイコライザーアンプが登場。新製品のステラー・フォノは、クラスA動作の洗練された全段ディスクリート回路が特徴のフルサイズ機である。アナログ電源部を内蔵しており、筐体の上下を堅牢なスチール製シャーシで覆った構造も特徴だ。手掛けたのは同社の若い主任技師のダーレン・メイヤー氏。FET素子を多用した意欲的なデザインである。サブソニックフィルター回路は持たず、イコライザー補正はパッシヴ構成だという。
MM/MC対応の本機は、主な操作を付属のリモコンで行な...
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ロクサン XERXES 20 RPM+SARA 英国製アナログの名機が再び。
アナログプレーヤーで有名な英国ロクサン(1985年創業)は、3年前の2016年に英国モニターオーディオの傘下となった。1996年にはミッションやワーフェデール、QUADを擁したヴェラティ・グループに買収されたことがあるけれども、その2年後には買い戻して再び独立を果たしていた。
紹介するのはロクサンの代名詞といえる高級アナログプレーヤーシステム。ターンテーブルは2005年の登場からロングセラーを誇るザクシーズ20プラスだ。その名前(XERXES)は古代ペルシア王に由来し、歴史書ではクセルクセスと表記されることがある。再生時にはスピンドルキャップを外してディスクを自由な状態にするのは同社なら...
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サン・オーディオのパワーアンプ SV-2A3 (30th Anniversary version)を試聴。 厳選の高音質パーツ採用の特別版SV-2A3、 直熱3極管らしい音色の煌びやかさに力感が宿りステージの情景を立体的かつ丁寧に描く
SV-2A3の30周年記念モデル
サン・オーディオは1980年の創業。管球アンプの発売は9年後の1989年からで、ここで紹介するのは同社製品の原点であるSVシリーズの2A3シングル・ステレオ機、SV-2A3の30周年記念モデル。30台の限定受注販売という特別な製品である。
通常品との違いは少なくない。完成品が30万円でキット価格が20万8千5百円に設定されたSV-2A3のアニバーサリー仕様は、音質重視の観点からロシア製5U4G整流管のヴィンテージ球(希少な黒色プレート)を採用。スピーカー出力は8Ωと16Ωの両方に対応すべく端子が増設され、高級感が漂うアルミニウム製フロントパネルとアルプス...
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オーディオテクニカから、OC9を受け継ぐMC型カートリッジ5モデル、OC9新シリーズが登場。
オーディオテクニカのOC9は、オリジナルが1987年に登場している。このたび同社は、新しいOC9Xシリーズを5機種リリース。共通するのはPCOCC銅線の発電コイル+鉄芯巻枠と、強磁力ネオジム磁石の採用。色違いだがアノダイズ仕上げのアルミニウム製ボディも同じである。針は各モデルで異なり、カンチレバー材質はアルミニウムとボロンの2種類。磁気回路のヨークも純鉄とパーメンジュールの2種類である。適正針圧は全機種とも2g。価格レンジは2万9千円~9万8千円と広い。
さっそく比べて音質傾向を探っていこう。プレーヤーはテクニクスSL1000Rでマイソニックのヘッドシェルに装着。フェーズメーション製T5...