執筆陣
オーディオ・ノートのカートリッジ「IO-X」は、パーマロイ製コアに純銀線巻きのMC型で凄みを感じさせる生々しい再生
オーディオ・ノート唯一のフォノカートリッジとなるIO(イオ)は、1979年のデビュー。それ以来、IOは数度の改良が施されて現在に至っている。本機はアルニコ磁石と純鉄による磁気回路を持ち、振動系はラインコンタクト針+アルミ合金製カンチレバーに純銀線をパーマロイ製コアに巻いたもの。出力ピンは純銀にパラジウムをメッキしてある。パドック材を挟んだ新デザインのボディは、接地面の部分を厚くして剛性を高めた。純銀線を手作業で巻いているのは、オーディオ・ノートの代表を務める芦澤雅基氏である。
オーディオ・ノート
IO-X
¥770,000(税込)
●発電方式:MC型●出力電圧:0.12mV●内部インピー...
執筆陣
ビビッド・オーディオのエントリーモデル、KAYA S12。スピーカーの存在を消し去るような視覚的描写でワイドな空間を演出
南アフリカで誕生し、現在はオランダにヘッドクォーターを置くビビッド・オーディオ。伝説的なノーチラスを開発したB&W出身のローレンス・ディッキー氏は、英国に住み同社製品のサウンドデザインに携わっている。
KAYA(カヤ)はビビッド・オーディオのエントリーシリーズで、ここで紹介するS12は最新のコンパクトな2ウェイ機だ。ポリウレタンのレジンを使ったキャスト製法のエンクロージュアは平面を持たず、本体重量は6kgと軽量。
搭載するドライバーは同じアルミニウム合金製の振動板を採用しており、高域は26mm口径で低域は13cm口径である。本国の資料では低域が10cm口径となっているが、サラウンド(エッ...
執筆陣
トランス式アッテネーター採用のライン入力プリ。 純度感のある音場空間に、音の配列が見えるよう イプシロン「PST-100 mk2」
カラリと晴れ渡った音調であり微細な情報が鋭敏にふるまう
これは、トランス類を内製する強みを生かしたトランス式アッテネーター採用のライン入力プリアンプ。減衰量は31ステップであり、最初の5ステップは3dB隔、次の5ステップが2dB次の18ステップでは1.5dB、最後の3ステップは1dBという不均等な減衰量にて限られたタップ数での実用性を確保する。
アッテネーターは出力側にあり、その前に5極真空管C3mによる1段増幅が設けられている。ゲインは17dBで2.5:1の結合トランスを負荷にしている。つまり抵抗素子によるエネルギー損失を避ける設計思想だ。増幅段が固定バイアスというのも自己バイアス抵抗...
執筆陣
ウェルフロートのインシュレーター「WELLDELTA Basilis」は特許技術の振り子動作で音場空間がより豊かに拡がる
ジークレフ音響のウェルデルタ・バシリスは、従来のウェルデルタを発展させた新製品。カバー部分を含む上部全体を、アルミニウムの厚い切削部材で覆ったものだ。同社によれば海外からの要望に応えた製品で、脚部の大きいスピーカーシステムとの組合せを想定しているという。1台につき独自のウェルフロート機構を3基搭載する構造に変わりはなく、黒い樹脂製のカバーがないぶん見栄えが良くなり高級感が醸し出されている。
ウェルフロート
WELLDELTA Basilis
¥79,800(税別)/個
●仕様:3辺の小型フロートメカ●材質:ステンレスおよびアルミ削り出し●耐荷重:250kg
●寸法/重量:1辺150×H3...
執筆陣
トラジ氏によるアナログ再生分野の2作が登場。じわりと音楽の内面を聴かせるMCカートリッジと躍動感と3次元的定位を表す半導体式フォノEQ。ヴァルテレ「MYSTIC MC」/「PHONO1 MKⅡ」
ロンドンに拠点があるヴァルテレは元ROKSAN(ロクサン)創設者の一員だったトラジ・モグハダム氏が主宰している。
このMYSTIC MCは自社の高級ベルトドライブ式プレーヤーMG-1 PKGと組み合わせるべく開発したMCカートリッジだ。機械的な精度を訴求しているのは開発者の技術思想なのだろう。ボディはアルミ合金からの削り出しであり、ヘッドシェルとの機械的な結合を高めるべく3点ネジ留めに対応している。磁気回路は、サマリウム・コバルト磁石と純銅線のクロスコイルで形成される。針先は独自設計の楕円型であり、広帯域と0.5mVの高出力を得ている。
それと組み合わせるべきフォノイコライザーがPHON...
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グランツのトーンアーム「MH1000S」は、音像の構築と爽快感をもたらす生々しい音が感動的
グランツのトーンアームが他と一線を画した音質で魅了するのは、曖昧さを嫌った動作精度の追求と硬いステンレススチール材を採用するアームパイプの剛性によるものだ。それはすなわち、設計者でビルダーの濱田政孝氏が考えるトーンアームの理想像なのである。ミタチ音響(グランツ)でフォノカートリッジとトーンアームの設計に従事していた氏は、同社が2003年に解散してからグランツのブランドを引き継ぎ、高級トーンアームの製造を始めることに。そして現在、その音の確かさから、新生グランツの愛用者は世界中に存在するようになった。筆者もそのひとりに数えられる。
グランツ
MH1000S
¥790,000(税別)
●型式...
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吸着式のスタビライザー ユキム スーパーオーディオアクセサリー CVS1 反りのあるLP盤では音の安定感が増し、音像定位が格段にしっかりと
ユキムが自社ブランドのユキムスーパーオーディオアクセサリーで扱う吸着式ディスクスタビライザーである。原型はアイコールから発売されていたIQ1300Aのようで、フレキシブルな機構の吸引ホースがある専用スタビライザーを乗せて使う、ユニークなスタイル。フローティング機や回転トルクの弱いプレーヤーには不向きと思われるので、事前に問い合わせるといいだろう。
アナログ盤と密着する金属部分は純マグネシウム製だという。このマットを背面から見ると、大部分を占めているのは合成ゴム。おそらくは外周用と内周用のシーリングを含めたワンピース構造になっているのだろう。吸引を行なうスタビライザー部分は、純マグネシウム...
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コンプレッションドライバー搭載の小型2ウェイJBL4309。JBLならではの気性が音楽で発揮される
JBLの“ブルーバッフル”モニターは、趣味のオーディオの世界では、“ウエストコースト・サウンド”の象徴として長らく人気を維持している。この4309は、大型の4367、4349とほとんど相似形の小型2ウェイ、ツインバスレフポートだ。
高域ホーンはHDI-Xウェーブガイドであり、旧来のホーンのなだらかな曲面にもうひとつ絞り込みが急な稜線を与えた格好だ。高域まで定指向性を維持し、波面を整える狙いだろう。コンプレッションドライバーはD2410H2。25mm径のV字断面リングダイヤフラムであり、ネオジム磁石もリング形状。その振動はアルミダイキャスト製センターコーンを包み込む傾斜壁の隘路を経由し、1...
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【動画】エソテリックが始動させた高音質音楽ソフトの制作拠点を訪ねて
オーディオ愛好家の間で、音のよいSACDをリリースするブランドとして信頼を集めるエソテリック。おおむね3ヶ月に1度、世界の名演奏・名録音の中から選び抜いた作品を発売してきた同社は、ついにその音づくりのための作業を自社内で行なう「エソテリック・マスタリング・ センター」を始動させた。
エソテリック・マスタリング・センター開設にあたっては、このプロジェクトのプロデューサーである大間知基彰氏の「後世に遺すべき世界の音楽作品に備わる、本当の感動を届けるためには、音づくりの根幹をなすマスタリングを自社の技術・設備、そしてスタッフで行なう必要がある」という、強い決意が大きな原動力となったという。
ス...
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ユニット意匠も新たに「モニターシリーズ」を改良。 中域の応答性の良さで、音像が前に立ち上がり淀みなく音楽を快活に放射する全方位能力を持つ モニターオーディオ「Monitor300/Monitor50」
スタイリッシュでありながら幅広い音楽再生に対応
モニターオーディオのユニットは、「プラチナ」、「ブロンズ」などの主軸シリーズの名称にかかわらず白銀の面容を保ってきている。それが最新のMonitorシリーズではユニットがブラック処理になったことが一大特徴となる。
Monitor50は小型で正方形の正面なので目の錯視により横長に見えることもあるけれど、2つのユニットを対角線配置し、25㎜径のC‐CAMトゥイーターはオレンジの縁取りが施されていてアカ抜けた印象。2ウェイ構成のリアバスレフ方式のシステムだ。
C‐CAM振動板はアルミニウムとマグネシウムの合金が基材であり、その表面にセラミック処理...
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オーディオテクニカのオーディオケーブル「フリュエットシリーズ」は音のリアリティを追求した第一級のグレード。ハイエンドラインナップにはスピーカーケーブルも誕生
オーディオテクニカは高音質オーディオケーブルを各種取り揃えている。フォノカートリッジに始まりヘッドフォンやマイクロフォンで発展してきた同社らしく、ケーブルも価格帯的にも幅広いラインナップをもつ。ここで紹介する新しいFLUAT(フリュエット)シリーズのラインケーブルと電源ケーブル、そして最高峰エクセレンス・シリーズのスピーカーケーブルは、掛け値なく注目に値する製品だ。
オーディオテクニカ
AT-IC700R/1.3
¥50,000(ペア、税別)
●型式:ラインケーブル
●端子:RCAピン
●ケーブル長:1.3m
●備考:0.7m長(¥44,000・ペア、税別)、2.0m長(¥58,000・...
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欧州でヒットする半導体式フォノEQが進化。高解像感で腰の据わった堂々たる音が聴ける オーロラサウンド VIDA MkⅡ
オーロラサウンドの製品は日本国内はもとより、海外(特に欧州方面)でも人気が高い。ここで紹介するヴィーダ・マーク2は、オーロラサウンドではエントリー機となるヴィーダ・プリマの上位機、型名にMkⅡが付くようにヴィーダの改良ヴァージョンだ。LCR型RIAAイコライザー回路はオリジナルを継承しながら、最上位モデルのヴィーダ・スープリームと同じ増幅回路を奢ることで、確かな音質向上を実現している。
LCR型イコライザーでは、スウェーデンのルンダール・トランスフォーマーズ社が製造する1.9Hと0.18Hのインダクタ(L=コイル)を左右独立で採用。これらはオーロラサウンドのロゴが印刷されたカスタムメイド...