執筆陣
マッキントッシュの名機MC275を想起させる管球式ヘッドフォンアンプ、MHA200。凝縮された音の濃淡模様から音像や響きを作る
外観からして、マッキントッシュMC275の縮小版を思わせるようなヘッドフォンアンプ。その古典名機の看板技術であるユニティカップル方式を、このMHA200にも採用しているというのは驚きだ。単電源の真空管編成でありながら、出力トランス巻き線の対称性を原理的に追求。カソード巻き線も活用して相補的(コンプリメンタリー)なプッシュプル動作を確立した意義は大きい。
電圧増幅と位相反転は12AT7、電力増幅は12BH7Aで受け持っている。定格出力は500
mW。出力端子は標準フォーンジャック仕様とXLR4ピンステレオ端子、そしてXLR3ピンのLR独立端子の3系統。負荷インピーダンスは32〜100Ω、1...
執筆陣
JBL L100 Classic 75―往年の名機の名が最新ユニットで復活。磨き込まれた音質は、躍動感と瞬発力を発揮
本機は、往年の人気機種L100 CenturyをJBL創立75周年モデルにしつらえた新製品。2018年にはL100 Classicが発売されているが、Classic75は音質についても相当に磨いたという全世界750セット(国内50セット)の限定品だ。外装は全6面にチーク・リアルウッドの突き板仕上げ。専用スピーカースタンドJS120が付属する。
中域と低域のユニットはピュア・パルプコーン、高域は25mm径チタン製ドームトゥイーターを採用。技術的な訴求点は、30cm径ウーファーの2重ダンパーを改良して奇数次歪みを低減。13cm径のスコーカーは製造プロセスから見直して周波数レスポンスをスムース...
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互換交換針で著名なJICOから新たなMC型 鮮やかな色彩感とダイナミックな表現が魅力 JICO SETO-HORI Remodel
瀬戸物のキャビネットで限定製作されたMC型カートリッジの新装ヴァージョン
JICO(ジコー)は、MM型フォノカートリッジの優れた互換交換針で世界的に知られる存在。その本社と工場は、大阪や神戸などの都市部から約200㎞離れている兵庫県の新温泉町にある。会社名は日本精機宝石工業株式会社である。
瀬戸彫・リモデルは、瀬戸物のキャビネットで限定製作されたMC型カートリッジの新装ヴァージョンである。硬質セラミックの瀬戸物は、焼結過程で僅かに収縮する。それを計算に含めて製作したのがオリジナルだ。リモデルと称する本機は、瀬戸彫を金属製ヘッドシェルと一体化したことが特徴。アルミと銅の合金素材を5軸の精密...
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レーベル面への最適荷重で、振動を抑える スタビライズが音の締まりや明確さに貢献 サエク「SRS-9」
アナログ盤用のディスクスタビライザーが登場
伝統のダブルナイフエッジ機構を現代に復刻させて気を吐くサエクコマースから、SRS-9というアナログ盤用のディスクスタビライザーが登場。総重量は約300g なので軽量の部類となるが、これはトルクの強くないターンテーブルとの組合せも考慮したからのようだ。注目すべきは、中心部に加えて9個のステンレススチール製ウェイトがそれぞれレーベル面に荷重を与えること。同社ではこれをSVM(サプレス・ヴァイブレーション・マテリアル)機構と称している。似たような構造は、かつてのトーレンス製スタビライザーや、米国スティルポイント製LPIに見ることができよう。硬質アルミ...
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バランス対応ヘッドフォンアンプとマグネシウム振動板ヘッドフォン。 ラックスマン P750u MARKⅡ、フォーカル CLEAR MG
ラックスマンのヘッドフォンアンプP750u MARKⅡは、外観と基本仕様は2017年発売のP750uを踏襲。2020年末に発売後、すぐに完売した同社創業95周年限定ヴァージョンの高音質対策も盛り込んでいる。
アンプ部は半導体式の本格的なディスクリートパワーアンプであり、独自の電子制御アッテネーターLECUA(ラックスマン・エレクトリック・コントロールド・アルティメイト・アッテネーター)を搭載してバランス設定や感度設定にもこれを活用。パワーアンプ部は電流出力のゆとりと、前段を定電圧、定電流で固めた高精度志向が印象深い。独自の歪み検出/打消し方式であるODNF(オンリー・ディストーション・ネ...
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300Bパラレルppステレオアンプ、マックトンMG300。マックトンらしい悠々たる鳴りっぷりに、透明感としなやかさが加わる
マックトンというと、OTLアンプや大型ビーム管を搭載した大規模な構成のパワーアンプで知られている。本機はその究極というか、300Bパラレルプッシュプルのステレオアンプである。それで300B(EH=エレクトロ・ハーモニックス製)が計8本、林立しているわけだ。直流点灯されるフィラメントの消費電力だけで48W相当だから結構な発熱量となる。それでもA級動作なので出力は30W。直熱3極出力管の大スターたる300Bへの敬意がうかがえる。
初段はECC82(12AU7)のパラレル接続。2段目は12BH7のカソード結合型位相反転。全段コンデンサー結合であり、また全段固定バイアスというのが特徴だ。ユニーク...
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パラダイム 「Founder 40B」 シリーズ最小の2ウェイブックシェルフ型 高純度と俊敏な応答性で、音像を実体描写
高精度のホログラフィックのごとき音像と音場が出現
カナダのパラダイム社は1982年の創業。今回の40Bも一員となるファウンダーシリーズ全6モデルには、ペルソナシリーズなどの成果を引き継いであらたな創業を目指す意気込みが感じられる。40Bはシリーズ最小のブックシェルフ型リアバスレフ2ウェイ構成だ。トゥイーターはシリーズ共通のAL‐MAC高域ドライバー。ベリリウムではないが、アルミニウム、マグネシウム、セラミックを組み合わせた振動板素材を採用。偏円形のくぼみであるウェーブガイド中央にPPAレンズという有孔位相整列型音響レンズを配しているのが大きな特徴。中低域は152㎜径のロングストロークのド...
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ボロン製カンチレバー+シバタ針のMM上位機。 オルトフォン 2M Black LVB 250
オルトフォンがMM型の最高傑作と自負するのが、楽聖ベートーヴェンの生誕250周年を記念する新製品のプレミアムモデル、2MブラックLVB250である。最大の特徴は、オルトフォンのMM型では初めてとなるボロン製カンチレバーの採用であろう。ダンパーのゴムも専用に開発されており、針先はシバタ針。発電コイルには純銀メッキ高純度銅線が使われている。
本誌リファレンス・プレーヤーのテクニクスSL1000Rに装着して本機の音を聴いている。出力電圧は5mVと大きいため、プリアンプのエアータイトATC5にとってもS/N感の点で大いに有利になっている。
ボロンカンチレバー+シバタ針という構成は、ともすれば大味...
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いいでしょっ! 真っ赤なスピーカー。小原由夫自慢のキャンディ アップル レッドなPERSONA B【動画】
月刊HiVIをはじめとする雑誌、WEBメディア、そしてイベントでの講演活動など、八面六臂の大活躍を続けるオーディオ評論家の小原由夫さん。今回の動画では、その音に、そしてご自身の希望でプレミアムカラーでオーダーしたスタイルに惚れ込んでいるというスピーカー、PARADIGM(パラダイム)のPERSONA Bについて、その魅力をたっぷりと語っていただきました。
小原さんが「定番スピーカーとはちょっと違う」と満足げに語る真意はどこにあるのでしょう。3年前の出会いから、PERSONA CUSTOMでオーダー、そして音の個性を引き出す使いこなしにいたるまで、おなじみ「開国シアター」でお話をうかがいま...