執筆陣
DSオーディオ DS003 左右独立光学機構を搭載の新型登場。 臨場感溢れるオーケストラは生気に満ち艶やか
DSオーディオが蘇らせた光電型フォノカートリッジは、MC型とMM型で占められていたアナログ盤の再生手法に、第3の選択肢と音の新境地を与えてくれた。ここで紹介するDS003は、最高峰グランドマスターを頂点とする光カートリッジ(システム)の第3世代を担う最新製品である。
最も注目すべきは光カートリッジのDS003であろう。グランドマスターと同じ内部構造、すなわち左右独立の光源(赤外線LED)と受光部を継承したことで、チャンネルセパレーションが向上。遮光板も同じくベリリウム製だ。アルミ製カンチレバーにラインコンタクト針を組み合わせた、オーソドックスな振動系である。専用のフォノイコライザーの00...
執筆陣
回転の安定性に優れてトーンアームは高感度。コストパフォーマンス抜群のアナログプレーヤー レガ Planar3 mk2
英国レガは1973年に創設されているから、もう老舗というべきオーディオ企業だ。プラナー3の最初期モデルは1976年に登場し、改良を重ねて現在に至っている。本機は2016年に発売された最新のプラナー3である。そこにアドヴァンスドEBLTという上位機の駆動ベルトを奢ったことで、mk2という呼称が与えられたのである。
Record Player System
レガ Planar3 mk2 ¥110,000(税別)
▶︎カートリッジ部(Elys2)
●出力電圧:6.8〜7.2mV
●適正針圧:1.75g トーンアーム部(RB330)
●型式:ダイナミックバランス型
●適合カートリッジ重量:4.5...
執筆陣
スペンドール「Classic 4/5」 英国BBCモニターを受け継ぐ小型2ウェイ、 実体感があり現代的な鮮度や解像感を表す
艶やかなプレスリーの声音が自然に前に出て音像となるのが好印象
英国のBBCモニターの設計を受け継ぐスペンドール「LS 3/5a」は1982年に登場し、ウーファーは11㎝径だった。1998年にはユニットを一新させたモデルとして「S 3/5」が登場。ウーファーは14㎝径となり、低域のゆとりが増し、力強い音を放射できるようになった次第。2017年には「Classic 3/5」として、さらに新開発したユニットを採用。ウーファーは15㎝径のEP77ポリマーコーンとなり、ダンプ剤の厚塗りは見られない。ソフトドームトゥイーターは、2.2㎝径のワイドエッジ型である。
それと同じユニット構成を採り、バッフ...
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熟練の時計職人が組み立てるスイス製MC型。 ゴールデンバーグ Brilliant
スイスからMC型の新しいフォノカートリッジ、ゴールデンバーグが登場した。現在のEMTやエクスクィジット、ターレス・トーンアームを手掛けるハイフィクション社の新ブランドで、熟練の時計職人が組み立てる製品という。ここで紹介するのは3機種あるうちの中間モデル「ブリリアント」だ。ボロン製カンチレバーにマイクロリッジ針を搭載しており、6Ωのインピーダンスで0.4mVの出力というから、鉄芯タイプであろう。コイル巻線は4N銅線ということだ。磁石には強力なネオジムに渦電流を防ぐアールコ鉄を使っているというが、その詳細は不明である。ハイフィクション社はEMTの継承からフォノカートリッジ製造を始めた経緯があ...
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音像が3次元的に明瞭で、官能的描写。シバタ針と十字巻きコイルを持つMC型。ラックスマン LMC5
このLMC5は、ラックスマンとして久々のMCカートリッジ。初代のLMC1は1981年に、L MC2は翌年に登場しているからじつに40年近い時を経た第3弾だ
これは初期モデルとはすっかり異なる設計だ。全体構造はセミオープン型、つまり発電機構がむき出しになっていて、内部空間の音響的な問題を避けている。ガード役の横壁は卵円形状をあしらって反響や共振問題に対策している。ボディはアルミニウム製。ソリッド・ダイヤモンドの針先はシバタ針であり、点接触に近い状態で音溝に接する。発電機構はサマリウム・コバルト磁石による磁気回路が肉眼で見える。十字巻きコイルは4N銅線。
ヘッドシェルはマイソニックラボのSH...
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発売20周年記念モデル、サン・オーディオSVC200は、堂々たる風格の再生を魅せる完成度の高い特別仕様
SVC200はサン・オーディオの管球式ライン入力専用プリアンプであり、キット仕様もあるロングラン製品だ。本機はその発売20周年記念の特別仕様であり、完成品のみで登場した。
一番大きな特徴は、ライントランスによるバランス入力/出力端子を追加したことだ。バランス入力用はタムラのTD1であり、これは600Ωの1:1、入出力それぞれに2巻線を持つ。出力側はTD2で、こちらは10kΩ:600Ωで入出力それぞれ中点タップ付きだ。また電源部のチョークコイルもタムラの大型特注品に換装。抵抗はA&Bのカーボン抵抗を多用する。出力端のコンデンサーは、錫箔巻きのAudioCap。電源平滑コンデンサーはサン・オ...
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バランス入力が魅力のMC昇圧トランス CSポート「CMT1」 ノイズフロアーが下がり音楽を鮮明に表出する
バランス接続することにより、さらにダイナミック感が増す
無帰還の管球式アンプやエアーフロート方式の重厚なアナログプレーヤーを製造しているCSポートの新製品CMT1は、バランス入力も装備している昇圧トランスである。
同社のC3EQM2(フォノイコライザーアンプ)もバランス対応の昇圧トランスを内蔵しているわけだが、そちらは適合インピーダンスが3Ω〜20Ωで、CMT1は1.5Ω〜40Ωと広めの設定。コア材は共に透磁率に優れたスーパーパーマロイ。同社によると、CMT1はファインチューニング的な範疇で巻数を増やして対応力を広げているという。背面はオーソドックスな端子群で、グラウンドのフロートスイッ...
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ナガオカより80周年記念のMM型カートリッジ2モデル。 上位機BKは、切れ味良く表現幅が広い
80周年を記念したMM型2モデル
レコード針で知られるナガオカの80周年記念製品が、このJT80の2種のMM型カートリッジだ。現行のMPシリーズとは別系統で外観も異なる。交換針部が円筒形状でボディから突出しているので着脱しやすいし、レコード盤上の位置確認もしやすい。JT80LBの仕上げ色はラピスブルーでボディと針部が青っぽい色をしている。BKはブラック色の仕上げで、同じ外形でも区別は明瞭だ。
LBは楕円形状の接合ダイア針。カンチレバーはアルミニウム。出力5mVはBKよりも大きい。BKは楕円形状の無垢ダイア針。出力3mVは標準的な値だ。
JT80LBはシングル盤など、平均音量が大きいディス...
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超小型ハイブリッドアンプの進化形。 キャロットワン ERNESTOLO 50K EX EVO
ガラス工芸品でもある真空管を、オブジェ感覚で配置した意匠が人気を集めるキャロットワンのシリーズ。ガラスのブロックは重しであると同時に、内部照明のLED青色光を立体的に導いて真空管を引き立てている。
これは以前のLIMITED版に採用されたバーブラウンの高性能オペアンプOPA627AUを採用したのが特徴。このオペアンプはかつて小売りで数千円もした高級品だ。しかも本機ではTIに買収される前のバーブラウン製というヴィンテージ品を採用。現行のプロセスルール=回路パターン形成の基準とは異なり、内部配線が太いのだという。
真空管はEX版と同様にECC802S GOLD(12AU7の高信頼管)であり、...