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Netflix映画「バレエ:未来への扉」のモデルとなったインド人ダンサー、マニーシュを追い続けた力作『コール・ミー・ダンサー』
現在、ニューヨークを拠点に活動しているダンサーのマニーシュ・チャウハンを中心とするドキュメンタリー映画。彼はインドのムンバイに生まれ育ち、テレビのダンス番組で称賛を浴びた後、ムンバイのダンススクールでイェフダ・マオール(イスラエル系アメリカ人)からバレエを学んだ。強いバレエ愛と人間的信頼がうかがえるマニーシュとイェフダのやりとり、どんなレベルの生徒であっても妥協を許さないスクールでの風景、ケガの克服やスランプからの脱出、“ブラウン”の肌を持つ人間としてのバレエとの向き合い方などが、作品内で事細かく描かれていく。そして、英語を話せる、芸術に理解のある、お金を持つ後援者の存在がいかに重要であ...
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レディー・ガガにも影響を与えた「21世紀を代表するアーティストのひとり」の光と影を描く『Back to Black エイミーのすべて』
エイミー・ワインハウスの不在からもう13年が経つ。彗星のごとく母国イギリスでデビューして、地歩を固めて世界に進出、グラミー賞で5部門に輝いたのに(諸事情によりセレモニーにはイギリスからの中継で登場)、まもなく(何度目かの)ブランクに入り、結果、傑作と呼ぶにふさわしい2枚のオリジナル・アルバムを残して他界。「日本で歌うとしたら、武道館か、それともサマソニのヘッドライナーか何かかな?」という自分の予想は「本人の早すぎる死」という形で裏切られた。
エイミーの関連映画にはすでにドキュメンタリーの『AMY エイミー』があるけれど、この『Back to Black エイミーのすべて』は俳優のマリサ・...
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極秘文書を一刻も早く奪うのだ! 人間模様うずまくサスペンス『対外秘』
1992年の釜山を舞台にした物語。よってアイフォンなどは出てこないし、テレビはブラウン管。だが描かれている物事は今もどこかの国において現在形で行われているのではないか、そんな生々しい濁りがある。
主人公のヘウンは“クリーンな政治家”として地元でも人気があり、党の公認候補も約束されている。そこで、国会議員選挙への出馬を画策するのだが、そこに横やりを入れてきたのがスンテという年上の男だ。スンテは国を動かすこともできる黒幕であり、そのパワーを知っているヘウンは自分より遥かに年上である彼に礼は欠かさなかったつもりだ。それなのに、なんだというのだ。どうして公認候補を俺から、急に、どこの馬の骨かわか...
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ホラー映画をアートへと昇華させた巨匠監督の初期3作品を一挙上映。『ダリオ・アルジェント 動物3部作』
『サスペリア』『ゾンビ』『フェノミナ』等に携わり、現在もなお活動する“ホラー映画のマエストロ”、ダリオ・アルジェントの初期作品、通称「動物3部作」が11月8日より新宿シネマカリテ、菊川Stranger ほかにて公開される。「動物3部作」(アニマル・トリロジー)の由来は、いずれも英語タイトルに動物の名前が含まれているから。
1969年製作の監督1作目『歓びの毒牙』(英題:The Bird With The Crystal Plumage)は、イタリアを旅行しているアメリカ人作家が主人公。事件を目撃した彼の回想が克明に描かれ、見ているこちらもまるで彼の行動を追体験しているような気持になる。ど...
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フランスで大ヒットした"突然変異"のアニマライズ・スリラーが日本上陸。『動物界』
2023年、フランスのアカデミー賞と呼ばれるセザール賞で12部門にノミネート。観客動員100万人越えの大ヒットとなったという一作が11月8日より全国公開される。
舞台は近未来の地球。人間の世界で、徐々に身体が動物と化していく病が蔓延していた。「猫になって一日中ひなたぼっこしていたいニャー」とか「空を飛ぶ小鳥のように自由に生きたいピヨー」というようなお気楽なものでは全くない。自分の体が日に日に動物化していくのだ、発する言葉も徐々に「言葉」から「鳴き声」になっていくのだ。そしてその対象となる“動物”を、おそらく自分の意志では選ぶことができない。原因不明の突然変異である。動物化したからといって...
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「恐ろしくスリリングな人物描写」と海外マスコミも称賛。『セッション』のサウンド・クリエイターが実体験をもとに放つ重厚な一作『ノーヴィス』
音(foley)の迫力がすごい。音楽(music)の選択にも耳を奪われる。かなり前衛的なストリングスの音楽と、ブレンダ・リーやコニー・フランシスら“ケネディ大統領暗殺前/ビートルズのアメリカ侵略前”に大人気を集めたシンガーの歌う甘美なアメリカン・ポップ・ソングがほぼ交互に現れてはストーリーにひんやりした感触を加える。主人公の顔は苦痛に歪み、自分も他人もどちらも責める。しかも、すさまじく過酷な練習ぶりでもある。ケガをしたら血が出ることもあるし、怒りがこみあげれば顔に赤みを増すのは人間として当たり前かもしれない。が、この映画の色合いは、しいていえば「薄い蒼」である。
主人公のアレックスは、「...
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気鋭監督・気鋭俳優による、新時代の会話劇『お祭りの日』。お祭りの日に、お祭りに行かない人たちの5つの物語
ふと、英国のロックバンド“レッド・ツェッペリン”のアルバム『イン・スルー・ジ・アウト・ドア』を思い出した。この作品には6種類のジャケットがあって、それらはつまり「ひとつの風景」を同時に6つのアングルから撮ったものとなっている。6つの断面を合わせることで、「ほぼ360度となった一瞬」が立ち上がるというわけだ。
この映画で繰り広げられているのは、夏の終わりの一日における、5つの物語。自主映画のヒロインをオリジナリティあふれる表現で説得する監督(あの有名映画『シザーハンズ』をこんな風に口説き文句に使うとは!)、バスを待つ男たち、盗んだ打ち上げ花火を高台で打ち上げようとするヘビースモーカーの青年...
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『死霊のはらわた』の監督も称賛するフレンチ・ホラーの骨太傑作。撮影では本物のクモ200匹とVFXを融合! 『スパイダー/増殖』
フランス製ホラー・ムービー中でも特筆すべきヒットを記録している話題作が、ついに日本で公開されることになった。原題の『Vermines』は害虫という意味だそうだが、邦題はよりわかりやすく、「スパイダー=クモが出てくる内容」であることが示されている。この毒グモの性質があまりにも超絶的。観る前にどんな予想をしたとしても、それを軽く凌駕して迫ってくること間違いなしの、常識の通用しない生き物が描かれているのだ。ここでは「とにかく猛烈に繁殖して増大する」「殺そうとするとエライことに」とだけ述べておく。
「超強力な毒グモが人を襲う。しかもアパート内で」。集合住宅には、それこそさまざまな立場・さまざまな...
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復讐のために男が「生き返った」。チョ・ジヌン主演のクライム・サスペンス『DEADMAN 消された男』
鬼気迫る一作だ。ほんのはずみで「名義貸し」をすると、どういうことになるか……。その恐ろしさが描かれる。と書いても、いまひとつどこか遠い世界の話のように思える方もいらっしゃるかもしれないが、「連帯保証人」や「代理人」という言葉をそこに持ってくれば、我々もこの作品の主人公のような境遇になる可能性があるのだ、ということをも伝える韓国映画だ。
主人公のイ・マンジェは、「雇われ社長」。名義を貸しているだけで、実際の業務には関わることはない。そんな彼に「1000億ウォン横領」の嫌疑がかかり、収監されてしまう。が、この刑務所が「中国」にある「私設刑務所」であることが話を一筋縄ではいかなくする。もちろん...
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世界中で愛された多才な映画人、ジャンヌ・モローの監督・脚本家としての姿に光を当てる好企画『映画作家 ジャンヌ・モロー』
カンヌ、ヴェネツィア、ベルリン等の映画祭で数々の栄誉に輝き、2007年には芸術文化勲章のコマンドゥールを得たジャンヌ・モローの、映画監督としての姿にも光を当てる上映シリーズ『映画作家 ジャンヌ・モロー』が10月11日から新宿シネマカリテ、YEBISU GARDEN CINEMAほか全国公開される。私のなかでは『死刑台のエレベーター』(音楽;マイルス・デイヴィス)や『危険な関係』(音楽;アート・ブレイキー&ザ・ジャズ・メッセンジャーズ、セロニアス・モンク)といった映画、ほかフランスのジャズ・ミュージシャンをバックに歌ったアルバム『Jeanne Chante Jeanne』など音楽絡みの印象...
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映画『はじまりの日』で映画初出演・初主演を飾った「遥海」にインタビュー。「かつての自分を生きている感覚がありました」
中村耕一と遥海をW主演に迎えて贈る音楽ファンタジー『はじまりの日』が、撮影地・名古屋での先行公開(10月5日)に続いて、10月11日より全国公開される。かつて一世を風靡した歌手だった「男」(中村)と、歌を志ながらも日々の生活の中に埋没してしまっている「女」(遥海)が偶然の出会いを果たし、やがて未来へ向けてともに歩みを進めていくという物語。ここでは劇中で「未来の歌姫」として見事な歌唱を披露している遥海に、映画初出演の感想を聞いた。
――よろしくお願いします。まずは、試写をご覧になった第一印象は?
感覚的にまっすぐ見られない。言葉にできない感じですね。役がけっこう控えめって言うんですか? 普...
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いつまで悲劇を繰り返すつもりなのか。虐殺の犠牲となった子供たちへのレクイエム。『忘れない、パレスチナの子どもたちを』
つらい気分になる。楽しそうに飛び跳ねていたり、満面の笑顔で登場したり、スポーツや音楽やファッションに喜びを発散する子供たちの姿がたっぷり紹介されているが、ナレーションは総じて子供たちを過去形で紹介する。それはなぜか。戦争の犠牲になったからだ。この世に生を受けて、新しい毎日に触れて、すくすくと成長してきた命、嘘のつき方も暴力のふるい方も、もちろん武器の使い方など知るよしもない若い命が、爆撃で一瞬にして吹っ飛ぶ。「集団虐殺」のために、無実の命が奪われた。
2021年5月の11日間で、少なくとも67人のガザの子供たちが亡くなったという。このニュースを英国で知った映画監督のマイケル・ウィンターボ...