執筆陣
命とは一体何なのか? オスロを舞台にした北欧の新感覚抒情ホラー作品『アンデッド/愛しき者の不在』
音楽で言えば、ルバート(確たるビートを持たない)の状態が90分以上続く楽曲に接しているような感じだ。「空はこんなにも広いものなのか」と認識させられずにはいられない風景、最小限の言葉のやり取り、いささか穏やかだが予想のつかない展開。だが、そこに細やかな起伏があり、「エモーショナル」と呼ぶしかない状態へと観る者を引き込む。
舞台となっているのは、ノルウェーのオスロ。音楽ファンにとっては「レインボウ・スタジオ」や「タレント・スタジオ」との関連で親しみ深い土地かもしれない。息子を亡くしてしまった女性・アナとその父・マーラーが物語の焦点となる。まずこの男女が「夫妻ではなく、親子である」というところ...