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ベルリン国際映画祭で初披露された話題作、2021年に英国アカデミー賞にノミネートされた同名短編を基に長編映画化、『FEMME フェム』
この時代だからこそ鑑賞されるべき、観終わってから考えるべき一作との印象を受けた。主人公となるのはアフリカ系男性のジュールズ。彼はドラァグクイーンとしてナイトクラブでダンスを踊ることを職業としているが、その姿のまま街中に出ることもある。ジュールズは雑貨屋の中で、マチズモ第一主義的な集団からヤジを浴び、店を出たところで暴力の標的となる。踊ることをあきらめなければならないほどの重傷だ。
が、回復していくにつれて、彼の心の中には、なにかメラメラと燃えるものが起き始めたようだ。それが「情念」なのか「復讐」なのかは見る者の考えにゆだねられているようにも感じられたが、ある日、同性愛者用のサウナでジュー...
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定額でハイレゾ&ロスレス音源が楽しめる夢の配信サービスとして大きな注目を集めているQobuz(コバズ)の全貌を121ページで大特集。さらに昨年からシステム変更を遂げたHiVi視聴室を通して考える新リファレンスシステムの意義について考察した二大企画でお届けするHiVi2025年春号は3月17日発売。
どうやって、どんな機器を使って、どう楽しめばよいのか。
「Qobuzのすべて」を明らかにします!
音にこだわる音楽ファン待望の音楽ストリーミングサービスとして、「Qobuz(コバズ)」が、2024年10月に満を持してスタート。1億曲以上の楽曲が、スマートフォン、タブレット、パソコンでの再生はもちろんのこと、ネットワークプレーヤーを始めとした各種オーディオ機器にも対応が進み、様々なスタイルで膨大な音楽を高音質で楽しめることでも、注目を集めています。
本特集では8つの再生手法を8つのパターンに整理。まずはスマホ&タブレット、パソコンなど、手軽に始められる方法から、ネットワークプレーヤーやトラ...
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新しい世界に旅立つ動物たち。ギレルモ・デル・トロも称賛するCG+アニメの世界、『Flow』
『Away』で注目を集めたラトビア出身の気鋭、ギンツ・ジルバロディス監督の長編第2弾。2024年カンヌ国際映画祭「ある視点」部門でプレミア上映を飾り、同年のアヌシー国際アニメーション映画祭では4冠を受賞。今年のゴールデングローブ賞では『インサイド・ヘッド2』や『モアナと伝説の海2』などを抑えてアニメーション映画賞を受賞、とひじょうに高い評価を受けているのだが、観れば納得である。
世界が大洪水に包まれるなか、そこを脱出しようという黒猫が主人公だが、その視点から見た風景(たとえば象がとても大きく見えるなど)がフィーチャーされるわけではなく、カメラ(アニメ)の視点は極めて第三者的である。人間が...
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全米初登場No.1を記録! 『ハクソー・リッジ』以来となるメル・ギブソン監督最新作『フライト・リスク』
メル・ギブソンが9年ぶりの監督作品を世に問うた。航空機が「密室である」こと、「追い詰められたら逃げられない場所である」こと、「外を速く高く飛ぶ習性」を持っていることをフルに活用したサスペンスで、しかも主な舞台は上空1万フィートのアラスカだから、そびえる雪山はデフォルトだ。加えてカメラ・ワークや音質が大迫力、リアルタイムで物語が進行することもあって(つまり映画1本がまるごとワンセッション)、観終えた後にはカタルシスがどっとやってくる。
主な登場人物は「ハリス保安官補」、「重要参考人ウィンストン」、「パイロットのダリル」。ハリスはウィンストンを航空輸送する機密任務についている。つまり「ダリル...