執筆陣
「気候変動」と「種の絶滅」の核心に迫ろうとする少年少女の視点が、見る者に示唆を与える『アニマル ぼくたちと動物のこと』
ドキュメンタリー『TOMORROW パーマネントライフを探して』(フランスで110万人が観たという)のシリル・ディオン監督の最新作が、この『アニマル ぼくたちと動物のこと』である。事実上の案内役となるのは、10代のベラとヴィプラン。彼らは地球の環境、地球の未来に大きな不安を覚えている。そこでディオン監督の協力を得て、絶滅を食い止めるための答えを探るべく、環境問題に取り組んでいるさまざまな「先達」に取材する。
この瞬間、我々の――――というと主語がデカすぎてしまうので、私の――――と訂正するが、とにかく、視点がベラとヴィプランと同じになる。彼らは実にわかりやすく質問し、質問された側も、ひじ...
執筆陣
ダライ・ラマ法王とデズモンド・ツツ大主教の対談を中心に構成された貴重な一作『ミッション・ジョイ』
二人のノーベル平和賞受賞者、ダライ・ラマ法王とデズモンド・ツツ大主教の対談を中心に構成された一作。ツツ大主教は21年に亡くなっているので、もうこの対談は実現し得ない。非常に貴重な90分を体験することができる。
私がツツ大主教のことを覚えたのは、多くの音楽ファン同様、マイルス・デイヴィスのアルバム『TUTU』(1986年)を通じてだった。もっともこの作品はアルバム・タイトルが二転三転して最終的に『TUTU』になっており、マイルスがどのくらい大主教のことを知っていたか、関心を寄せていたかには不明なところもあるのだが、とにかくツツという名はこれで大いに広まったはずだ。アパルトヘイトの撤廃に尽力...