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【麻倉怜士のMIPCOM2019報告:04】国際共同制作の8Kドキュメンタリー番組『天に光 地に彩 中国四川省ガルゼチベット族自治州』
NHKは自力で8K番組がつくれるが、NHK的なものだけでなく、バラエティに富んだ感性を集め、8Kってこんな表現ができるんだと感嘆されるような作品をプロデュースするのも、NHKの新しいミッションだ。
その典型が、国際共同制作の8Kドキュメンタリー番組『天に光 地に彩 中国四川省ガルゼチベット族自治州』での、山頂からの朝日の映像。もの凄く色が濃い、壮大な朝焼けだ。この映像には、共同制作である北京テレビのテクニカルディレクター、Guo Haojun氏が感じた色彩が反映されている。
「標高4000m級のミニャコンカ山(Mt. Minya Konka)の頂きに、真夜中に重い機材を背負って登り、午前...
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【麻倉怜士のMIPCOM2019報告:03】MIPCOM2019で分かった8Kの最前線。8Kのドラマ進出。日本映画放送、8K時代劇『帰郷』
「NHK 8KTHEATER」で上映された日本映画放送、8K時代劇『帰郷』(仲代達矢主演)。自然と人々の共存、人間の死生観をテーマにした股旅ものだ。自らメガホンを執った日本映画放送社長の杉田成道氏は8Kをどう使ったか。
「スタンリー・キュープリック監督の名作『バリー・リンドン』は、ローソク1本で撮った映画です。ローソクの暗い光を撮るためにNASAが開発した1本数億円のF0.7の超高感度レンズを買い込み、見事なローソク映像を撮りました。そのひそみにならいローソクの光を再現したかったから、8Kを選びました。8Kは柔らかく、包み込むローソクの光を見事に活写できました」
「8Kのもうひとつのメリ...
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【麻倉怜士のMIPCOM2019報告:02】MIPCOM2019で分かった8Kの最前線。8Kのドラマ進出。NHK『浮世の画家』
8Kの新しい方向性が「ドラマ」だ。これまで「8Kは花鳥風月を高精細に描くためのもの」といわれてきた。ノンフィクションには高精細映像は合うが、果たして、フィクションにはどうか?
見えすぎるのはどうか。ドラマに応用したらどうなのか。
そのトライが8KドラマのNHK『浮世の画家』。戦前との社会の激変に戸惑う老画家を渡辺謙が演じた、カズオ・イシグロ原作作品は、NHKにとっては「8Kはドラマに合うか」を試すひじょうに重要な実験だった。
私は試写にて、しっとりした質感が高精細に、そしてハイコントラストに描かれたと、見た。監督の渡辺一貴氏(NHKエンタープライズ・番組開発エグゼクティブ プロデューサー...
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【麻倉怜士のMIPCOM2019報告:01】世界から8Kプロダクションが集合した「ソニー4K/8Kシアター」と「NHK 8KTHEATER」
今回、初めて国際番組見本市のMIPCOMを取材。4月のMIPTVには毎回参加しているが、10月のMIPCOMは初だ。このコンテンツの祭典にて、ソニーが2013年から4Kセミナーを毎年、開催している。
今年の最大の話題は8Kセッションの本格化だ。セミナー名は、これまでの「ソニー・4Kシアター」から「ソニー4K/8Kシアター」に名称を変えた。上映はソニー期待の8Kディスプレイ、98インチの「Z9G」。本8Kセッションは大人気。定員70人の会場に合計132人も参集した。欧米で8Kに対して強い興味が湧き始めてきたかが、うかがえた。
8Kは、二日目の10月15日の午後全部を使ってプレゼンテーション...
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パナソニックの有機ELテレビがヨーロッパで人気。その秘密をビジネスユニット長の豊嶋氏に聞いた:麻倉怜士のいいもの研究所 レポート26
パナソニックのOLED(有機ELテレビ)が欧州でも好調だという。最新モデルの「GZ2000」シリーズも、3つのHDR(HDR10/HDR10+/Dolby Vision)に対応するなど、必要にして充分なスペックを誇っている。麻倉さんは、先日開催されたIFA2019の会場で、そんなパナソニックのテレビ事業について、新しくアプライアンス社 スマートライフネットワーク事業部 ビジュアル・サウンド ビジネスユニット長に就任した豊嶋 明氏にお話を聞いていた。今回はその内容をお届けしたい。(編集部)
麻倉 今日はよろしくお願いいたします。豊嶋さんは今年4月から今の役職に就かれたそうですね。まずは豊嶋...
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色づけを排した正確な音に宿る優れた音楽性こそGENELECの真髄【現地直撃 第①回】
音楽が生まれる録音用スタジオで使われている機器の中で、「音質」に関して、もっとも重要な役割を担うのが、いわゆるモニタースピーカーだ。数多くのメーカーがモニタースピーカーをリリースしているが、現在もっとも普及し、その代名詞的存在といえるのが、フィンランドのジェネレックだろう。同社では昨年創立40周年を迎えて、家庭用モデルも含めて存在感が高まっている。家庭用途を前提に、同社スピーカーが作り出す音の世界がどのような魅力があるのかを3回に渡ってお届けする。第1回はフィンランドにある同社の本拠地を直撃、高音質の秘密に迫る。(編集部)
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デノン「DCD-SX1 LIMITED」「PMA-SX1 LIMITED」は、音楽鑑賞をより楽しくしてくれる、希有なアイテムだ:麻倉怜士のいいもの研究所 レポート25
デノンの新しいフラッグシップとして登場した「SX1 LIMITED」シリーズが話題を集めている。SACD/CDプレーヤー「DCD-SX1 LIMITED」とプリメインアンプ「PMA-SX1 LIMITED」の2モデルで、それぞれ「SX1」シリーズをベースに、同社サウンドマネージャーの山内慎一氏による徹底した作り込みによって、新次元のサウンドを獲得したのだ。今回は、その新生デノンサウンドの誕生秘話を、麻倉さんが解き明かす。(編集部)
麻倉 先日、デノンから発売されたDCD-SX1 LIMITEDとPMA-SX1 LIMITEDの音を聴いてとても感動しました。しかもこの2モデルは、製品の成り...
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消費税増税まであと10日! テレビの買い換えを考えている方に向けて、押さえておきたい製品選びのポイントを、麻倉さんが解説します【シリーズ:4K深掘り11】
編集部 消費税が10%にアップする10月1日まで、あと10日になりました。その影響もあってか、家電量販店では大型テレビ、特に有機ELテレビが売れているという話です。
そこで今回は……かなりぎりぎりのタイミングですが……今週末〜来週末にテレビの買い換えを考えている方に向けて、今テレビを選ぶならどんなところに注目すべきなのか、またどんな点に注意して製品を選べばいいのかについて、麻倉さんに解説いただきたいと思います。
麻倉 テレビを買うということは、一大決心が必要です。普通テレビは10年くらい使いますので、買い換えの際には10年後を見据える必要があり、壊れない限りなかなか腰が上がりません。
し...
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【麻倉怜士のIFAリポート2019】その17:テレビデザインのバラエティがIFAの華。今回気になったモデルをまとめて紹介 (前)
今やテレビは、デザインのプラットフォームだ。薄くても、フレームが極小でも、いやだからこそ、「デザイン」「アート」を切り口に新しい形、色、コンセプトの液晶、有機ELテレビが、IFAの華だ。そこでIFA会場で私の心の琴線に触れたデザインテレビをご紹介しよう。
三星電子、Samsung Electronicsのデザインテレビ「Serif」 とアートギャラリーテレビ「The Frame」
「テレビはデザイン」であると最初に喝破したのが、サムスンエレクトロニクスだ。デザインテレビの元祖であり、むしろ「画質よりデザイン」という色合いが濃いメーカーだ。
ふたつの系列があり、ひとつが「Serif」TV。...