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【麻倉怜士のCES2020レポート12】ソニー、裸眼立体ディスプレイ「視線認識型ライトフィールドディスプレイ」の驚異。ブラビアへの展開も期待
3Dが流行っていた頃、3Dの理想は裸眼方式だといわれたが、私は到底、信じられなかった。だって、もの凄く画質が悪いし、ある一定の方向でしか3Dに見えないし、とにかく不快であった。しかるにソニーがCESで発表した「視線認識型ライトフィールドディスプレイ」は凄い立体空間だ。
裸眼だが、解像感が高く、しかも見る位置が一定でなくとも、上からでも、斜め横上から様々な角度から見ても、まるでそこに本物の立体物があるような、見え方だ。CGに人物のテクスチャーを貼り付けたダンスの男女二人が踊っている姿が、実に自然なのだ。まるでリアルな小人が踊っているよう。レイトラッキング(光の当たる方向に応じて影をリアルに...
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【麻倉怜士のCES2020レポート11】「Dolby Atmos Music」本格始動。Amazonに加えTIDALでもストリーミング配信が開始
これは凄い、近未来はイマーシブサラウンド(立体サラウンド)が、必ずや2chに取って代わると、確信させられたのが、WYNNホテルのスウィートに陣を構えるドルビーが、デモンストレーションした「Dolby Atmos Music」。ひじょうに感動的だ。
ソニーの360 Reality Audioが登場し、にわかにイマーシブサラウンドへの関心が高まっている。しかし、このデモを聞くまで、Dolby Atmos Musicがこれほど急成長しているとは、知らなかった。ユニバーサル・ミュージックが熱心に取り組み、ワーナー・ミュージック、ソニー・ミュージックも加わり、すでに全世界で数千曲がリリースされてい...
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【麻倉怜士のCES2020レポート10】JVCケンウッドの「EXOFIELD」が、遂にイマーシブに進化。バーチャルに拡がるチャンネルは7.1.4を採用
ものみなイマーシブサラウンドに行く時代。ついにヘッドホン・テクノロジーの最先端を走る、JVCケンウッドの頭外定位音場処理技術「EXOFIELD(エクソフィールド)」が、2chバージョンから、イマーシブサラウンドバージョンに進んだ。
個人特有の頭部伝達関数(HRTF)を実際に計ることによって、リスニングルームで眼前にスピーカーを聴いているような体験を得るというのが、そもそものEXOFIELDのコンセプトだ。新しく欧米で発表されたEXOFIELDは、ワイヤレスシアターシステム「XP-EXT1」。2chがイマーシブサラウンドになっただけでなく、頭部伝達関数の採取方法が革命的に簡略化された。
ま...
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【麻倉怜士のCES2020レポート09】“これぞ未来のデジタル・ピアノだ” ローランドの近未来コンセプトモデル「GPX-F1 Facet」が素晴らしい
これぞ未来のデジタル・ピアノだ。
LGエレクトロニクスの隣のローランドブースに、コンサート・グランドピアノ型のコンセプトモデル「GPX-F1 Facet」があった。横長のグランドピアノだが、伝統の上に乗った大胆な形が凄い。まるで、多面体で構成されたクリスタルのようにキラキラ光る、宇宙船かSFに出てくるスポーツカーだ。
2015年に開催されたピアノデザインの“Roland Digital Piano Design Awards”で大賞を受賞した韓国のジョン・チャン・キム氏による「Facet Grand Piano(ファセット・グランドピアノ)」のデザインを具現化したコンセプトモデル。「Fa...
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【麻倉怜士のCES2020レポート07】テレビそのものが回転する! サムスンエレクトロニクスのスマホ連動テレビ「The Sero」が面白い
スマホとテレビの連動というと、これまでは単純にスマホ画面をテレビで映す……というものだったが、サムスンエレクトロニクスの新発想テレビは、スマホを縦にするとテレビも縦に回転し、横にすると、あら不思議テレビも横に回転するのである。つまり、InstagramやTikTokなど、スマホでデフォルトの縦動画コンテンツをテレビで縦に見るための仕掛けだ。
映画やテレビ番組は横長だから横長テレビに合致するが、スマホの縦動画を横長スクリーンに映すと、真ん中だけの小さな映像になる。それは面白くない。テレビでも縦動画は縦画面で見たいというニーズ(?)に応え開発されたのが、スマホ方向連動テレビ「The Sero...
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【麻倉怜士のCES2020レポート06】JOLED、新型印刷・RGB有機ELパネルを発表。32型4K有機ELテレビに大いに期待
日本の有機ELディスプレイメーカー、JOLEDが新型印刷・RGB有機ELパネルを、ラスベガス・コンベンションセンターに隣接するウエストゲイトホテルで公開した。
これまでの21.6型に加え、新たに27型と32型がデビュー。昨年11月に稼働した能美事業所(石川県)での、第5.5世代のガラス基板(1300×1500mm)ラインから取り出された、出来たてほやほやの新作パネルだ。能美事業所の月産能力は2万枚(ガラス基板投入ペース)とされ、今後の印刷方式有機ELパネルの活用拡大が期待される。
初代の21.6型は、まずソニーの医療用モニター、次に台湾の大手パソコンメーカー、ASUSのプロフェッショナル...
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【麻倉怜士のCES2020レポート05】Dolby Visionの新規格「Dolby Vision IQ」とは? パナソニックとLGからいち早く対応テレビも登場した
Dolby Visionのニュー・バージョンが「Dolby Vision IQ」だ。
Dolby Visionも登場以来、数年が経過し、採用テレビも増えてくると、さまざまなリポートがテレビメーカーから寄せられた。その多くに「画面が暗い」という苦情があった。
Dolby Visionの場合、テレビでの調整項目は少なく、Dolby Visionコンテンツは、ドルビー側が定めた一定のイコライジングパターンで見ることになる。暗い環境ではしっかりとしたコントラストが出るが、しかし、明るい環境では中間から黒への階調がのっぺりとする。
なんとかして欲しいという声が、ドルビーに寄せられていた。その声に応...
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【麻倉怜士のCES2020レポート04】キヤノンの「ニューコンセプトカメラ」が超面白い。斬新なアイデアを採り入れることで、ワン・アンド・オンリーの魅力を提案
キヤノンは2018年から、CESブースで「ニューコンセプトカメラ」を展示している。今年も、また「ニューコンセプトカメラ」が登場した。
スマホに押されて苦しいデジタル・カメラだが、これまでにない斬新なアイデアを採り入れることで、ワン・アンド・オンリーのデジカメの魅力を提案するというのが、「ニューコンセプトカメラ」プロジェクトだ。
でも、あまりに発想が飛んでいるので、果たして売れるかは分からない。そこで、CESを始めとする世界各地のカメラショーに参考出品し、来場者の反応を探っている。2018、2019年で5モデルが紹介された。中には、連続して展示されたものもある。
2018年は、のちほど詳説...
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【麻倉怜士のCES2020レポート03】ハイセンスの「レーザーテレビ」が3原色RGBレーザー搭載で格段の進歩。75型と100型スクリーン対応で、Dolby Visionが加わった
他社がテレビの大型化を液晶や有機ELの直視型で追求するのに対し、ハイセンスはレーザー光源の超短焦点プロジェクターを「レーザーテレビ」とブランディングして展開する。
レーザー光をDLPデバイスで変調し、3原色のカラーホイールにてフルカラーを得る。その光を超単焦点レンズにて、スクリーンの至近距離から上方に投映するという仕組だ。まず2012年に試作機を初めて展示。その後、2Kだった解像度を4Kに高め、対応スクリーンサイズも80、88、100インチとバリエーションを増やしている。大画面選好が強い中国市場では、人気という。
私は当初から、ハイセンスのレーザーテレビの画質を見てきているが、最新機では...
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【麻倉怜士のCES2020レポート02】これが超話題のソニーのニューカー「VISION-S(ビジョン エス)」だ。その、ディテイルをご覧にいれます
ソニーブースでは、ソニーが安心・安全、快適、エンタテインメントを追求する新たなクルマコンセプト「VISION-S(ビジョン エス)」の試作車が大人気だ。いつも展示場所、ブース奥の特設ステージは大混雑。このクルマにはソニーの先進技術が結集している。ソニーのオーディオ・ビジュアル&エンタテイメントのすべてが詰まっているという言い方もできる。
立体音場を実現する「360 Reality Audio(サンロクマル・リアリティオーディオ)」も採用。車内外の人や物体を検知・認識し、高度な運転支援を実現するために、ソニーの車載向けCMOSイメージセンサーやToFセンサーなど数種類のセンサーを合計33個...
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【麻倉怜士のCES2020レポート01】世界最大級の国際家電見本市「CES2020」開幕まで2日。まずは今年の技術トレンドから紹介しておこう
「CES2020」の開幕を2日後に控えた1月4日(現地時間)、ラスベガスのマンダリンベイホテルでは、今年の技術トレンドを解説する「CES 2020 Trends to Watch Presentation」と、ベンチャーの新製品・新技術の祭典「CES Unveiled Las Vegas」のプレスイベントが賑々しく開かれ、CES本番への期待をいやが上にも高めた。
明日の5日はLGエレクトロニクスやTCL、ハイセンス、ソニーなどの大手の記者会見が目白押し。HDMI 2.1の正式発表、サムスンエレクトロニクスの「ベゼルレス8Kテレビ」、LGエレクトロニクスの「リアル8K」「天井収納の有機EL...
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これぞハイレゾ試聴の本命だ! 「Amazon Music HD」の音質にも配慮した取り組みを、来日した担当者に直撃した:麻倉怜士のいいもの研究所 レポート29
2019年9月18日に、アメリカ、イギリス、ドイツ、日本で一斉にスタートした音楽ストリーミングサービス「Amazon Music HD」。何よりの驚きは、CDクォリティの「HD」で6,500万曲以上、192kHz/24ビットや96kHz/24ビットの「ULTRA HD」で数百万曲という音源を揃えていることだ。これまでハイレゾを聴くためには音源をダウンロードし、USB DAC等につないで対応ソフトで再生する必要があったが、Amazon Music HDではそんな手間もいらない。音楽ファンにとっては夢のようなサービスだ。とはいえ、そもそも音源はどうやって準備されたのかや圧縮はどこで行なってい...