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鮮やかかつパワフル。QLEDパネルの高い実力を実感 TCL 55C825
世界第2位のテレビ生産量を誇る中国の大手家電メーカーTCLが、日本市場に向けて今後積極的に攻勢をかけていく由。今回はトップエンド機55C825を視聴した。
まずは本機のおおまかなアウトラインを見ていこう。55C825は、4Kチューナー内蔵のAndroid TVで、パネル形式は量子ドット技術を採用した、いわゆるQLEDタイプの倍速駆動VAパネルである。技術的な注目点は、ディスプレイ直下の数千個のMini-LEDバックライトをローカルディミングで制御している点だ。HDR/HLG/ドルビービジョン対応と、4Kコンテンツに対する適合力をほぼフルスペックで満たしていながら、実勢価格はなかなかの値頃...
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名盤ソフト 聴きどころ紹介28/『ストラヴィンスキー:バレエ《春の祭典》』 Stereo Sound REFERENCE RECORD
自他ともに認めるオーディオファイルならば、『ハルサイ』の1枚や2枚は当然お持ちだろう。お前はどうなんだって? 自慢じゃないが、CD/LP、さらにBOX物を織り交ぜたら、優に100枚は超えると思う。大好きなのである。
そんな『ハルサイ』崇拝者の私でも、ステレオサウンドからこのLPリリースの情報が入った時はいささか興奮した。CDで愛聴していたゲルギエフ指揮キーロフ管(現マリインスキー劇場管)の演奏だからである。
私は長い間、ショルティ指揮シカゴ響のデッカ盤こそが最高の『ハルサイ』と信じてきた。その米オリジナル盤とXRCD、そしてステレオサウンドのSACDさえあれば、ここぞというオーディオ的場...
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PIEGA ピエガの新エントリーラインはシャープなキャビネット、豊かな音
AMT(エアー・モーション・トランスフォーマー)トゥイーターとMDS(マキシマム・ディスプレイスメント・サスペンション)コーン型ウーファーによる組合せ。ピエガの新エントリーラインを形成するAceシリーズは、これら熟成されたドライバーユニットを採用した優美なアルミ製キャビネットをまとっている。それはほぼシームレス構造の、同社の伝統といってよいアルミ押出し材によるスリムなフォルムで、フロントバッフルをウーファーのフレームのギリギリまで絞り込むことで回折現象(ディフラクション)の悪影響を回避し、楕円形断面のフォルムと相まって理想的な音波の放射を実現している。
通常の使用状態ならば、前方から見え...
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映画と音楽再生のためのスピーカー選び【TAD】映像とリンクしてその世界に引き込む圧倒的リアリティ
TADスピーカーの本質は、「正確なトランスデューサーであれ」というものだ。それは、ドライバーユニットの開発からスタートしたことと無縁でない。加えて、そのルーツであるパイオニアが、ドライバーユニット(フルレンジスピーカー)の独自開発・製造を足掛かりに誕生(1937年)したメーカーという点も無視できないところだ。
アメリカから招聘されたスピーカーエンジニアBart Locanthiのリーダーシップの元で開発されたドライバーユニットは、入力信号にいかに忠実な反応をするかという点に特化し、世界の著名な音楽製作現場のハイレベルな要求にいかに応えていくかということを二人三脚で進めていった成果だ。結果...
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名盤ソフト 聴きどころ紹介27/『チャイコフスキー:ピアノ協奏曲 第1番』『ワーグナー:ザ・ゴールデン・リング〜楽劇《ニーベルングの指環》』 Stereo Sound REFERENCE RECORD
ステレオサウンドがリリースする「オーディオ名盤コレクション〈クラシック篇〉」は、原則SACDとCDの2枚組。SACDは1枚の12㎝ディスクの中にSACD層とCD層を有したハイブリッドディスクではない、シングルレイヤー仕様である。
ハイブリッド仕様のSACDの場合、厚さ1.2mmの中に、レーザー光源側から見て0.1mmにSACD層、0.6mmにCD層が記録されている。読取り時のレーザー光線の波長が異なるため、干渉はないといわれているが、シングルレイヤーSACD盤とハイブリッドSACD盤を聴き比べると音の違いは確かにあって、質感描写のなめらかさや音場の見通しのよさでシングルレイヤーSACDが...
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【HiViレビュー】ネットワークプレーヤー、Aurender「ACS10」こんなCDストリーマーを待っていた、唯一無二のデジタルファイル再生システム
HiVi6月号の特集「ネットワークプレーヤーの最先端」でフィーチャーされたのはオーレンダーのACS100。そのいっぽうで、「夏のベストバイ」ネットワークトランスポート部門で第1位となったのはACS100の上位モデルACS10だった(ACS100は同部門第5位)。つまり、オーレンダーの新製品がとても注目されているということ。ここでは、かねてからのオーレンダーユーザー小原由夫さんの自宅でACS10の試聴テストを実施。その魅力を解説していただこう。(編集部)
Aurender
ACS10
¥770,000+税
●接続端子:デジタル音声入力1系統(USB)、デジタル音声出力1系統(USBタイプA...
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【HiViレビュー】スピーカーシステム、ELAC、Solano 「BS283」「FS287」注目プリメインアンプと組み合わせて極上のサウンドを楽しむ
上級機からの技術を継承した高い完成度が特徴
エラック・スピーカーのシンボリックなアイコンは、誰もが「JETトゥイーター」であるという認識だろう。エントリークラスの一部機種を除く同社スピーカーシステムに全面的に採用されているこのオリジナル・ドライバーは、振動板を細かなプリーツ状に折り畳み、振動面積の拡大と微細な振動での高い音圧、そして超高域再生を実現したリボン型トゥイーターだ。最新鋭のそれは、「JET V」と命名された第五世代である。
現行モデル中でJETトゥイーターを搭載しているのは、全11機種(センター専用機などを除く)。内訳はトールボーイ型7機種、ブックシェルフ型4機種。なかでもとり...
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名盤ソフト 聴きどころ紹介26/『ロッシーニ:弦楽のためのソナタ集(全6曲)、二重奏曲、パガニーニによせてひと言、涙』『ヴィヴァルディ:協奏曲集《四季》』Stereo Sound REFERENCE RECORD
オーディオのメインのメディアがレコードからCDに置き換わろうとした頃、その動きをもっとも支持したのはクラシック愛好家だった。それは単にヒスノイズやスクラッチノイズといったアナログ特有の問題がクリアーしただけでなく、ダイナミックレンジやS/Nの拡大、さらには盤を裏返したり、交換したりといった再生時の煩わしさから解放されたことも大きかった。
他方、SACDが今もこうして音のいいメディアとして重用されているのは、ひとえにクラシック好きのオーディオファイルの存在がこれまた無視できないと私は思う。12cmディスクメディアの世界的な市場縮小の中で、クラシックSACDはいまもってコンスタントにリリース...
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LP『テレサ・テン ラストコンサート』は、まるで昨日収録されたかのような鮮度の高い臨場感。フルリミックス音源から作られた、初めてのレコードの魅力を堪能!
その甘い歌声と確かな歌唱で多くのアジア人を魅了したカリスマ歌姫テレサ・テン。この度ステレオサウンドからリリースされた2枚のLP『テレサ・テン ラストコンサート -1985.12.15 at NHK Hall-』は、今から30数年前に収録された、生前の彼女のソロコンサートを前編/後編に分けたものだ。
初めにお断わりしておくが、私はテレサの熱心なリスナーではない。したがって彼女の活動歴の中でこのコンサートがどれほど貴重なものか、あるいは当時の彼女を取り巻く環境がどうだったかは知る由もない(再来日/再デビュー後、紅白出場を果たした人気絶頂期であったようだ。詳細はコラムを参照)。
それでもこのコ...