執筆陣
バランス対応ヘッドフォンアンプとマグネシウム振動板ヘッドフォン。 ラックスマン P750u MARKⅡ、フォーカル CLEAR MG
ラックスマンのヘッドフォンアンプP750u MARKⅡは、外観と基本仕様は2017年発売のP750uを踏襲。2020年末に発売後、すぐに完売した同社創業95周年限定ヴァージョンの高音質対策も盛り込んでいる。
アンプ部は半導体式の本格的なディスクリートパワーアンプであり、独自の電子制御アッテネーターLECUA(ラックスマン・エレクトリック・コントロールド・アルティメイト・アッテネーター)を搭載してバランス設定や感度設定にもこれを活用。パワーアンプ部は電流出力のゆとりと、前段を定電圧、定電流で固めた高精度志向が印象深い。独自の歪み検出/打消し方式であるODNF(オンリー・ディストーション・ネ...
執筆陣
300Bパラレルppステレオアンプ、マックトンMG300。マックトンらしい悠々たる鳴りっぷりに、透明感としなやかさが加わる
マックトンというと、OTLアンプや大型ビーム管を搭載した大規模な構成のパワーアンプで知られている。本機はその究極というか、300Bパラレルプッシュプルのステレオアンプである。それで300B(EH=エレクトロ・ハーモニックス製)が計8本、林立しているわけだ。直流点灯されるフィラメントの消費電力だけで48W相当だから結構な発熱量となる。それでもA級動作なので出力は30W。直熱3極出力管の大スターたる300Bへの敬意がうかがえる。
初段はECC82(12AU7)のパラレル接続。2段目は12BH7のカソード結合型位相反転。全段コンデンサー結合であり、また全段固定バイアスというのが特徴だ。ユニーク...
執筆陣
パラダイム 「Founder 40B」 シリーズ最小の2ウェイブックシェルフ型 高純度と俊敏な応答性で、音像を実体描写
高精度のホログラフィックのごとき音像と音場が出現
カナダのパラダイム社は1982年の創業。今回の40Bも一員となるファウンダーシリーズ全6モデルには、ペルソナシリーズなどの成果を引き継いであらたな創業を目指す意気込みが感じられる。40Bはシリーズ最小のブックシェルフ型リアバスレフ2ウェイ構成だ。トゥイーターはシリーズ共通のAL‐MAC高域ドライバー。ベリリウムではないが、アルミニウム、マグネシウム、セラミックを組み合わせた振動板素材を採用。偏円形のくぼみであるウェーブガイド中央にPPAレンズという有孔位相整列型音響レンズを配しているのが大きな特徴。中低域は152㎜径のロングストロークのド...
執筆陣
スペンドール「Classic 4/5」 英国BBCモニターを受け継ぐ小型2ウェイ、 実体感があり現代的な鮮度や解像感を表す
艶やかなプレスリーの声音が自然に前に出て音像となるのが好印象
英国のBBCモニターの設計を受け継ぐスペンドール「LS 3/5a」は1982年に登場し、ウーファーは11㎝径だった。1998年にはユニットを一新させたモデルとして「S 3/5」が登場。ウーファーは14㎝径となり、低域のゆとりが増し、力強い音を放射できるようになった次第。2017年には「Classic 3/5」として、さらに新開発したユニットを採用。ウーファーは15㎝径のEP77ポリマーコーンとなり、ダンプ剤の厚塗りは見られない。ソフトドームトゥイーターは、2.2㎝径のワイドエッジ型である。
それと同じユニット構成を採り、バッフ...
執筆陣
音像が3次元的に明瞭で、官能的描写。シバタ針と十字巻きコイルを持つMC型。ラックスマン LMC5
このLMC5は、ラックスマンとして久々のMCカートリッジ。初代のLMC1は1981年に、L MC2は翌年に登場しているからじつに40年近い時を経た第3弾だ
これは初期モデルとはすっかり異なる設計だ。全体構造はセミオープン型、つまり発電機構がむき出しになっていて、内部空間の音響的な問題を避けている。ガード役の横壁は卵円形状をあしらって反響や共振問題に対策している。ボディはアルミニウム製。ソリッド・ダイヤモンドの針先はシバタ針であり、点接触に近い状態で音溝に接する。発電機構はサマリウム・コバルト磁石による磁気回路が肉眼で見える。十字巻きコイルは4N銅線。
ヘッドシェルはマイソニックラボのSH...
執筆陣
発売20周年記念モデル、サン・オーディオSVC200は、堂々たる風格の再生を魅せる完成度の高い特別仕様
SVC200はサン・オーディオの管球式ライン入力専用プリアンプであり、キット仕様もあるロングラン製品だ。本機はその発売20周年記念の特別仕様であり、完成品のみで登場した。
一番大きな特徴は、ライントランスによるバランス入力/出力端子を追加したことだ。バランス入力用はタムラのTD1であり、これは600Ωの1:1、入出力それぞれに2巻線を持つ。出力側はTD2で、こちらは10kΩ:600Ωで入出力それぞれ中点タップ付きだ。また電源部のチョークコイルもタムラの大型特注品に換装。抵抗はA&Bのカーボン抵抗を多用する。出力端のコンデンサーは、錫箔巻きのAudioCap。電源平滑コンデンサーはサン・オ...
執筆陣
ソニーの4KレコーダーBDZ-FBT6100は番組予約機能が向上。長時間録画の実力も充分だ
ソニーの録画機の新製品とは久しぶりのご対面であり、外観はすっかり簡素でブラックボックス風になってしまった。
BDZ-FBT6100は、FBすなわち4Kチューナー搭載であり、T=3チューナーのうちふたつが4K対応となっている。本体のHDD容量は6Tバイトであり、DR(ダイレクト録画)の4K放送は390時間、地上デジタルは780時間という大容量記録が可能だ。しかも4K録画は再圧縮(高圧縮変換)モードが豊富になった。約1.5倍(XR)、約2倍(XSR)、約2.8倍(SR)~約11倍(EER)まで7通り用意されているのだ。それに長時間化に伴なうブロックノイズの増加を抑えるなどの画質向上策を強化し...
執筆陣
ナガオカより80周年記念のMM型カートリッジ2モデル。 上位機BKは、切れ味良く表現幅が広い
80周年を記念したMM型2モデル
レコード針で知られるナガオカの80周年記念製品が、このJT80の2種のMM型カートリッジだ。現行のMPシリーズとは別系統で外観も異なる。交換針部が円筒形状でボディから突出しているので着脱しやすいし、レコード盤上の位置確認もしやすい。JT80LBの仕上げ色はラピスブルーでボディと針部が青っぽい色をしている。BKはブラック色の仕上げで、同じ外形でも区別は明瞭だ。
LBは楕円形状の接合ダイア針。カンチレバーはアルミニウム。出力5mVはBKよりも大きい。BKは楕円形状の無垢ダイア針。出力3mVは標準的な値だ。
JT80LBはシングル盤など、平均音量が大きいディス...
執筆陣
超小型ハイブリッドアンプの進化形。 キャロットワン ERNESTOLO 50K EX EVO
ガラス工芸品でもある真空管を、オブジェ感覚で配置した意匠が人気を集めるキャロットワンのシリーズ。ガラスのブロックは重しであると同時に、内部照明のLED青色光を立体的に導いて真空管を引き立てている。
これは以前のLIMITED版に採用されたバーブラウンの高性能オペアンプOPA627AUを採用したのが特徴。このオペアンプはかつて小売りで数千円もした高級品だ。しかも本機ではTIに買収される前のバーブラウン製というヴィンテージ品を採用。現行のプロセスルール=回路パターン形成の基準とは異なり、内部配線が太いのだという。
真空管はEX版と同様にECC802S GOLD(12AU7の高信頼管)であり、...
執筆陣
スティルポイントの進化したアクセサリー「ULTRA SS V2」「LPI V2」を試す。物量を充分与えられた高級機で本領を発揮する逸品を歓迎したい
Stillpoints(スティルポイント)の意味は物理的には静点、静止点(の複数形)あたりだろうけど、座禅でいう不動心というような意味を重ねているかもしれない。力学的平衡と感応的な平衡のダブルミーニングだ。以下、20年ほどの来歴があるアメリカのアクセサリーメーカーのユニークな仕掛けと音質効果を紹介しよう。
今回視聴したのは「ULTRA SS V2」と「Ultra 5」のオーディオ機器用のフット(インシュレーター)と「Ultra Base」という脚受けベース、そしてアナログ盤用のスタビライザー「LPI V2」だ。「V2」と付いた2モデルが新製品となる。
インシュレーター Stillpoin...
執筆陣
リンから注目のベーシックモデルが登場。 強固な軸受けベアリングシステムを搭載して トーンアームを独クリアオーディオ製に換装
注目のベーシックモデル、情報量がすこぶる豊富でエネルギッシュ
リン(LINN)のLP12というと、最近は全面的なデジタル信号処理によるフォノイコライザーを搭載してハイレゾシステムとの接続性を確保するなど新時代を迎えている。その一方でMAJIKシリーズは、伝統的な24極ACシンクロナスモーターを使用し、ショートスケールのトーンアーム、MMカートリッジを搭載したベーシックモデルも維持している。
今回のMAJIK LP12は伝統的な外観のベーシックモデルになっている。ただしトーンアームはKraneに変わっている。MM型カートリッジはAdickt(アディクト)。本体部分で変わったのはターンテーブ...
執筆陣
845シングル構成インテグレーテッド機 JUNONE 845S 重厚にして精妙な直熱出力管らしい再生で3次元的音場の形成能力も優秀
JUNONE(ジュノン)は、トライオードの創業者山崎順一氏の名にちなんだブランド名。トライオードの高級機にのみ命名され、厳選された販売店でのみ扱われて、インターネット上での販売は行なわない。すでにプリアンプのReference Oneが発表され本機は第2弾となる。
重量が45㎏にもなるプリメインアンプJUNONE 845Sは、845のシングル構成で、22W+22Wの大出力をひねりだす。出力アンプ部の前にフラットアンプを配置しているが、それを使わないメインイン端子も装備。これはリアパネル側で切り替える。リモコンは音量調整と消音の機能がある。
845Sは固定バイアスで、前面のメーターでカソー...