執筆陣
米国のPSオーディオ製SACDドライブ。意欲的な最新手法でデジタル音源を引き出し、純正組合せでは精密緻密な鮮度際立つ、濃厚かつ3次元的な展開
DMP=「ダイレクトストリーム・メモリー・プレーヤー」と命名したディスクトランスポートの後継機として登場したのがこのパーフェフェクトウェイブSACDトランスポートだ。ハイレゾオーディオファイル仕様を含むディスクドライブというだけでなく、前面のUSBスロットにて各種ハイレゾ音源にも対応。またHDMI端子によるIS(インターICサウンド)形式の信号出力も可能だ。
SACD/CD Transport
PSオーディオ PerfectWave SACD Transport ¥900,000(税別)
●再生可能ディスク:SACD、CD、CD-R、CD-RW、DVD-R、DVD-RW
●再生可能な音楽...
執筆陣
ヤマハ渾身のスピーカー第2作「NS-3000」 上級機の設計思想を踏襲する2ウェイ機 小型モニター系で最高ランクの再生能力
上位機の思想を受け継ぎながら、小型化の利点を生かす
これはNS-5000の設計思想を受け継ぎつつ、小型ブックシェルフの利点を生かすべく設計された最新の小型スピーカーだ。
2ウェイ構成のリアバスレフ方式で、トゥイーターには上級機NS-5000と同じ3㎝ドーム型ユニットを採用。ウーファーは新開発の16㎝径ユニット。センターキャップレスで、コーン形状は傾斜のラインが滑らかにS字に変化するコンケーブ型を採用。2ユニットとも振動板にZAYRON(ザイロン)素材を採用。これは東洋紡の新素材で、ベリリウムの音速とアラミド繊維の内部損失を併せ持つ繊維素材という。磁気回路はいずれもフェライト磁石を採用する...
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フェーズメーション上位機の思想を継承するベーシックモデル、PP200、T550を聴く
フェーズメーションのアナログオーディオ製品は、高評価の頂点モデルとともに価格レンジを広げて製品ラインアップを充実させてきた。ここでは価格を抑えたMCカートリッジと昇圧トランス、それに加えてカートリッジや昇圧トランスの消磁器についてリポートする。
MCカートリッジのPP200は「トップモデルのエッセンス」を感じられるベーシックモデルという位置付けだ。ボディの外観は上位機と似ているが色は黒ではなく紺色。またボディの材質は上位機のようなジュラルミン削り出しではなく、アルミ削り出しとなる。ただしカンチレバーの無垢ボロン、ラインコンタクト針の形状、磁気回路構成材料の純鉄などはPP300と同様。マグ...
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3種の交換針で愉しめるMM型カートリッジ 音楽に合わせて付け替えて楽しみたい オルトフォン「VNL」
大オーケストラの重厚な響きも想定した本格志向
針交換できるのがMM型フォノカートリッジの利点であり、このVNLは3種の交換針と組み合わせたセットで販売される。
アルミニウムカンチレバーに取り付けられた針の先端部=スタイラスチップの違いでⅠ、Ⅱ、Ⅲのタイプで分けられている。いずれもチップの曲率半径は18㎛であり、接合部先端の高さや水平コンプライアンスの違いが記されているが、ねらった音質傾向については不明。自重は6.5gと軽い。
ヘッドシェルはオルトフォンのSH4を起用して試聴した。まず「Ⅰ」は重厚さより軽快な表現向き。美空ひばりの「リンゴ追分」(ドーナツ盤)は日本人離れしたアクセントと声色...
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北欧産小型2ウェイ。 清楚な音の佇まいで3次元的音像を描く アンフィオン Helium410
スピーカーの端子部に「ハンドメイド・イン・フィンランド」を誇らしく明記していることでわかるように、アンフィオンのスピーカー製品は自国内で組み立てている。ただしユニットはノルウェー産のもののカスタム仕様で、25㎜径チタンドーム型トゥイーターは独自形状のウェーブガイドを備える。
この「ヘリウム」シリーズには、そのトゥイーターに加えて15㎝系のウーファー2本を搭載したトールボーイ型の520や、同じユニット各1本の510、また横長仕様のセンターチャンネル用520Cもラインナップされている。ここでは一番小型でウーファーが12㎝径の小型2ウェイモデルHelium410を試聴した。このシリーズのウーフ...
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6筐体構成でL/R独立思想の集大成フォノEQ。フェーズメーションEA2000の圧倒的な情報密度と、精密な音像彫琢能力。
フェーズメーションは、L/R独立構成に理想を見い出しているのだろう。たとえばMC昇圧トランスのT2000、フォノアンプのEA1000、コントロールアンプのCA1000、さらにモノーラル構成のパワーアンプ群など。このEA2000フォノEQアンプはそのL/R独立思想の集大成といえる。
本機は昇圧トランス、イコライザーアンプ、そして電源部がそれぞれL/Rを完全に独立させた計6筐体のセパレート構成になっている。オーディオラック3段分をフォノアンプだけで占める大作だ。
MC昇圧トランスはT2000を土台として開発されたもので、コア材はスーパーパーマロイではなく、スーパーマロイを採用している。モリブ...
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L/R独立設計を徹底した新世代プリアンプ。 ウエスギ U・BROS280R登場
U・BROS280Rは真空管ラインプリアンプのロングラン製品の血統であり、一見するとその外観と機能に変更がないように思える新ヴァージョンが、U・BROS280Rだ。
前作はブルートゥースによる電動ボリュウムの制御、入力選択機能付きリモコンを加えたのが大きな変化だったが、今回はその重厚な触感のリモコンは継承。しかもアンプの基本回路もほとんど変更がないという。ではなにが変更点なのか。これは電源部が電源トランスからL/R独立構成になったことが大きい。その配置自体が左右に振り分けられているのだから、本格的なデュアルモノーラル構成だ。
さらに特徴的なのは、信号経路を最短化したことだ。入力系統はすべ...
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【HiVi名作選】スピーカーシステム ELAC「50LINE」(2011年10月号)
オーディオやオーディオビジュアルの世界は日進月歩。次々に新しい技術やそれを搭載した新製品が登場し、入れ替わりも早い。だが同時にそれらは、常に時代の最先端を走っているモデル達でもあり、思い出に残る製品ともいえる。このシリーズでは、弊社出版物で紹介してきた名機や名作ソフトに関連した記事を振り返ってみたい。
★以下の記事はHiVi2011年10月号に掲載されています
立体的に空間を再現し、音像がシャープに定位する。
みごとな鳴りっぷりには、思わず息をのんだ
エラックのスピーカーシステムというと、繊細にして明敏なJETトゥイーターを搭載したシリーズが有名だ。しかし、この50LINEは、ドーム型...
執筆陣
マランツ SACDプレーヤーSACD30n、プリメインアンプMODEL 30。新外観と磨かれた技術が共存するマランツ30シリーズ
マランツのオーディオ製品というと、中央に丸窓があったり星形の通電表示灯があったりするけれどむやみに飾らず、ちょっと古風にしてあか抜けた意匠が身上だ。その外観が大きく変わり型番系列も変わった「30」シリーズが登場した。左右対称配置の安定感と有機EL表示窓の大きさに特徴があり、両脇の干渉縞風の光彩模様は工芸品の印象を与える。しかも、最新の技術要素を小ぶりの筐体にたっぷり注ぎ込んだ意欲作なのである。
しっかりと物量を投じた
本格派SACDプレーヤー
まずはSACD 30nから。SACDドライブを搭載したプレーヤーであり、各種ハイレゾ音源、圧縮音源のネットワーク再生、またディスクからの再生が可能...
執筆陣
フォステクス、Solシリーズの技術要素を継承するフルレンジユニット「FE108NS」と「FE208NS」。新型スーパートゥイーター「T96A」を追加するとたちまち臨場感が向上
フォステクスのフルレンジユニットFEシリーズは、限定生産だったSolシリーズ以来、そこに注がれた技術要素を継承し、あるいは新しい要素を加え、さらにはいったん解きほぐしてから別の手法で同等の効果を得ようとするなど、入念な開発方針が軌道に乗ったように思える。すなわちNSシリーズが快調なのだ。
今回試聴したのはFE108NSとFE208NSだ。そこに注がれた特徴的な技術はすでにお馴染みのもの。つまり「2層抄紙コーン」、「ポケットネックダンパー」、「ハトメレス」などだ。搭載フェライト磁石はFE108NSが90mm径、FE208NSが156mm径と、それぞれの有効振動板面積と同等かそれを超えるほど...
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3極5極複合管ECL805のシングルアンプ。 春日無線変圧器 KA47SE
3極5極複合管ECL805(6GV8)を起用したシングル出力アンプ。既発のKA24SEGを改良したとのこと。
この複合管の3極管部は増幅率50の高ミュー管。出力用の5極管部は100V台の低い電圧での使用も想定した低電圧大電流型だ。つまり内部抵抗が低いのであり、ラジオやテレビ用に使いやすい設計になっている。
コンデンサー結合の2段アンプであり、出力端から初段へ全体トータルNFBを掛けている。電源の整流は半導体ダイオードによるブリッジ整流。いたって簡素な設計だが、出力トランスの巻線を1次、2次側ともに逆接続しているのがユニークだ。つまり1次巻線の高電圧側端子をプレートに、プレート側端子を電源...
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サン・オーディオのパワーアンプ「SV2A3TSX」はタムラ製作所特注のトランス搭載。2A3らしい伸びやかなタッチに聴き惚れる
2A3パラレルシングルの無帰還モノーラルアンプ構成。これは、既に発売されているWR50パラレルシングルのSV-TE/50TSXと基本は同じ構成だ。タムラ製作所特注のトランス類は角張った稜線の新タイプを搭載している。公称出力はWR50の方が7W、2A3は6.5Wとほぼ同等だ。出力端子は8Ω、16Ω用が設置されている。
初段は6SN7のパラレル接続であり、段間トランスを駆動する2段目は出力管の6V6GTを3極管接続。これらの増幅段はロフチンホワイト流に直結接続されている。低い回路インピーダンスで過渡特性を維持する意図が感じられる。新たに採用した段間トランスのB5002TSAは10kΩ対40k...