アカデミー賞3部門候補の『FLEE フリー』は、居場所を求め続ける難民男性の苦悩と解放を描く“大人のドキュメンタリーアニメ”【先取りシネマ 第21回】
その後の苦悩を感じさせない、カラフルでリズミカルな少年時代
題名は『FLEE フリー』。「FREE」(自由)ではない。逃げる、エスケープするのFLEE。ひとりの青年が自分の居場所を求めて、世界の外と内にある国境を乗り越え、やかておのれの居場所にたどり着くまでの物語だ。
デンマーク東部の街、コペンハーゲンのどこか。ベッドに寝た主人公のアミンは、友人であるヨナス・ポヘール・ラスムセン監督から質問を受けている。「できるだけ古い記憶を思い出してほしい。浮かび上がるのはどんなことだい?」
3歳か、4歳のころ。生まれ故郷のアフガニスタン、カブールの街。
「ぼくは姉の服を着るのが好きだった」
アーハの...