執筆陣
3種の交換針で愉しめるMM型カートリッジ 音楽に合わせて付け替えて楽しみたい オルトフォン「VNL」
大オーケストラの重厚な響きも想定した本格志向
針交換できるのがMM型フォノカートリッジの利点であり、このVNLは3種の交換針と組み合わせたセットで販売される。
アルミニウムカンチレバーに取り付けられた針の先端部=スタイラスチップの違いでⅠ、Ⅱ、Ⅲのタイプで分けられている。いずれもチップの曲率半径は18㎛であり、接合部先端の高さや水平コンプライアンスの違いが記されているが、ねらった音質傾向については不明。自重は6.5gと軽い。
ヘッドシェルはオルトフォンのSH4を起用して試聴した。まず「Ⅰ」は重厚さより軽快な表現向き。美空ひばりの「リンゴ追分」(ドーナツ盤)は日本人離れしたアクセントと声色...
執筆陣
オーディオテクニカのヘッドホンアンプ「AT-BHA100」とD/Aコンバーター「AT-DAC100」は、小型ながらも鮮度が高く上品な音色が特徴
オーディオテクニカから真空管を搭載したバランス対応ヘッドフォンアンプのAT-BHA100と、高性能DAC素子を採用するD/AコンバーターのAT-DAC100が登場。同社は超弩級のAT-HA5050H(国内未発売)や小型のAT-HA22TUBE(生産完了)で真空管を扱うノウハウを蓄積してきた。
Headphone Amplifier
オーディオテクニカ
AT-BHA100
オープン価格(実勢価格12万円前後)
●ヘッドフォン出力:4系統(Φ6.3mm標準フォーン×2、XLR、Φ4.4mmバランス)
●LINE出力:1系統(RCAアンバランス)
●LINE入力:2系統(RCAアンバランス、X...
執筆陣
北欧産小型2ウェイ。 清楚な音の佇まいで3次元的音像を描く アンフィオン Helium410
スピーカーの端子部に「ハンドメイド・イン・フィンランド」を誇らしく明記していることでわかるように、アンフィオンのスピーカー製品は自国内で組み立てている。ただしユニットはノルウェー産のもののカスタム仕様で、25㎜径チタンドーム型トゥイーターは独自形状のウェーブガイドを備える。
この「ヘリウム」シリーズには、そのトゥイーターに加えて15㎝系のウーファー2本を搭載したトールボーイ型の520や、同じユニット各1本の510、また横長仕様のセンターチャンネル用520Cもラインナップされている。ここでは一番小型でウーファーが12㎝径の小型2ウェイモデルHelium410を試聴した。このシリーズのウーフ...
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デノン「DL-A110」 DL-103+放送局用再現シェルの記念モデル。 厚い音調とノスタルジックな外観で安堵させる
驚異的ロングセラーを忠実に復刻
昨年、デノンは創立110周年を迎えたという。のちに日本コロムビアとなる日本蓄音機商会が誕生した、明治43年(1910年)を起点に数えた年数である。
ここで紹介するのは、記念モデルとなるDL-A110。日本コロムビアがNHKの協力を得て開発した放送局用フォノカートリッジであるDL-103を、往年の放送局用トーンアームのヘッドシェル(復刻)と組み合わせたもの。DL-103がコンシューマー市場に発売されたのは1970年。ステレオの国産MC型フォノカートリッジの標準原器というべき、驚異的ロングセラー製品である。
DL-103は単売品と同じなので、ヘッドシェルを観察...
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フルバランス伝送対応のデュアルモノ半導体プリ。 オーロラサウンド PREDAⅢ
オーロラサウンドを主宰する唐木志延夫氏は、楽器を創る職人のように素子と回路にこだわってデザインする人物。オール半導体プリアンプのPREDA(プレダ)は、新設計の3世代目となるPREDAⅢへと進化した。300B真空管をプッシュプルで駆動するPADA300B(2019年)が奏でる美音が、唐木氏に新型プリアンプの開発を促したに違いない。
PREDAⅢでは音量調整にアルプス製の最高級品を奢った。しかも、フルバランス伝送のために最大規模の4連構成を採用。この真鍮削り出しの大型可変抵抗器は、音質の良さとともに操作感の好ましさで世界的に定評がある。ちなみに、本誌リファレンスのエアータイトATC5は同型...
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6筐体構成でL/R独立思想の集大成フォノEQ。フェーズメーションEA2000の圧倒的な情報密度と、精密な音像彫琢能力。
フェーズメーションは、L/R独立構成に理想を見い出しているのだろう。たとえばMC昇圧トランスのT2000、フォノアンプのEA1000、コントロールアンプのCA1000、さらにモノーラル構成のパワーアンプ群など。このEA2000フォノEQアンプはそのL/R独立思想の集大成といえる。
本機は昇圧トランス、イコライザーアンプ、そして電源部がそれぞれL/Rを完全に独立させた計6筐体のセパレート構成になっている。オーディオラック3段分をフォノアンプだけで占める大作だ。
MC昇圧トランスはT2000を土台として開発されたもので、コア材はスーパーパーマロイではなく、スーパーマロイを採用している。モリブ...
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VPI Prime Signature 重量級設計に高感度アーム搭載の米国モデル。 ダイレクト盤では見事な臨場感で鬼気迫る再生
米国製アナログプレーヤーの老舗的存在
VPIインダストリーズ社は、家族経営を貫く米国製アナログプレーヤーの老舗的な存在。紹介するプライム・シグネチュアはプライムシリーズの最高峰で、インバーテッドベアリング構造のスピンドルシャフトが与えられた重厚長大指向の新製品。9kgのアルミニウム製プラッターはステンレススチール材と組み合わせて振動モードを分散している。キャビネットは厚いアルミニウム板を樹脂ラッピングした2枚のMDF材で挟む構造。剛性と内部損失をともに高めている。同社伝統といえるワンポイント支持のJMW10-3Dトーンアームは、可動部分のアームワンドが3Dプリンター技術による一体化製造。...
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L/R独立設計を徹底した新世代プリアンプ。 ウエスギ U・BROS280R登場
U・BROS280Rは真空管ラインプリアンプのロングラン製品の血統であり、一見するとその外観と機能に変更がないように思える新ヴァージョンが、U・BROS280Rだ。
前作はブルートゥースによる電動ボリュウムの制御、入力選択機能付きリモコンを加えたのが大きな変化だったが、今回はその重厚な触感のリモコンは継承。しかもアンプの基本回路もほとんど変更がないという。ではなにが変更点なのか。これは電源部が電源トランスからL/R独立構成になったことが大きい。その配置自体が左右に振り分けられているのだから、本格的なデュアルモノーラル構成だ。
さらに特徴的なのは、信号経路を最短化したことだ。入力系統はすべ...
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ピュアオーディオ川柳大会 vol.1 -OTAIAUDIO- オーディオ界の松尾芭蕉は誰だ!?
愛知県北名古屋市で、40年以上にもわたってオーディオの魅力を伝え続けている専門ショップ「OTAI AUDIO」が、このたび「ピュアオーディオ」をテーマとした川柳大会を実施する。川柳大会は、さまざまな教育機関や組織によって開催されているが、テレビ番組などで取り上げられることの多い、「サラリーマン川柳(サラ川)」は、おもわずニヤリとしたり、身につまされたりして、よくご存知だろう。
ここでご紹介する川柳大会は先述のとおり、テーマが「ピュアオーディオ」 五・七・五にあわせて、オーディオ機器やリスニングライフに絡めた一句が投稿対象だ。同店のスタッフが読んだ句を一例としてあげてみよう。
「音変わる、...
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マーティン・ローガン「ElectroMotion ESL X」 一世を風靡した米国発祥の静電型スピーカーが再上陸。 優れた応答性と透明感は軽量振動板ならでは
超軽量振動板(振動幕)ならではの応答性に優れた透明感のあるサウンド
久しぶりの静電型である。マーティン・ローガンは、スピーカーらしからぬルックスと水平指向性の広い静電パネルで一世を風靡した米国発祥のブランド。金属コーティングを施した透明振動幕を縦方向に張ることで湾曲面を構築している、ひじょうに巧妙な設計だ。現在は研究開発を米国で行ない、カナダで生産されている。ここで紹介するEM-ESL Xはスリムな静電パネルが特徴で、前後に配した約20㎝口径のダイナミック型ウーファーが400Hz以下の低音域を担当する、ハイブリッド構成となっている。管球王国試聴室で音を鳴らしてみた。
超軽量振動板(振動幕...