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MASTAZオーディオプロジェクトの「MCB5040L-TK」はラックスマンPD171A専用のダブルアーム・ベース。MDF製で安定性に優れ、高級カートリッジの実力を存分に引き出す
フォノカートリッジがいくつかあると、音楽ジャンルや音質傾向を考えて使い分けたくなる。そんなときはダブルアーム仕様のアナログプレーヤーが便利なのだが、市販製品はシングル構成がほとんど。そこで考えられたのが、簡単にダブルアーム環境を実現できるMASTAZ(マスタツ)のコネクションベースセットだ。ここで紹介するのは、ラックスマンのPD171Aにジャストフィットする専用設計のMCB5040L-TKである。定評あるイケダのダイナックバランス型IT407CR1ロングアームを装着して、その音を本誌試聴室で検証してみた。
MCB5040L-TKは、厚いMDF製ベースにアームベースのユニットを連結させた構...
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フォステクス、Solシリーズの技術要素を継承するフルレンジユニット「FE108NS」と「FE208NS」。新型スーパートゥイーター「T96A」を追加するとたちまち臨場感が向上
フォステクスのフルレンジユニットFEシリーズは、限定生産だったSolシリーズ以来、そこに注がれた技術要素を継承し、あるいは新しい要素を加え、さらにはいったん解きほぐしてから別の手法で同等の効果を得ようとするなど、入念な開発方針が軌道に乗ったように思える。すなわちNSシリーズが快調なのだ。
今回試聴したのはFE108NSとFE208NSだ。そこに注がれた特徴的な技術はすでにお馴染みのもの。つまり「2層抄紙コーン」、「ポケットネックダンパー」、「ハトメレス」などだ。搭載フェライト磁石はFE108NSが90mm径、FE208NSが156mm径と、それぞれの有効振動板面積と同等かそれを超えるほど...
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3極5極複合管ECL805のシングルアンプ。 春日無線変圧器 KA47SE
3極5極複合管ECL805(6GV8)を起用したシングル出力アンプ。既発のKA24SEGを改良したとのこと。
この複合管の3極管部は増幅率50の高ミュー管。出力用の5極管部は100V台の低い電圧での使用も想定した低電圧大電流型だ。つまり内部抵抗が低いのであり、ラジオやテレビ用に使いやすい設計になっている。
コンデンサー結合の2段アンプであり、出力端から初段へ全体トータルNFBを掛けている。電源の整流は半導体ダイオードによるブリッジ整流。いたって簡素な設計だが、出力トランスの巻線を1次、2次側ともに逆接続しているのがユニークだ。つまり1次巻線の高電圧側端子をプレートに、プレート側端子を電源...
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サン・オーディオのパワーアンプ「SV2A3TSX」はタムラ製作所特注のトランス搭載。2A3らしい伸びやかなタッチに聴き惚れる
2A3パラレルシングルの無帰還モノーラルアンプ構成。これは、既に発売されているWR50パラレルシングルのSV-TE/50TSXと基本は同じ構成だ。タムラ製作所特注のトランス類は角張った稜線の新タイプを搭載している。公称出力はWR50の方が7W、2A3は6.5Wとほぼ同等だ。出力端子は8Ω、16Ω用が設置されている。
初段は6SN7のパラレル接続であり、段間トランスを駆動する2段目は出力管の6V6GTを3極管接続。これらの増幅段はロフチンホワイト流に直結接続されている。低い回路インピーダンスで過渡特性を維持する意図が感じられる。新たに採用した段間トランスのB5002TSAは10kΩ対40k...
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磁気回路が刷新されたMC型のARTシリーズ。 オーディオテクニカ AT-ART9XI,AT-ART9XA 2機種同時に発売
オーディオテクニカは、MC型フォノカートリッジの最高級ラインにARTの名称を冠している。本年6月に同社は2機種のARTを同時に発売した。両機ともART9Xのネーミングが共通で価格も15万円と同一。AT-ART9XIは従来のART9から刷新した鉄芯タイプのフラッグシップ機。型番末尾のIはアイアン=鉄芯を意味している。いっぽうのAT-ART9XAは、ART7からの大幅改良モデル。型番末尾のAはエアー(空気)で空芯を意味しており、非磁性のポリマーを巻き枠にしている。0.12mVの出力電圧だったART7に対して、ART9XAでは巻き枠を大型化することで0.2mVと大幅アップを実現。
両機とも発電...
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堅実な物作りで定評があるPro-Jectのレコードプレーヤー「X2」は力強く厚手の音を聴かせる。同時期発売のMC型フォノカートリッジ「PICK IT DS2 MC」は音の立ち上がりが俊敏だ
音楽の都ウィーンに本社を構えるプロジェクト・オーディオシステムズ社(1991年創業)は、質実剛健かつリーズナブルな価格設定のオーディオ機器を製造している。なかでもアナログプレーヤーは得意分野で、ここで紹介する新製品のX2はMM型フォノカートリッジを付属しながら17万円という、お買い得なベルトドライブ機だ。
フォノカートリッジはデンマークのオルトフォンとの協業で、音決めはプロジェクトが行なっている。本機のベースは2Mらしく、楕円針と丈夫なDJ用カンチレバーを組み合わせたもの。出力は7mVもある。トーンアームはカーボン/アルミの2重構造で共振を減らしており、9インチ長。軽量で高感度なストレー...
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ブリンクマンのフォノイコライザーアンプ第2世代機「Edison MkⅡ」は、声色の生々しさが印象的で立体感も豊か
独ブリンクマンを主宰するヘルムート・ブリンクマン氏は、真空管と半導体それぞれのよさを知り尽くしている。ここで紹介するエジソンMkⅡは、同社フォノイコライザーアンプの第2世代機。3系統ある入力のうち2系統はバランス/アンバランスが選択でき、合計4本のテレフンケン製(NOS)PCF803を搭載する、バイポーラ・トランジスターとのハイブリッド増幅回路が特徴である。ガラス天板からは、整然と並ぶ良質の素子が窺える。出力はXLR端子が1系統のみだ。
本誌試聴室のリファレンス・プリアンプはエアータイトATC5でアンバランス入力である。そこでXLR→RCAアダプター(3番コールドは非接続)を用意して音を...
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トライオードのフォノイコライザーアンプ「TRX-EQ7」は、声の実体感と旋律の動きを明瞭に聴かせる
2017年に発売したフォノイコライザーアンプTRX-EQ6の進化形がこのTRX-EQ7。電源をACアダプター方式として外部に追いやったのが大きな変化であり、電気ノイズや機械振動の問題を低減できる利点がある。またゲインを約10㏈大きくして使いやすさを改善した。
外部電源は36VDCで1Aという電流容量のスイッチング方式。そしてEQ内部で±2電源に変換してICの動作条件を整え、過渡特性を維持している。MM用のEQはJRC製のデュアルオペアンプ5532Dをチャンネルごと1個ずつ使用。古くから業務用オーディオ機器に盛んに使われてきた定番のオーディオ用ICだ。MCについてはデュアルFETによるヘッ...
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国産アンプメーカーのレーベンより、海外でベストセラーとなった「CS600X」が待望の国内再登場
レーベンは1990年代に登場した兵庫が拠点の国産アンプメーカー。しばらく日本国内での販売を見合わせていたがこのほど復帰。
プリメイン型式のCS600Xは、世界的人気を誇ってきたというCS600のリファイン版だ。回路を見直し、将来的なサービス性を考慮して初段に12AU7を起用。初段はSRPPであり、そこに直結される2段目は12BH7Aによるカソード結合型位相反転段。出力段は標準がEL34のプッシュプルであり、管ごとに個別のカソード抵抗を配置して安定動作を重視している。また、カソード抵抗の値は内部のスイッチで切り替えられるようになっていて、出力段B電源の電圧値も同様だ。これらは6L6GC、K...
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MCヘッドアンプをバイポーラ型で新設計して バランス入力に対応する半導体式フォノEQ。 アキュフェーズ C47 登場
アキュフェーズから新型のフォノイコライザーアンプC47が登場した。オリジナルのC27(2008年)、そしてC37(2014年)の後継機として設計されたこのC47は、同社初のバランス増幅フォノイコライザーアンプ。デュアルモノの構成で、増幅回路には配線パターンに金メッキ処理を施したガラス布フッ素樹脂基板が使われている。
MM型の回路から見ていこう。興味深いことに、入力信号は最初にJFET素子による専用設計のヘッドアンプ回路(20dB)を経由する。主たる目的は後続の増幅回路へのバランス信号変換で、キャパシタンス値は未公表だが固定されているようだ。入力負荷は、1kΩ/47kΩ/100kΩから選択...