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時価数億円のアナログ・レコードを探しだせ! カーアクション@下北沢もたっぷりの一作『シモキタブレイザー』
犬、ヒップホップ、カーチェイス、「裏稼業」。こうしたファクターに触手を動かされる方にとっては、とくにドーパミンが湧き出るであろう一作。それがこの映画『シモキタブレイザー』といえるはずだ。2月16日からヒューマントラストシネマ渋谷ほかにて劇場公開される。
監督・原案・プロデューサーは、元暴走族による復讐劇を描いた『灰色の壁大宮ノトーリアス』で評判を集めた安藤光造。今回は、その日暮しのタトゥーアーティストであるKEN(佐藤嘉寿人)+ガンジャ売りのSMOKY(赤名竜乃介)のコンビに、BUZZ(青木謙)とSNOW(倉冨なおと)が合流、いささか急造のチームで、閉店中の宝石店に押し入って強盗をはたら...
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新しい女性像を描き出した90年代シスターフッド映画の金字塔が、待望の4Kリマスター
1991年に日本公開され、アカデミー賞やゴールデングローブ賞にも輝いたリドリー・スコット監督の大ヒット映画が、4K化のうえ劇場で復活する。ジーナ・デイヴィスとスーザン・サランドン双方の代表作であり、ブラッド・ピットの出世作にも数えられる『テルマ&ルイーズ』だ。
「とにかくだだっ広い」としか言いようのないアメリカのある地域で繰り広げられる物語だ。スーザン扮するヘビースモーカーのウェイトレスであるルイーズと、ジーナが扮する、なんとなく満ち足りていない主婦のテルマは友人どうし。気分転換というわけか、ふたりでドライブ旅行に出発する。途中、バーに立ち寄ったまではテンポが良かったが、チャラ目の男に声...
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『ラ・ラ・ランド』を、109シネマズプレミアム新宿のリバイバル上映で7年ぶりに見た。こんな静けさとエアボリュウムを備えた空間での劇場体験なら、何度でも楽しめる
109シネマズプレミアム新宿で開催されている「SAION Request Collection」に出かけた。
これは、「坂本龍一氏監修の下で設計した『SAION -SR EDITION-』で鑑賞してみたい作品」という来場者アンケートで人気の高かった作品を上映する企画で、2月22日まで上映されているのは、『ラ・ラ・ランド』『セッション』という、いずれもデミアン・チャゼル監督の作品である。今回はその中から『ラ・ラ・ランド』を選んでいる。
前回リバイバル上映に出かけたのはいつだったか、記憶にないくらい久しぶりだ。最近はパッケージソフトや配信の拡充で、映画を観たい時にいつでも観られる環境が整って...
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史実を基に、人間の「業」を描き出す。韓国年間最長No.1記録を樹立した大ヒット作が日本上陸。『梟ーフクロウー』公開へ
“人間の業”という言葉が何度も頭の中で点滅してしまった。濃厚かつスリリング、背筋をぞっとさせる一作だ。
「仁祖(インジョ)実録」という記録物(1645年。“仁祖”は李氏朝鮮時代の第16代国王)に記されていた事件がモチーフになっているという。つまりこの映画で描かれていることと近いものが現実にも起こっていたと想像できる。恐ろしい。「仁祖実録」について、不勉強な私は初めて知ったが、韓国ではひじょうによく知られたストーリーなのであろう。が、この映画で描かれるヒリヒリするような愛憎、人間関係には、ある程度の年齢に達すれば、どの国の誰であろうと大なり小なり思い当たることがあるはずだ。
主人公のギョン...
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不滅のヒーロー、ボブ・マーリーのライヴ映像を含む、これぞルーツ・レゲエの決定的映画
レイナルド・マーカス・グリーン監督の伝記ドラマ映画『ボブ・マーリー:ONE LOVE』も日本公開が予定されているとのことだが、その前に“実物”の姿をぜひ体験しておこうではないか。『ボブ・マーリー ラスト・ライブ・イン・ジャマイカ レゲエ・サンスプラッシュ』は1979年7月、ジャマイカで開催された一大フェスティバル「第2回レゲエ・サンスプラッシュ」の模様を中心に構成された貴重このうえない映像であり、81年に早すぎる病死をとげたレゲエの神格、ボブ・マーリーが母国で繰り広げたラスト・パフォーマンスの記録でもある。
「ノー・ウーマン、ノー・クライ」を始めとする代表曲を次々と歌いまくるマーリーの雄...
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投資になじみのない方でも心配無用。すこぶる痛快なアメリカン・エンタテインメント作品『ダム・マネー ウォール街を狙え!』
何度も「へえー」と心の声をあげながら見た。
コロナ禍真っ只中の2021年初頭に、アメリカの金融マーケットで実際に発生した”ゲームストップ株騒動”(ゲームソフトの小売り企業である同社の株を集中的に買い、空売りしていたヘッジファンドに損害を与えた)を脚色した映画であるという。主役はアメリカの、主に地方都市に住む若手の投資家たちだ。彼らが、遠くニューヨーク・マンハッタンにあるウォール街を跋扈するエリートたちに一矢を報いる、そんな気持ちよさがある。
SNSを駆使しながら、その場所にいながらにして、投資していく。その姿はまるで呼吸するかのようにナチュラルだが、いっぽうで、興じているスポーツが勢いづ...
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ディズニー最新作『ウィッシュ』を、109シネマズプレミアム新宿のドルビーアトモスで体験。最高の劇場スピーカーシステムが、サウンドデザインの狙いを見事に描き出した
ドルビージャパは去る1月26日(金)、109シネマズプレミアム新宿のシアター3で、ディズニーストアクラブ会員向け『ウィッシュ』ドルビーアトモス版特別上映会を開催した。同作は昨年12月15日に公開されたウォルト・ディズニー・カンパニーの創立100周年を記念して製作された、ディズニー映画最新作だ。
『ウィッシュ』(現在絶賛公開中)
<STORY> ディズニー100周年を記念し、世紀のドラマティック・ミュージカルが誕生。願いが叶う魔法の王国に暮らす少女アーシャの願いは、100才になる祖父の願いが叶うこと。だが、すべての“願い”は魔法を操る王様に支配されているという衝撃の真実を彼女は知ってしまう...
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要注目の映画製作ブランドがおくる、「音」と「静寂」がコントラストをなすホラー作品『サウンド・オブ・サイレンス』
イタリアの映画製作ブランド「T3」創設者であるアレッサンドロ・アントナチ、ダニエル・ラスカー、ステファノ・マンダラの三監督が完成させた、初の英語長編映画。2020年、アメリカ最大のホラー映画祭であるスクリームフェスト・ホラー映画祭に選出された短編を元にした、フルレングス・ヴァージョンだ。
タイトルは、サイモン&ガーファンクルのヒット曲に由来するのだろう。主人公のエマ(ペネロペ・サンギオルジ)はニューヨークで暮らしながら、どうにかプロの歌手になりたいと奮闘しているが、壁はなかなかに厚く、オーディションの結果もかんばしくない。そんなさなか、父親が入院したとの報を受け、エマは母国イタリアに帰省...