執筆陣
台湾の手描き看板絵師・顔さんの肖像。「職人」の深淵に触れる一作『顔さんの仕事』
「職人の姿」に接して、こちらの気持ちも引き締まる。幼い頃から絵を描くのが大好きで、映画も大好き。1970年代から手描きの映画看板で、台南の映画館「全美戯院」に数多くの映画ファンを呼び込んできた顔振発(イェン・ヂェンファ)氏にスポットを当てた一作だ。
キャリアは50年以上、しかも台北映画祭(台北電影節)では貢献賞に輝いている。だが、少しも偉ぶらず、淡々としゃべり、黙々と描き続ける。新しい看板(キャンバス)を使っているわけでもないので、前の絵の上に書き足したりもするのだが、その「前の絵が、これから完成するであろう絵に変容していく過程」も実にスリリングだ。ただ、この仕事は視力に大きな負担をかけ...