執筆陣
トロイ・コッツァー製作総指揮。夢と声を奪われた少女の再生物語。『裸足になって』
『コーダ あいのうた』で、ろう者の俳優として初めてアカデミー助演男優賞を受賞したトロイ・コッツァーが製作総指揮を務める話題作が日本に上陸した。監督は『パピチャ 未来へのランウェイ』のムニア・メドゥール、主人公のフーリアにはアルジェリア出身のリナ・クードリが扮した。
舞台は北アフリカのイスラム国家、アルジェリア。フーリアはバレエダンサーを夢見て、日々の特訓にあけくれていた。が、内戦の傷も癒えず、治安のよくない中、彼女は男性とのとあるトラブルによって階段から突き落とされ、大ケガを負う。顔の包帯はとれたものの、脚のコンディションは戻らず、命の糧だったバレエも断念せざるを得なくなった。しかも、あ...
執筆陣
第75回カンヌ国際映画祭で「観客が最も泣いた映画」と評された話題作『CLOSE/クロース』が、ついに日本上陸
前半の“ふたり”が一緒にいることの喜びを謳歌するだけに、後半の悲しさ、切なさ、重さが、どうしようもないほど深い。
第75回カンヌ国際映画祭のグランプリ受賞作にして、第95回アカデミー賞国際長編映画賞ノミネートでも話題を集める『CLOSE/クロース』が7月14日から全国公開される。監督のルーカス・ドンは、これが長編二作目。前作『Girl/ガール』が第71回カンヌ国際映画祭カメラドール(新人監督賞)に輝く気鋭だが、今回はそれ以上の評価を集めるのでは、との声も高い。
中心人物は、レオとレミという、13歳の少年ふたり。とにかく何から何まで気が合って、24時間一緒に過ごしてもまだ足りないぐらいの大...
執筆陣
信念は、歌は、決して軍靴に負けない。強靭な意志に彩られたファミリー・ストーリー。『キャロル・オブ・ザ・ベル 家族の絆を奏でる詩』公開へ
「第二次世界大戦前後のウクライナ」と、「現代(この場合は1978年)のニューヨーク」が交差する一作。戦争や差別の残酷さ、悲惨さ、むなしさをしっかり描きながら、音楽の尊さ、信頼や友情の美しさをも重厚に表現している。
1939年1月、ウクライナのイバノフランコフスク(当時はポーランド領スタニスワヴフ)に、とある大所帯があった。ウクライナ、ユダヤ、ポーランドの三家族が仲良く暮らしていたのだが、彼らの意思とは無関係なところで、それは引き裂かれ、軍靴が生命の尊厳を踏み潰す。残ったのは三家族の娘たち、そしてウクライナ人の母。ナチスに魂を売った、権力だけがよりどころの虚勢だらけの男たちが銃を持って家を...
執筆陣
憬れの仕事だったはずなのに……「裏」を見てしまった女性の「選択」とは。映画『アシスタント』公開
誰だって就職するなら憧れの、好きな分野にいきたいだろう。が、現実(現場)が必ずしも楽しいということはない。そんな「就職あるある」を極めてシビアに描いた一作だ。
主人公のジェーンは、映画プロデューサーになるという夢を描いて有名エンターテイメント企業に就職したひとり。ウキウキしながら面接を受け、合格の通知を受け取り、喜び勇んで出社したことだろう。名門大学の卒業生、すぐ就職できたという意味でも彼女はエリートだ。しかし就職そうそう、ジェーンは現実を体感することになる。そしてスクリーンを観る我々も、しばらくの間、彼女と同じ視点で物事に対峙することになる。やる気のない、その場しのぎの、活気などどこに...
執筆陣
『スパイダーマン』シリーズの待望の最新作『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース』がいよいよ公開。「音楽ファンを嬉しくさせる名曲が」
話題沸騰の一作『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース』がついに6月16日から全国の映画館で公開される。
スタン・リーとスティーヴ・ディッコの名コンビがこのキャラクターをつくりあげたのは1962年、今から60年以上前のこと。ケネディ大統領はいまだ健在、ザ・ビートルズのアメリカ侵略2年前のことである。一度見ると忘れられない赤いコスチューム、クモの糸を使って大都会ニューヨークを縦横無尽に動き回る敏捷性、間違ったことを決して許さない正義漢ぶりは歴代のファンをスカッとさせてきたはずだ。スパイダーマンに“変身”しないときの彼らは我々と同じく不器用で、悩みや壁にもぶつかり、自分の立ち位置も決...
執筆陣
あの伝説的コンサートが、至高の音質で映画化。ベスト・オブ・クラプトン的選曲も魅力『エリック・クラプトン アクロス24ナイツ』
この4月、外国人アーティスト最多となる100回目の武道館公演を果たしたエリック・クラプトン。今回の公演に足を運んだ人、足を運べなかった人の両方にお勧めのライブ・ムービーが、この『アクロス24ナイツ』である。
ファンならばタイトルからも想像がつくように、これは名盤との誉れ高いアルバム『24ナイツ』と同じ時、つまり1990年から91年にかけてロンドンのロイヤル・アルバート・ホールで収録されたライヴ・パフォーマンスから編纂されたもの(90年1月~2月、91年2月~3月)。
つまりスティーヴ・ガッドの加入や、大ヒット・バラ―ド「ティアーズ・イン・ヘヴン」が生まれる前の記録ということになる。当然な...
執筆陣
人気のフリースタイルピアニスト「けいちゃん」が映画『美男ペコパンと悪魔』の主題歌「シンフォニア」を作曲。「ちょっと不気味だけど希望を持てる曲にしました」
2019年から本格的に音楽活動を開始し、YouTubeのフォロワー数107万人、総視聴回数3億880万回超え。TBS系朝の情報番組「THE TIME,」にレギュラー出演しているフリースタイルピアニスト・けいちゃんが、6月2日に新曲「シンフォニア」を発表した。これは、「レ・ミゼラブル」「ノートルダムの鐘」などで知られる19世紀の文豪ヴィクトル・ユーゴー原作の、現代の東京と中世ヨーロッパの世界を交えながら描いたダークファンタジー映画『美男ペコパンと悪魔』の主題歌。昨年12月にリリースした全曲インストゥルメンタルナンバーによるセカンドアルバム『聴十戯画』とは一転、自身のエモーショナルなヴォーカ...
執筆陣
「下尾みう」がヒロインを演じたダーク・ファンタジー作『美男ペコパンと悪魔』が公開へ。「何度も観て、感動を持ち帰ってほしい」
19世紀フランスの文豪×2.5次元のプリンス×トップアイドル×新進気鋭のフィギュア・アーティスト。予想を超えた組み合わせが、「映像化不可能」と言われていたダーク・ファンタジー小説を、世界初映画化してしまった。
タイトルは『美男ペコパンと悪魔』。『レ・ミゼラブル』、『ノートルダムの鐘』などで知られるフランスの文豪ヴィクトル・ユーゴーの傑作だ。CMやテレビ番組のCGを数多く手掛けてきた松田圭太監督を筆頭とする日本のCGアーティストが集まり、現代の日本と中世のヨーロッパ大陸をシンクロさせながら、迫力に満ちた闘いのシーンと、時代を経ても変わらぬ愛の形を描く。
幻想の世界に住む青銅の巨人「ニムロデ...
執筆陣
映画『ストレージマン』、満員の観客の中初日舞台挨拶を開催。「初日からたくさんの方にこの作品が届いたことが嬉しいです」(瀬戸かほ)
コロナショックによる派遣切りによって職を失い、住む家も家族も失った男が、「居住禁止」であるはずのトランクルームでの生活へと追い詰められていく……。
池袋シネマ・ロサにて5月20日から2週間上映中。現代の閉塞感を描いた萬野達郎監督作品『ストレージマン』の舞台挨拶が、初日の20日(土)に行なわれた。萬野監督のほか、主人公・森下に扮した連下浩隆(プロデューサーも兼任)、一人二役に取り組んだ瀬戸かほ、渡部直也、立野沙紀、宮崎翔太、米本学仁、森恵美が、超満員の観客の前に登壇した。
瀬戸かほ 入り口で“こんばんは、今日ありがとうございます”と(観客に)お声掛けさせていただいたんですけど、ああ、こんな...
執筆陣
野外JAZZフェスティバル「LOVE SUPREME JAZZ FESTIVAL JAPAN 2023」が盛大に開催!
野外ステージ特有のくつろぎ、今日この時点から未来に放たれてゆくサウンドの数々、幅広いオーディエンス層、体を揺らしたり踊ったり思い思いに笑顔で音に浸るひとたち。
フェスっていいなあ、とあらためて思った。そして、ネーミングに「ジャズ」という一節が含まれていることを、とてもうれしく感じる。
「至上の愛と至福の音楽体験を―」をキャッチフレーズとする野外フェスティバル「LOVE SUPREME JAZZ FESTIVAL JAPAN 2023」が5月13日と14日に秩父ミューズパークで開催され、2日間で8000人のファンを集めた。このフェスは2013年にイギリスで始まり、いまやヨーロッパ最大規模の...
執筆陣
あのSXSWイベントでも反響を呼んだ一作。ある種の「リアル」をつきつけてくる体感型クライム・スリラー『ソフト/クワイエット』
自分がどの人種に生まれたか、さらにいえば手の甲と手のひらが同じ色に生まれついたか否かで、感じ方は大きく変わるかもしれない。観ていて私はおじけづいた。だがこれがアジアの一国である日本で公開されることは、意義のあることではあると思うし、このようなむごい事柄も世界のどこかに現実として存在する。
ブラジルと米国の2つの国籍を有するベス・デ・アラウージョ監督・脚本の体感型クライム・スリラー『ソフト/クワイエット』が5月19日からヒューマントラスト渋谷、新宿武蔵野館ほか全国順次公開される。
主人公は、とある田舎町の幼稚園教師のエミリー。白人たちにとっては「やさしい先生」なのだろうが、簡単に言えば有色...
執筆陣
もし自分の家族が物騒な事件に巻き込まれたら? 迫真のシチュエーション・スリラー『デスパレート・ラン』
日本に住んでいる限り「発砲」という事態に巻き込まれる確率は、ゼロではないにせよ米国よりは少ないはずだ。が、自分の家族が物騒な事件に巻き込まれていたら、無差別殺人の現場にいたら――そう思うと、決して他人事ではないはずだ。
エイミーは夫を交通事故で亡くし、シングルマザーとして高校生の息子と小学生の娘を育てている。娘はスクールバスに乗り、息子は「学校に行かない」とだだをこねた。エイミーは日課であろうジョギングに出たが、そのとき、スマホに緊急の電話がかかってくる。ここから、事態を把握するまでの数十分は彼女にとって何時間にも感じられたことだろう。行かないと言っていた息子が実は登校していて、暴漢の立...