執筆陣
信念は、歌は、決して軍靴に負けない。強靭な意志に彩られたファミリー・ストーリー。『キャロル・オブ・ザ・ベル 家族の絆を奏でる詩』公開へ
「第二次世界大戦前後のウクライナ」と、「現代(この場合は1978年)のニューヨーク」が交差する一作。戦争や差別の残酷さ、悲惨さ、むなしさをしっかり描きながら、音楽の尊さ、信頼や友情の美しさをも重厚に表現している。
1939年1月、ウクライナのイバノフランコフスク(当時はポーランド領スタニスワヴフ)に、とある大所帯があった。ウクライナ、ユダヤ、ポーランドの三家族が仲良く暮らしていたのだが、彼らの意思とは無関係なところで、それは引き裂かれ、軍靴が生命の尊厳を踏み潰す。残ったのは三家族の娘たち、そしてウクライナ人の母。ナチスに魂を売った、権力だけがよりどころの虚勢だらけの男たちが銃を持って家を...