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ホロコーストを生き延びたポーランド人の隣に越してきたドイツ人は、ひょっとして……? 『お隣さんはヒトラー?』
原題は「My Neighbor Adolf」。隣人アドルフ、というニュアンスか。舞台は1960年の南米コロンビア、ちょうどアイヒマンがイスラエルの諜報機関に発見された頃の話だ。主人公のポルスキーはホロコーストで家族を失ったポーランド人。ある日、その隣にドイツ人がやってきた。ちょび髭ではないし、あの髪型もしていなかったし、あの口調でもなかったが、あの冷たいまなざしは、彼の知っている「あの男」そのものだった。というのは、「あの男」とポルスキーは一度、面識があったからだ。しかも隣人と「あの男」は、やけに多くの特徴が共通しているのだった。
定説が「妻との自殺」だとしても、実は逃げながら歳を重ねて...
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ロック・ファン垂涎の発言と映像の連続! “カナダのウッドストック”は、こうして生まれた。『リバイバル69 ~伝説のロックフェス~』
1969年9月13日にカナダで行われた野外フェス「トロント・ロック・アンド・ロール・リバイバル」といえば、20世紀ロックのファンなら大体知っているはずだ。ジョン・レノン、オノ・ヨーコ、エリック・クラプトン、クラウス・フォアマン、アンディ・ホワイトのライヴ(プラスティック・オノ・バンドの第1回ステージ)が行なわれ、その模様はアルバム『平和の祈りをこめて』に記録されている。ほか、D.A.ペネベイカー(というカナ表記が定着しているが、ペニベカーと聞こえる)の実況映像作品『スウィート・トロント』もあり、こちらも多くのロック好きの胸をときめかせてきた。私はこれでリトル・リチャードに圧倒され、はるば...
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第75回カンヌ国際映画祭で「観客が最も泣いた映画」と評された話題作『CLOSE/クロース』が、ついに日本上陸
前半の“ふたり”が一緒にいることの喜びを謳歌するだけに、後半の悲しさ、切なさ、重さが、どうしようもないほど深い。
第75回カンヌ国際映画祭のグランプリ受賞作にして、第95回アカデミー賞国際長編映画賞ノミネートでも話題を集める『CLOSE/クロース』が7月14日から全国公開される。監督のルーカス・ドンは、これが長編二作目。前作『Girl/ガール』が第71回カンヌ国際映画祭カメラドール(新人監督賞)に輝く気鋭だが、今回はそれ以上の評価を集めるのでは、との声も高い。
中心人物は、レオとレミという、13歳の少年ふたり。とにかく何から何まで気が合って、24時間一緒に過ごしてもまだ足りないぐらいの大...