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トライオードのフォノイコライザーアンプ「TRX-EQ7」は、声の実体感と旋律の動きを明瞭に聴かせる
2017年に発売したフォノイコライザーアンプTRX-EQ6の進化形がこのTRX-EQ7。電源をACアダプター方式として外部に追いやったのが大きな変化であり、電気ノイズや機械振動の問題を低減できる利点がある。またゲインを約10㏈大きくして使いやすさを改善した。
外部電源は36VDCで1Aという電流容量のスイッチング方式。そしてEQ内部で±2電源に変換してICの動作条件を整え、過渡特性を維持している。MM用のEQはJRC製のデュアルオペアンプ5532Dをチャンネルごと1個ずつ使用。古くから業務用オーディオ機器に盛んに使われてきた定番のオーディオ用ICだ。MCについてはデュアルFETによるヘッ...
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国産アンプメーカーのレーベンより、海外でベストセラーとなった「CS600X」が待望の国内再登場
レーベンは1990年代に登場した兵庫が拠点の国産アンプメーカー。しばらく日本国内での販売を見合わせていたがこのほど復帰。
プリメイン型式のCS600Xは、世界的人気を誇ってきたというCS600のリファイン版だ。回路を見直し、将来的なサービス性を考慮して初段に12AU7を起用。初段はSRPPであり、そこに直結される2段目は12BH7Aによるカソード結合型位相反転段。出力段は標準がEL34のプッシュプルであり、管ごとに個別のカソード抵抗を配置して安定動作を重視している。また、カソード抵抗の値は内部のスイッチで切り替えられるようになっていて、出力段B電源の電圧値も同様だ。これらは6L6GC、K...
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アルニコ磁石+純マグネシウム振動板を搭載したフォステクス「T500A MkⅢ」。新型FE208NSとの組合せにより、打楽器の明敏な応答性は演奏の仕草までを彷彿。
フォステクスが長らく型番を維持しているスーパートゥイーターの高級機T500Aの最新版が、このT500A Mk Ⅲ。リング形状の純マグネシウム振動板により50kHzにまでいたる帯域を保証。そのダイアフラムリングは不要振動を排するためにタングステンシートを使用。磁気回路はアルニコマグネットを2段重ねした内磁型。ポールピースには銅メッキを施して渦電流対策している。円筒形ホーンと砲弾型イコライザーは真鍮無垢材の切削加工というのは承前だが、表面をプラチナメッキしている。ターミナル部は銅切削の金メッキ仕様であり、1.4mm径単芯線の内部配線は銅・銀合金素材を採用。トゥイーターの台座はウォールナット突...
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プリ部にムラード管採用の掌サイズのミニアンプ。 明瞭かつ明るい音調で緻密な音像が前面に定位する キャロットワン「ERNESTOLO 50k LIMITED」
明るい音調であり、目立つパートの音像は前面によく定位する
てのひらサイズのインテグレーテッドアンプであり、ガラスブロックの重しが真空管をご本尊風に際立たせる意匠が貫かれている。
アンプの構成は3部分に分けられていて、ミニプラグ対応ヘッドフォン端子にも専用アンプを使用する。プリアンプ部はムラードCV4003(12AU7高信頼管)と高精度オペアンプICのバーブラウンOPA627AUを使用。いずれも結構な値付けで取引されている代物だ。入力はRCA端子の他に前面のミニプラグもあって便利だ。パワーアンプ部はデジタルアンプだろう、小サイズで4Ω時25W+25Wの大出力をひねり出す。AC電源アダプター...
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LS3/5a専用サブウーファーがリニューアル。 最低域が拡張されてスケール感が拡大。 スターリング AB2
これは、放送局用モニタースピーカーとして有名なLS3/5aと組み合わせるサブウーファー。トールボーイ型の上にLS3/5aを乗せて一体感が得られ音場感を阻害しないねらいだ。従来のAB1よりキャビネットの高さを48㎜伸ばし、内部構造をAB2専用設計の12.4㎝径ユニットSB4424に最適化したという。
低音用のダクトは内側向きで使用。LS3/5a単体では、おなじみの湿度を含んだ豊潤な響きが得られる。スーザン・グラハムの「アーン歌曲集」は艶やかに、ひそやかに声音が制御され、和声の構成感が明示され、減衰音に濃密な表情がともなう。ジャズ系は少し暖色寄りになるけれど打楽器の力点は十分明瞭。ソロ楽器が...
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25周年記念モデルの各部に改良を施した進化形レコードプレーヤー、プロジェクト The Classic EVO。価格を超えた再生力を持つ秀作
プロジェクトは1990年にウィーンに設立されたアナログプレーヤーのメーカーであり、高級機から入門機まで種類が豊富だ。このThe Classicの“EVO”は創業25周年モデルとして登場した人気機種の最新版。EVO=エヴォリューションには25周年モデルの進化形という意味が込められている。
オルトフォンのMC型カートリッジQuintet Redが付属しているのが目を引く。楕円針で自重9g。日本では単売されず、針交換や修理などはプレーヤーの輸入元が行なう
前身との主な違いはサブプラッターが樹脂製から、アルミ削り出しの重量のあるものに変更されたことだ。また回転数の切り替えは切替えスイッチでできる...
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MC/MM対応のスウェーデン製、半導体式フォノEQ。 プライマー R35
プライマーは1985年に設立されたスウェーデンのメーカー。本機R35はMC/MM対応でRCAとXLRの出力端子を備えたフォノイコライザーアンプ。前面中央に彫り込まれたロゴマークが電源スイッチになっていて、大型の脚部が3点支持というのも目立った特徴。
すべて半導体回路であり、信号系のスイッチや端子類は回路基板に直接配置されている。カートリッジの負荷抵抗や負荷容量の切り替えは、ディップスイッチによる左右独立仕様だ。チャンネルセパレーションを重視した設計だろう。MMの負荷抵抗は47kΩと2.5 kΩが切り替えられ、MCの負荷抵抗は10Ωから47kΩまで22通りも選択可能だ。
カートリッジはフェ...
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マルコーニPX25を挿した試聴では高密度で引き締まった音像を描き出す。カトレア「the ヨーロッパ Ⅳ」
名球を所有している人には好適なアンプ
カトレアブランドによるヨーロッパシリーズの出力管PX25版。KR製PX25搭載の完成品で、出力管なしの仕様も用意される。
直熱出力管は交流点火しているがハム対策が必要だ。そこで自己バイアスカソード回路のハムバランサーとともに、独自のヒーターハムキャンセル回路をL/R別に用いている。初段は傍熱型3極管のMH4を採用。コンデンサー結合で無帰還である。出力トランスはオリエントカットコア。直熱整流管は5U4G。出力段用電源は大型チョークによる平滑だが、初段用電源は独立巻線とMOS-FETによるアクティヴ型平滑回路を採用。
試聴機に取り付けられたPX25はオス...
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ジェントルなトーンは不変。ウィーン・アコースティックスHaydn JUBILEEが奏でる美質
ウィーン生まれのウィーン・アコースティクスは、クラシック系作曲家の名を愛称に採り入れたスピーカー製品が多い。このハイドン・ジュビリーは創立30周年記念として限定生産されたもので、「価格には製造コストしか含まれていません」ということで、立派な黒艶塗装に仕上がっている。
小型の2ウェイ、リアバスレフでありスピーカー端子はシングル。代表機種にも通じる自社オリジナルのスピーカーユニットを使っている。14cm径ウーファーは独自の透明なポリプロピレン振動板が目を引く。上位機種のベートーベンCGSEの152mm径のものをアレンジしたものだ。25mmシルクドームトゥイーターはSEAS社と共同開発されたカ...
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真空管/半導体出力をもつCD専用機。MQA対応でDSD変換モードも装備。 トライオード TRV-CD6SE
トライオードのTRV-CD6SEは、型番からもうかがえるようにCDとCD-Rのためのプレーヤーだ。しかしありふれた外観の内部には信号処理に最新のハイレゾオーディオ系の技術が満載されている。MQA-CDは最大352.8k㎐/24 bitに対応。またBNC端子によるワードクロックと10M㎐基準信号の2系統の外部クロック入力を受信可能だ。デジタル出力も光とRCA同軸に加えてHDMI端子による I²S(IC間伝送)端子を装備。通常のCDは信号処理にて352.8k㎐/32 bit、あるいはDSD5.6M㎐に上位変換してからD/A変換する再生モードを用意。DACはESSのES9038Q2Mを使用。さ...
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3次元的な響きが魅力のアナログリラックスEX3。ハードメイプル製ボディの銀線巻きMC型カートリッジ
アナログリラックスの銀巻線MC型の新ヴァージョン。既発のEX1はカリン無垢ボディだったが、このEX3はハードメイプル無垢材を採用。多面体カットは変わらず。メイプルはカエデの系統であり、バイオリンやギターのボディにも使われるなど響きの良い材料として知られている。また針先はEX1が無垢ダイアモンド「スーパーカーブ・ラインコンタクト針」でサファイア・カンチレバーだったが、EX3は無垢ダイアモンドの楕円針であり、カンチレバーはアルミニウムになっている。磁気回路はEX1譲りの強力なネオジムマグネットを使用。内部インピーダンス15Ωにて0.45mVという高出力だ。試聴時の昇圧トランスはエアータイトA...
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ストレートアーム搭載のMIRACORDの新作。 エラック MIRACORD 60
ベルトドライブプレーヤーのMIRACORD 90は2016年にELAC創業90周年記念モデルとして発表された。往年のブランドに現代の技術を加味して復活させたものだ。その後70、50と続いて、今回60までラインナップを展開している。
このMIRACORD 60は短いストレート型トーンアームを搭載。カーボン系素材のパイプだ。ただしユニバーサルタイプのヘッドシェルは付属せず(編集部注:MIRACORD 60専用シェルは1つ付属します)。ターンテーブルは一体成形アルミダイキャスト製であり、打診すると鉢を叩いたようにきれいに響く。裏側を見ると、ゴム系の防振材を貼っているが中心側の区画は対策せず。音...