執筆陣
台湾の手描き看板絵師・顔さんの肖像。「職人」の深淵に触れる一作『顔さんの仕事』
「職人の姿」に接して、こちらの気持ちも引き締まる。幼い頃から絵を描くのが大好きで、映画も大好き。1970年代から手描きの映画看板で、台南の映画館「全美戯院」に数多くの映画ファンを呼び込んできた顔振発(イェン・ヂェンファ)氏にスポットを当てた一作だ。
キャリアは50年以上、しかも台北映画祭(台北電影節)では貢献賞に輝いている。だが、少しも偉ぶらず、淡々としゃべり、黙々と描き続ける。新しい看板(キャンバス)を使っているわけでもないので、前の絵の上に書き足したりもするのだが、その「前の絵が、これから完成するであろう絵に変容していく過程」も実にスリリングだ。ただ、この仕事は視力に大きな負担をかけ...
執筆陣
KARAのハン・スンヨンも快演。隣の部屋の騒音から始まるラブ・コメディ『壁越しの彼女』
少女漫画のような展開に、なんだかとてもまぶしい「青春」を見たような、爽快な気持ちになった。内容はまさしく邦題通り。オーディションを控えている歌手志望の男性スンジンと、その隣の部屋に住む女性ラニの物語だ。ふたりの住んでいるアパートは見た感じ、天井も高く、光の入り方も良いのだが、壁が相当に薄いようで、隣の声がまる聞こえ。だからスンジンの歌の練習や友達との会話も、ラニの鳴き声も聞こえてくるし、そうなると互いのことがどうしても気になってくる。
初めの頃こそ壁越しに「静かにしてくれないか」的なけんか腰の言い合いを繰り広げたふたりだが、スンジンの部屋に遊びに来る友達の雰囲気やラニの部屋に来る姉の話な...