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リゾート、飛行機、サヴァイヴァル、サメ! “詰み系”スリラーの最新作『エア・ロック 海底緊急避難所』
7月開催の『第一回東京国際サメ映画祭』オープニング作品として上映され、観客を大いに驚かせたという一作。これほどの情報量を、よく90数分に収めたものだと思う。
大型旅客機の行先はメキシコのリゾート地。中心人物は州知事の娘で卒業旅行のために機上の人となったエヴァ、祖父母と一緒に旅する10歳の少女・ローザ、同性婚を夢見るCAのダニーロ。彼らに限らず、誰もが目的地に到着後の楽しい計画を頭に描いていたはずだ。が、鳥が激突したことによって、旅客機は2万フィートから一気に海の中へ。いかにも恵まれたひとたちの、幸せになること間違いなしだった旅物語が一転、阿鼻叫喚となる。
物語の焦点はそこから、奇跡的に命...
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速報! ディスク化成立作品第二弾が『タイムリミットは午後3時』に決定。NBCユニバーサル レンタルビデオ黄金時代の全10作品を500枚のオーダーでブルーレイ化!
NBCユニバーサルが絶賛実施中の「レンタルビデオ黄金時代が甦る! あなたのリクエストで初ディスク化!」企画。ディスク化決定第一弾は『デビルゾーン』というニュースを先日お届けしたばかりだが、続いて『タイムリミットは午後3時』も500点のオーダーが集まり、第二弾としてのリリースが決定した。
本作の製作は1987年。日本では劇場未公開で1989年にビデオリリースされた。今回のディスク化企画の立案者であるNBCユニバーサル・百瀬氏のコメントを再録しておこう。
「『タイムリミットは午後3時』はいわゆる “80年代青春映画” で、スティーブン・スピルバーグ監督が製作にかかわっていた作品です。冴えない...
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これを観れば作曲家・ラヴェルがわかる。世紀の問題作にして名曲「ボレロ」誕生に迫る『ボレロ 永遠の旋律』
一度聴いたら忘れられないリズム・パターンとメロディ、反復の面白さ……。モーリス・ラヴェルの名や「ボレロ」という表題を知らなくても、この曲を聞いたことがある人は世界中にあふれているはずだ。個人的には、ジョージ・ガーシュウィンの「ラプソディ・イン・ブルー」と共に、クラシック音楽とジャズの間に橋を架けた楽曲という印象も持つ。この映画は、作曲家ラヴェル(発音は、「ヴェ」にアクセントがつく)が「ボレロ」を制作していく過程と、当時の評判、そして晩年の姿にスポットを当てた劇映画である。
ラヴェルは1875年生まれ、「亡き王女のためのパヴァーヌ」、「水の戯れ」、「マ・メール・ロワ」、「夜のガスパール」な...
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果たして人類は進化したのだろうか? イギリス製アニメーション『風が吹くとき』が日本語版にてリバイバル上映
すさまじい作品だ。1986年に英国で制作されたアニメーションで、作者は「スノーマン」や「さむがりやのサンタ」でも知られるレイモンド・ブリッグズ。これだけなら別に「すさまじい」という気持ちは湧いてこないと思うが、これが「核爆弾が落ちてくる」ストーリーであり、しかも監督のジミー・T・ムラカミが長崎に住む親戚を原爆で亡くしているとなると(しかも彼は日系アメリカ人である)、被爆国に生まれたこちらにとっては、話が違う。作品がぐっと多層的に、巨大化して目前に迫ってくる感じだ。
主人公は自然たっぷりの、イギリスの片田舎に住む老夫婦。夫には従軍経験があるものの、勝ってきたのでどこかで「戦争はかっこいいも...
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ハーバート原作の大作SF小説と、リンチ監督の出会い。いわくつきの一作が4Kリマスターで上映。『テアトル・クラシックス ACT.4』
歴史的な作品が4Kリマスターで、劇場で楽しめるのは実にうれしいものだ。「映画化不能」ともいわれていたというフランク・ハーバート原作の超大作を、アナログの時代に、コスチュームにしろメイクにしろアングルにしろ、これほどまでに凝りまくって撮っている。膨大なキャストとスタッフのチームワークによるたまものであろう。
私は『砂の惑星』とうもの存在を、小説や映画よりも先に、デヴィッド・マシューズというアレンジャーのアルバム『Dune』で知った。1977年発表の作品で、国内盤にも翌年には出ていたと思う。後年、ヒップホップのサンプリング・ソースとしても愛されるようになった一枚だ。この映画『砂の惑星』の制作...