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“少年時代の輝き”と“紛争の恐怖”が絶妙な塩梅で同居する『ベルファスト』、ケネス・ブラナー監督はアカデミー賞獲得なるか【先取りシネマ 第20回】
のんびりと平和な光景が一転、阿鼻叫喚の地獄絵図に
オープニング。カラー画面で、現在のベルファストの街並みが映し出される。やがて(1960年代から1998年の和平交渉の時期に描かれた)「平和の壁」の壁画が映しだされると、カメラが上がって、壁の向こうに広がるプロテスタント教徒たちが多く住む移住区をモノクロでとらえる。現在はカラー、郷愁に満ちた過去の世界はモノクロなのだ。
15th Augusut 1969。ふたつの時代をつなぐヴァン・モリソンのオリジナル主題歌「ダウン・トウ・ジョイ」が流れるなか(いい曲、いい歌声だなあ)、通りで遊び、くつろぐ町民たちの姿が描かれる。
フットボールの球を追いか...
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【コレミヨ映画館vol.72】『ナイル殺人事件』ミステリーの女王、アガサ・クリスティの人気小説「ナイルに死す」の映画化
映画評論家 久保田明さんが注目する、きらりと光る名作を毎月、公開に合わせてタイムリーに紹介する映画コラム【コレミヨ映画館】の第72回をお送りします。今回取り上げるのは、ケネス・ブラナー版ポアロの第2弾『ナイル殺人事件』。ミステリーの女王が紡いだ物語を21世紀の今、どのような映像で仕上げているのか、とくとご賞味ください。(Stereo Sound ONLINE 編集部)
【PICK UP MOVIE】
『ナイル殺人事件』
『スパルタカス』『トプカピ』のピーター・ユスティノフが“灰色の脳細胞”名探偵エルキュール・ポアロを演じた1978年版も悪くなかったが、本作は『ベルファスト』で今年のアカデ...