“オーディオコンポーネント” としてのヘッドホンは、どのようにして生み出されたのか。ソニー伝説の名機「MDR-R10」の誕生までを紐解く(前編)【ヘッドホンについて知っておきたい◯◯なこと 06】
近年オーディオ愛好家の間でも愛用者の多いヘッドホン。しかし1980年代後半までは、家庭でのオーディオ試聴はスピーカーを使った再生が中心で、ヘッドホンはその代替機、もしくは携帯音楽プレーヤーのためのアイテムという認識がほとんどだったという。そんな状況を変えた製品のひとつが、ソニー「MDR-R10」(1988〜2004年)だろう。価格はもちろん、素材や物作りのすべてでそれまでのヘッドホンとは次元の異なる取り組みが盛り込まれた“伝説の名機”だ。そんな製品の開発で中核を担ったのが、本連載の筆者・投野さんだ。今月から3回に渡って、MDR-R10の開発の裏側を語っていただく。(StereoSound...