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殺人ピエロと“負け犬クラブ”、27年越しの死闘のゆくえは──『IT/イット THE END “それ”が見えたら、終わり。』【先取りシネマ 第7回】
故郷を離れ、別々の時間を生きていたメンバーだったが……
前作『IT/イット “それ”が見えたら、終わり。』でも、この続篇『IT/イット THE END “それ”が見えたら、終わり。』でも、観たひとは“IT”(それ、ヤツ)とは何だったのかと考えるだろう。
1989年の夏から、27年後の2016年に。“ルーザーズクラブ(負け犬クラブ)”の7人は40代になり、それぞれの人生を送っている。
殺人ピエロ、ペニーワイズに弟をさらわれたビルは、ホラー小説家&映画脚本家として(ジェームズ・マカヴォイ)。父親から性的虐待を受けていたベヴァリーは、服飾デザイナーとして(ジェシカ・チャステイン)。おしゃべりな...
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実話ベースの必見サスペンス『ホテル・ムンバイ』&『エンテベ空港の7日間』―憎しみと暴力の果てに血を流すのは誰なのか?【先取りシネマ 第6回】
歴史は強者によって作られてきた。いやいや国家も生物も、強者はいつしか滅び去る。強者と弱者、知恵は何をもたらすのか。憎しみの連鎖の果てにあるものは?
いろいろなことを考えさせられ、かつ映画としてたいへん面白い快作2本を観た。共に実際に起きた事件を下敷きにした作品だ。秋口にぴったり。損はないので、強力にオススメしたい。
世界に衝撃を与えたインド・ムンバイの同時多発テロ
『ホテル・ムンバイ』は、2008年の11月26日、インド西海岸の大都市ムンバイ(昔のボンベイ)で起きた同時多発テロ事件を扱った力作だ。
1947年からたびたび武力衝突が起きている隣国パキスタンから潜入した10人の若者たち(イス...
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新生『チャイルド・プレイ』は'88年版の心酔者たちが作り上げたホラー愛あふれるリブート作【先取りシネマ 第6回】
『IT/イット』の製作陣&彗星のごとく現れた新鋭監督がタッグを組んだ!
米国では1988年の11月に、日本では翌年5月に公開された『チャイルド・プレイ』。やっと買ってもらえたおしゃべり人形が、ナイフをふりかざし襲いかかってくる! 10歳くらいでTVの洋画劇場でコレに出会い、トラウマになったひとも少なくないのではなかろうか。
そんなヒット作が同じタイトルでリブートされた。ホラー映画のいいところは作り手もお客もこのジャンルが大好きだー! ということだけれど、この新作も同様だ。
プロデューサーのデヴィッド・カッツェンバーグ(1983年生まれ)とセス・グレアム・スミス(1976年生まれ)は、製作...
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音を立てたら、即死―『クワイエット・プレイス』は全米特大ヒットの戦慄ホラー【先取りシネマ 第1回】
深い考察で読者を唸らせてきた映画評論家・久保田明さんの人気連載「映画の交叉点」を、今回より「先取りシネマ」に変更。厳選した新作映画を、独自の視点で深堀りします。(Stereo Sound ONLINE 編集部)
会話さえも許されない世界。一体何が起きているのか?
秋。落ち葉が舞い積もる田舎町のスーパーマーケット。ひとけのない店内で、3人の子どもを連れた母親が数少ない商品から日用品や薬を選んでいる。あたりを警戒する父親もいる。
手話で会話をする彼ら5人は、店から出ると一列になり注意深く歩き始める。全員が裸足だ。とにかく音を出さぬよう、目配せをしながら森の小道を進んでゆくのだが……。
一家は...
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映画の交叉点 第39回:『ジュラシック・ワールド/炎の王国』はアノ人も登場。先が読めない驚きの展開で3作目への期待が膨らむ!
『ジュラシック・パーク』直撃世代が監督&脚本に
2015年に公開され、歴代世界興収第5位を記録する特大ヒットを飛ばした『ジュラシック・ワールド』。トリロジー(3部作)となることが決定している新シリーズの続篇『ジュラシック・ワールド/炎の王国』がいよいよ日本上陸する!
前作のコリン・トレボロウ監督はデレク・コノリー(『ジュラシック・ワールド』『キングコング:髑髏島の巨神』)と組んで脚本に回り、演出に抜擢されたのはスマトラ沖大地震に遭遇した一家の運命を描くパニック・ドラマ『インポッシブル』(2012年)や、ダーク・ファンタジー『怪物はささやく』(2016年)で知られるスペイン出身のJ・A・バ...
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映画の交叉点 第38回:『イカリエ-XB1』 『2001年宇宙の旅』にも影響を与えた!? 幻のSF映画、55年の時を経てついに日本初公開!
1963年製作チェコスロヴァキア産映画の先見性に驚く
中子真治さん編著の労作「超SF映画」(奇想天外社刊、1980年)に小さく写真付きで載っていたので、題名だけは知っていたチェコスロヴァキア産のSF映画『イカリエ-XB1』(1963年)が日本初公開されることになった。
今回上映されるのは、2016年にプラハの国立フィルム・アーカイヴの監修で4Kレストアが行なわれたもので、モノクロ画面の解像度やモノーラル音声の明瞭がすばらしい。ヘンな表現だが、クライテリオン・コレクション発掘、修復の名作ソフトを観ているような気分だった。
この映画が気になっていたのは『イカリエ-XB1』が、ココから5年後に...