歌の神様に愛されたテレサ・テンの音彩が、胸の奥まで染み透る。堀切日出晴さんが語る。SACD『テレサ・テン』の聴き所はここだ
歌の神様はことのほかテレサを愛している。12cmの円盤をトレイに乗せ、音彩が空気を震わせた瞬間、アジアの歌姫を包み込む深い愛情を感じて涙した。
思えば5年前、テレサが降臨したスタジオマスターCD-R第1弾から制作にかかわってきたが、昨年のテレサ最終章となるファーストメタル・ダイレクトプレスのアナログ盤シリーズ第7弾で天に還る歌姫を見送ったつもりでいた。ところがどうだ。歌姫はあのふくよかな笑みとともに、ふたたび耳元で囁いてくれたのだ。ピュアな音質を追求してより透明感を増した歌声、その何物にも代えがたい気品とともに。
テレサのアナログレコードコレクションは高い完成度を持った逸品であったが、ア...