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「藤竜也」のスクリーンデビュー60周年第2弾。尾道を舞台に、味わい深い親子の姿を描く『高野豆腐店の春』
スクリーンデビューから60周年を迎えた藤竜也の、今年2本目となる主演作だ。麻生久美子との共演は『猫の息子』以来、26年ぶりであるという。監督・脚本は三原光尋。
舞台は、広島県の尾道。そこにある老舗の「高野(たかの)豆腐店」で夜明け前から豆腐づくりにいそしむ高野辰雄(藤竜也)と、娘の春(麻生久美子)が物語の中心だ。辰雄は物事の好き嫌いが激しく、ときにカッとなる性格だが、それは逆に言えば率直ということでもある。残念ながら妻には先立たれてしまったものの、友人には恵まれている。春はそんな父を堅実にサポートしているが、彼女は、いわば“出戻り”であり、辰雄としては今度こそ幸せな結婚をしてほしいと考え...