執筆陣
男女が出会い、恋をし、別れ、そして他人に。「別れ」を経験したひとを共感させるに違いない一作『もしかしたら私たちは別れたかもしれない』
英語タイトルは「SOMEONE YOU LOVED」。あなたが愛した誰か、という意味だろう。主人公はジュノ(イ・ドンフィ)とアヨン(チョン・ウンチェ)のふたり。美大で出会い、すぐに意気投合をする。芸術に関するセンスも、性格も、何もかも一致していたのだろうし、毎日が楽しくてしようがなかったに違いない。親友から恋人になるには時間がかからなかった。スクリーンから青春の輝きがあふれ出るのが、この時代の二人を描くシーンだ。
が、これ以降の時代が、この映画のほろ苦さだ。美大を出たからといって美術の第一人者になれるとも、そもそもそれで生活できるとも限らない。30代を迎えたジュノは公務員を目指して浪人生...