執筆陣
森と巨象のウェスタン! ファンキーな音楽も異彩を放つ、南インド映画の新潮流。『ジガルタンダ・ダブルX』
約3時間という長さはインド映画の常なのかもしれないが、音楽にはいささか驚いた。ファンク、ソウル・ミュージック、ディスコといった1970年代に大流行したアフリカ系アメリカ人大衆音楽の数々を意識して作られたであろうサウンドトラックが大きくフィーチャーされているのだ。ヴォーカリストのシャウトは時に、まるでジェイムズ・ブラウンである。
そして内容も、「クリント・イーストウッドとサタジット・レイの出会い」という前評判を裏切らない。この場合の“イーストウッド”とは、「夕陽のガンマン」か「ダーティハリー」か。クリント・イーストウッドとサタジット・レイの両者を好む粋な映画ファンの、その中の何パーセントか...
執筆陣
UKロンドンの最前線で、インド~パキスタン系のトップダンサーが超絶ダンスバトルを繰り広げる147分。『ストリートダンサー』
インド映画について、ある特定のイメージを持っている方は快い裏切りにあうことだろう。尺は2時間半ほどあり、歌が流れるシーンも、ダンス・シーンもたっぷりだが、舞台は英国ロンドン。そこに住む、ある意味とても恵まれたインド系の青年たちと、パキスタン系の青年たちの物語なのである。皆、かっこよくておしゃれだ。
両者は一種のライバル関係にあり、ダンスバトルを繰り広げている。セリフもあるにはあるが、それ以上に雄弁に彼らの気持ちを伝えるのが、各楽曲の歌詞。もちろんここにもしっかり字幕はつけられていて、ヒップホップを基調とした楽曲の数々が、切れ味いっぱいのダンスと共に繰り広げられる。一部アメリカの古典的映画...