執筆陣
戦友の怪死の真相を暴くべく、帰還兵が動き出す。彼につきつけられた現実とは……
『ヒトラーの贋札』から15年余り。ステファン・ルツォヴィツキー監督の最新作『ヒンターラント』が9月8日から新宿武蔵野館ほかで全国公開される。
主人公のペーターは元刑事。第一次世界大戦の兵士でもあったが、敗戦により、戦後はロシアの捕虜収容所に閉じ込められてきた。それを終えてようやく故郷に戻ることができたのはいいが、「勝てば官軍」なんとやらで、敗残は敗残だ。家に戻っても、いるはずの家族もなく、「戦後の世の中の流れ」にもついていけない。酒場で飲んでいると、管楽器やドラムの入ったバンドがリズミカルな音楽を演奏していた。「これは何だ?」「ジャズよ」「なんだその音楽は。戦前にはワルツとオペレッタしか...