執筆陣
伯父と甥が“人間対人間”として心を開き合う。穏やかで暖かな、ホアキン・フェニックス主演作品『カモン カモン』
ホアキン・フェニックスが大ヒット映画『ジョーカー』(アカデミー賞・主演男優賞を受賞)の次に選んだ作品、というだけで鑑賞意欲が倍増する。『カモン カモン』は、心臓に衝撃が来るような内容だったあちらとは対照的で、観ているうちに心が暖まってくる。モノクロの画面、落ち着いた音響(“ザ・ナショナル”の双子兄弟、アーロン・デスナーとブライス・デスナーが担当する音楽も含めて)、クスッと笑わずにはいられない会話の数々などなど、実に穏やかだ。『ジョーカー』にはニューヨークを模したのであろう都市が登場していたが、こちらには実際のニューヨークも登場する。
ホアキン扮するジョニーはニューヨークを拠点とするラジオ...