執筆陣
再生と復活に賭ける「繊維の街」を捉えたドキュメンタリー『わたのまち、応答セヨ』
北海道と東京でしか暮らしたことがない私にとっては初めて知ることばかり。三河地方はおろか、繊維に関しても白紙の状態で観始めて、その点、申し訳ない限りだが、この映画には「三河地方と繊維の歴史」についても実にわかりやすく描かれていて、滑らかに「自分になじみのなかった世界」へと案内してくれる。つまりとても学びの多い作品であった。
約1200年前、日本に初めて綿花がもたらされたのが三河地方であること。西洋の技術を取り入れて発展したこと。戦後、機械をガチャンと動かせば万の金が儲かるという「ガチャ万景気」に見舞われて大いに街が潤ったこと。それがすっかり過去の物語になってしまったこと。が、いま、新しい息...