1981年発売とは思えない名録音の名盤。 張り裂けんばかりの心の叫びをリアルに実感

 オフコースの代表作と言っていい9作目の名盤『over』が、SACD、45回転の高音質アナログ盤としてそれぞれステレオサウンドから発売された。どちらもオリジナルのマスターテープを使用し、選りすぐりの名機を使ってありのままの制作が行なわれている。特にアナログ盤はデジタル機材での処理を一切介さない徹底的にこだわった制作となっている。

Stereo Sound REFERENCE RECORD
LP 2枚組 45回転&SACD/CDハイブリッド盤『over/オフコース』

(ユニバーサル ミュージック/ステレオサウンド)
LP SSAR-087〜088 ¥9,900 税込
(ユニバーサル ミュージック/ステレオサウンド)
SACD/CD SSMS-065 ¥4,950 税込

DISC 1
[SIDE A]
1.心 はなれて
2.愛の中へ
3.君におくる歌
[SIDE B]
1.ひととして
2.メインストリートをつっ走れ
DISC 2
[SIDE C]
1.僕のいいたいこと
2.哀しいくらい
[SIDE D]
1.言葉にできない
2.心 はなれて
※SACD/CDハイブリッド盤は全9曲、同曲収録

●マスタリング/カッティングエンジニア:松下真也(PICCOLO AUDIO WORKS)
購入はこちら

 聴きどころはやはり、今でもよく聴く名曲中の名曲「言葉にできない」だろう。創立メンバー鈴木康博の脱退が決まった最中で制作されたこともあり、別れがひとつのテーマとなっているように感じるアルバムだが、それを象徴する曲だ。SACD、アナログもそれぞれオリジナル素材の持ち味がしっかりと息づいていて、小田和正のしなやかな高音も若々しく、決して声を張り上げるような曲ではないにも関わらず、曲が進むごとに声量が上がり、まさに言葉通り「心が叫んでいる」と思わせる絶唱を生々しく聴ける。哀愁を漂うハーモニカなど一歩引いた感じで、しかし残されたメンバーの心情を切々と奏でる音楽もいい。

 いわゆるニューミージックを代表するバンドのひとつだったが、こうして改めて聴くと楽曲やアルバムの完成度は極めて高く、今に連なる日本の音楽界の才能の煌めきが感じられる。仮に初めて聴く人がいるとしても、とても1981年発売の懐メロなどとは思わないだろう。ミックスダウンはロサンゼルスのチェロキー・スタジオでエンジニアはビル・シュネーが担当。持ち味である美しいコーラスをはじめ、情感豊かに鳴るギターやベース、ドラムスを豊かなステレオ空間に収めている。上質なシステムで再生することで、改めて楽曲の素晴らしさを実感できるはずだ。

 なにより驚いたのは、45回転仕様のアナログ盤のエネルギーに満ちた演奏。特に「言葉にできない」を聴くと、ヴォーカルが情熱たっぷりに歌っているし、張り裂けんばかりの心の叫びが収録されている。ファンならずとも必聴の1枚だ。

This article is a sponsored article by
''.