Dolby Visionのニュー・バージョンが「Dolby Vision IQ」だ。
Dolby Visionも登場以来、数年が経過し、採用テレビも増えてくると、さまざまなリポートがテレビメーカーから寄せられた。その多くに「画面が暗い」という苦情があった。
Dolby Visionの場合、テレビでの調整項目は少なく、Dolby Visionコンテンツは、ドルビー側が定めた一定のイコライジングパターンで見ることになる。暗い環境ではしっかりとしたコントラストが出るが、しかし、明るい環境では中間から黒への階調がのっぺりとする。
なんとかして欲しいという声が、ドルビーに寄せられていた。その声に応えて、ドルビーが新規開発したのがDolby Vision IQだ。早速、パナソニックとLGディスプレイが新製品への採用を発表した。
「IQ」とは常識的には知能指数の「Intelligence Quotient」の略だが、今回もこれが正しいのかCES会場では誰に尋ねても分からない。ドルビー関係者も知らない。私はDolby Visionの基本理論のPQ(Perceptual Quantization=認識可能な量子化)カーブからIQにアレンジしたものではないかと見ている。つまり「Intelligent Quantization」だ。確認したわけではないので、確証はないが。
ポイントは2つ。テレビ内蔵の輝度センサーをDolby Visionが使う。明るい環境では階調がのっぺりとするのでセンサーにて、映像の輝度を上げ、環境光に対抗する。これは確かにかなりの効果があった。映画は暗い環境で見るべきものだが、明るい環境で見る場合には役立つ機能といえそうだ。
多くのテレビは以前から「周囲の明るさに合わせて画面の明るさを調整する機能」が搭載されており、それを積極的にDolby Visionコンテンツの、明部における見栄え向上に活用した格好だ。
もうひとつが、もともとHDMI規格にあった「コンテンツメタデータ」の活用。映画、スポーツなどのコンテンツ認識データをテレビに送り、例えばSFものではライトセイバーをよりピカッと光らせるなどの仕掛けも考えられる。
パナソニックとLGエレクトロニクスに加え、今後、Dolby Vision採用メーカーは、「IQ」採用に進むと見られる。