今年も現地時間1月8日〜11日の4日間、アメリカ・ラスベガスで「CES(コンシューマー・エレクトロニクス・ショウ)2019」が開催される。それに先駆けて、記者会見や基調講演がスタート、既に各社から力の入った製品や技術の発表が行なわれている。StereoSound ONLINEでは、今年もCES2019リポートをお届けする。リポーターはもちろん、麻倉怜士さんだ。(編集部)
麻倉怜士がCES2019のみどころを大指南!
正月はCESで明ける。1月7日、オープニング1日前の恒例のプレス・カンファレンスデイ。LGエレクトロニクス、パナソニック、サムスンエレクトロニクス、ハイセンス、TCLなどのCEメーカーがマンダリンベイホテル・コンベンションセンターにて、ソニーはラスベガス・コンベンションセンターで、それぞれ新製品発表会を開催した。さらにパナソニックは夜に、MGMグランドホテル・コンベンションセンターのスウィートで日本、ヨーロッパ向けの製品を披露した。
今年のCESのテーマは、概括的に言えば、AI・5Gである。どこにいってもAIのことを聞かない時はない。5Gの商用化が目前とあって、その話題も多い。そんな中で、主催者CTA(コンシューマー・テクノロジー・アソシエーション)の6日のCES 2019 Trends to Watch Presentationでは、アメリカにおける8Kの展開が語られた。それについては別記事で詳しく述べるが、プレゼンテーションの中では、日本で12月1日に世界で初めて開始したNHK BS8K放送も話題となった。
以下でプレス・カンファレンスで分かった各社の注目の新製品を紹介しよう。
LGエレクトロニクス
LGエレクトロニクスは、何と言っても世界初の「巻き取り型4K有機ELテレビ」の登場が話題だ。昨年、LGディスプレイがスウィートで披露した65型試作機の完成度を上げた。まだ確認はしていないが、問題の耐久性については、基材をガラスからプラスチックに変更したと思われる。プレス・カンファレンス会場では大人気。記者の撮影の波が絶えなかった。「OLED TV R(ローラブル)」と名付けられた。
8Kは、これもLGディスプレイが昨年披露していた88型有機ELテレビ「Z98K」。映像プロセッサー「アルファ9」の第2世代デバイスを搭載。AIでコンテンツ適合、環境輝度適合、コンテンツに応じた音調設定などが可能としている。HDMI2.1インターフェイスを採用しているので、外部から8K信号を受けられると思われるが、まだ未確認。日本で発売の折には、8Kチューナーを積むとみられる(予想)。
パナソニック
パナソニックは65型有機ELテレビの新製品「GZ2000」を披露。LGエレクトロニクスの巻き取り有機ELテレビの後では、インバクトに少々欠けたが、それはプレス・カンファレンスで、型番だけアナウンスされ、技術的なディテイルはまったく不明のままであったからだ。
その後、私はMGMグランドホテルのパナソニックスウィートで詳細に取材したところ、これは並々ならぬ高画質テレビであることを認識。詳しくは、後日の詳細記事を待たれよ。パネル・セルの形でLGディスプレイから購入し、手を入れる独自のパネル画質づくり、高輝度、ハイコントラスト、AI HDR、Dolby Vision/Dolby Atmos……と、画期的ポイントがいくつも、ある。8Kはなかった。なぜ無いのかについても、筒井事業部長を直撃したので、のちほどリポートしよう。
サムスンエレクトロニクス
サムスンエレクトロニクスはマイクロLEDと液晶8K。マイクロLEDはここ数年、CESとIFAで継続的に展示している。昨年のIFAでは146インチ・4KのマイクロLEDディスプレイが展示されていた。今回のCESは75インチの4Kだ。小型化できたのは、プロックサイズを縮小したからだが、マイクロLEDをさらに微細にしたのか、それとも他の手筈なのかはまだ不明だ。
液晶8Kは舞台では98インチが展示されたが、商品は65/75/82/85インチの4展開。IFAと内容は同じだが、HDMI2.1の装備がアナウンスされた。
ソニー
ソニーは遂に8K商品を発表。有機ELではなく液晶だ。98/85型の「Z9G」。昨年、話題を呼んだ4K「Z9」の8K版である。液晶でも有機ELに迫る性能(ローカルディミングによる黒再現、フィルターによる視野角拡張)が得られ、8Kに進んだ。有機ELは輝度不足で今回は不出馬。詳しくはのちほどリポートする。
オーディオでは、独自のイマーシブサラウンド(3Dサラウンド)規格、「360 Reality Audio」の発表が大いに注目された。ストリーミングサービス向けのソリューションで、ユーザーは頭部伝達関数で処理されたイマーシブサラウンド信号をヘッドホンで聴く。こちらも詳しく取材したので、のちほど記事にしよう。