ビクター(JVCケンウッド)のプロジェクターづくりには、ふたつの法則がある。
①まずはハイエンドのB to B用に先端映像技術を開発し、数年を経て家庭用に移管する。
②家庭用では数年に一回、画期的な技術アドバンスを成し、それも数年掛けて移管
 −−である。マーケティング用語では「スキミング戦略」もしくは「展覧会戦略」という。

画像: e-shift・8Kの「DLA-NX9B」

e-shift・8Kの「DLA-NX9B」

 今回のIFAでは、「8K」「ネイティブ画素数」のふたつで、これが見られた。ビクターはNHK技研とのコラボレーションにて、多くの8Kプロジェクターを開発してきた。その目玉が4K画素のD-ILAデバイスによるe-shift・8K。

 原理はホームプロジェクターでお馴染みの、0.5画素斜めにずらす「e-shift」方式だ。従来は2Kデバイスから4K画像を生成していたが、それとまったく同じ論理で、4Kデバイスを斜めにずらした「e-shift・8K」が今回採用された。それが初の8Kプロジェクター「DLA-NX9B」(価格約18000ユーロ)だ。

 といっても、8K入力は持たない。4K×HDMI 4本入力もない。なので8K映像といっても、2K/4Kコンテンツのアップコンバートとなる。D-ILAデバイスは、一昨年に登場した初のネイティブ4Kプロジェクター「DLA-Z1」のそれとサイズが同じネイティブ4K(水平4096×垂直2160画素)
対応0.69インチ型だが、光学系を手直しして、コントラストを向上させた新規デバイスを搭載。

画像: 新4Kデバイス搭載の「DLA-N7B」

新4Kデバイス搭載の「DLA-N7B」

 システムとしてZ1より遙かに高い,ネイティブ10万対1を実現している。光源はレーザーではなく、通常のUHPランプである。DLA-Z1と同じ大口径100mmレンズを搭載したのが、光る。輝度は2200ルーメン。新4KD-ILAデバイスを搭載した4Kプロジェクター「DLA-N7B」「DLA-N5B/W」も発表された。

 注目はHDR(HDR10とHLG)視聴時のイコライジングを容易にする「オート・トーン・マッピング」。これまでピクチャートーン、黒、白レベルの3つの調整項目をマニュアルでセットしなければならず、分かりずらいという声に応えたもの。HDRコンテンツのメタデータをもとに設定を自動で最適化してくれる。

 e-shift・8K映像を垣間見たが、4Kアップコンバートながら、強調感の少ないナチュラルなものであった。今後、さらなる研鑽を期待しよう。

画像: お馴染みのネイティブ4K、「DLA-Z1」

お馴染みのネイティブ4K、「DLA-Z1」

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